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第32話 ギルド長
しおりを挟む「ふーん、本当にあったんだ。」
ギルド長はエルフのようだ。
尖って長い耳が特長的。
長生きするせいなのか見た目は子供みたいだ。
ラプトの海 ラプザーラのことを言っているのだろうか?
「よく帰って来れたね。ムートがいたのは本当に運が良かった。」
ギルド長は小さいせいかデスクの向こうで顔半分しか見えない。
多分ゼデも似たようなものだろう。
「わしはギルド長のフェスファ。3000年は生きて来たがラプザーラに行って帰って来たものに初めて会った。」
「それならどうしてラプザーラの事を知っているの?」
「伝承はある。会った事がないだけで帰ってきたものはいるし、わかりにくいけどムートがいるしね。」
「あのバハムート?」
「ムートは勇者のペットらしいよ。自分でそう言っているし。」
神龍がペットって?
「ただムートの説明だととてもわかりにくいんだ。」
「ずーっと空の高い所でフワーってなってキラキラで魚や鳥がぐるぐるしているとこ。」
って感じ。
鯨やワイバーンもムートにかかると魚に鳥かー。
「ムートは空陸については知らないかな?」
「なんじゃ?空陸って?」
フェスファが首を傾げる。
3000年生きたエルフでもシュルツテルツの事は知らないのだろうか?
ゼデの養父母のミリスタとアイレスも帝国の研究者と出かけたまま9年を過ぎた。
ただ彼らも多分シュルツテルツの存在は知らない。
あくまでも異大陸としてギラクリラ大陸を探しているのだろう。
またラプザーラについてはドリアゼラクラスの魔導飛機でないとラプトの粉塵の重力干渉から逃れて戻ってくる事は出来ないだろう。
「ドリアゼラクラスの飛機を危険に晒すことは出来ないだろうな。」
ギルド長はそう言って首を振った。
「ムートに手伝ってもらうのは?」
「ムートは勇者に従っているし本来人の言う事を聞かせる存在じゃないんじゃ。」
「いずれにしろラプザーラはザウリリのサンクチュアリ。下手に干渉することはプミタスの死活問題になりかねない。」
事は慎重にと言う事でゼデ達はギルドを後にした。
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