蒼穹のゼデ

yahimoti

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第37話 ユウトとデルバート

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「わしもシュルツテルツについては伝承やムートの話しでしか知らぬ。じゃがおぬしはどうやってラプザーラに辿り着いたのじゃ?」

ちっちゃな子供がじじいのようにしゃべる。

ゼデの首に巻かれたプミルがほんのりとひかりラプテスが現れた。

「妖精か?珍しいのう。」

「私が案内したの。あの方向にシュルツテルツがあったはずだったから。」

「空中に?」

「シュルツテルツ、あなた方の言うギラクリラ大陸は浮遊大陸なの。しかも常時移動しているから、いくら海の上を探しても見つからないわ。」

「じゃがシュルツテルツ の名残りは海上の小島に点在している。帝国の調査団もそのように報告している。ゼデの両親もそのメンバーだったな。」

「ゼデはシュルツテルツの王よ、いつか国に帰ってシュルツテルツ王朝を再興するのよ。」

ラプテスはあたり前のように言う。

ちっちゃな子供は苦笑いをする。

「妖精よ、それはゼデの望みか?」

ラプテスはそれが自分の思い込みだったことに気付く。

カプセルに入れられた時ゼデはまだ赤ちゃんだった。

ゼデはシュルツテルツの事など何も知らないのだから。

ラプテスは上目遣いでゼデを見る。

「ラプテス、まだ何もわからないんだから何も決められないよ。でも探しには行こうね。」

ラプテスは自分を納得させるように何度もうなずいた。

「ユウトー。りんご飴売ってたよー。デルバートが買ってくれたー。」

「ムート、知らないおじさんからものを貰っちゃダメだよ。攫われちゃうよ。」

「えーっリルも拐われちゃうのー?」

「知らないって言うな。それに災害級の神龍バハムートや神獣フェンリルを誰がさらえるって言うんだ。」

魔法技術師主任デルバートも大収獲祭ポルヒグを見に来ていたようだ。

デルバートの目的はゼデの異大陸探索への勧誘だ。

ゼデがラプザーラに到達した話しは既にエイドガー宰相や皇帝に伝わっている。

帝国は技術立国を目指している。

シュルツテルツにつながりがあるのではと言う技術がドルツリア大陸と伝説の異大陸ギラクリラ大陸の間の北大海ラルエルラ海に点在する小島で発見されている。

実際の所その中のひとつはこの島に来た途端に光を灯して稼働を始めた。

デルバートはゼデの存在がこれらの謎の技術に関係すると思っている。




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