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第44話 捕鯨2
しおりを挟むここ異世界のプミタス達にとっては天の恵みだし生活の糧でもある。
通常ザウリリは成層圏付近に生息していると考えられている。
そんな上空で何を食べて生きているのかと不思議だけど捕らえたザウリリの胃には小さな虫や地上では見ることのない鳥のような生き物、それから細かなラプトの粒が詰まっていたそうだ。
何故鯨なのに水の中にいないのかは良くわかっていない。
その高さになるとドリアゼラでは上がることは出来ない。
この時期ザウリリは何故か高度5000mあたりまで降りてくる。
通常ドリアゼラは高度10000m を飛行するので捜索は海面上を見下ろすかたちになる。
眼下には雲海の隙間から海面に小さな島が点在しているのが見える。
立ち寄ることはないので人が住んでいるのかどうかはわかっていない。
セイラゼ(海賊)なら、とも思うが彼らの漁場はやや方向が違う。
「見えてきた。すごい!たくさんいる。」
ナイクが機体の下向きにあるキャノピーからザウリリの群れを見つける。
雲の中を海面の様に出たり入ったりして泳いでいるようだ。
プギアゼラが降ろされる。
「じゃ、行くよ。」
エルテやナイク達がそれぞれの氏族のプギアゼラに搭乗する。
ゼデもリットやクラリスとともにプギアゼラに乗りドギアゼラを離れる。
ザウリリも大人しく狩られるわけではない。
それまで高度5000mあたりでゆったりと漂っていたザウリリの群れはまるで鯨が海中に潜り込むかのようにさらに高度を下げて雲海の中に入る。
視界は最悪だ。
100頭ほどの群れ単位で散り散りに逃走を始める。
「練習と違って的が動いちゃうからね。」
クラリスが言う。
「反撃してくる子もいるから気をつけるんだぞ。」
リットも言う。
2人とも狩りの先輩だもんね。
ゼデもプギデに乗り込んで出る。
既にプギデが何機か出ている。
ザウリリはやや後方に鼻先だけが見えている。
急降下を開始する。
狙いは頭部にある呼吸器付近。
他は大きくて皮が分厚いので銛が通らない。
「ゼデ少し減速してザウリリの真上になるようにするよ。銛の発射はカウントダウンするから合わせてね。」
ナビコがゼデの操縦を調整する。
これ僕は要るのかな?
そう考えていると。
「ナビコはあくまでゼデの補助なのよ。ゼデの希望しない事は出来ないのよ。」
「心を読んだの。」
「プミルとシンクロしているんだから不思議じゃないのよ。」
どんどんザウリリの背中が迫ってくる。
大きい。目の前が真っ黒になる。
「3、2、1、いまだー。撃てー。」
ナビコが叫んでいる。
ナビシステムが興奮しちゃっているってどう言う事?
これ本当にシステムなのかな?
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