蒼穹のゼデ

yahimoti

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第16話 エウ・レスタ

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ほんのりと光る小さな人型が机の上に浮かんでいる。
ラプテス(覚醒の鍵の妖精)は光量を加減している。

「王の体内のラプト(飛行石)とプミル(魔導浮動機)のシンクロは完了しています。」

鈴を鳴らすような声が頭の中に囁くように聞こえる。

「人間が体の中にラプトを持つことなんかあるの?」

「こちらの大陸に人々で先天的にラプトを持つものはいない様です。」

「こちらの人々がギラクリラ大陸と呼ぶ土地に住む者達には一般的ですが。」

「僕もギラクリラ大陸の生まれだからか?」

「余りに幼くて何もご存知ではないでしょう。」」

「まだ国に帰還することは出来ないでしょうね。」

「ラプテス、僕には何もわかっていない。何をするべきなのかも。」

ラプテスは小さくうなずくとゼデの首に巻かれたプミルの中に入っていった。

ゼデ以前の記憶ではRPGゲーム「ロストヒストリーワールド」にギラクリラ大陸やシュルツテルツの名は出て来なかった。

空族もストーリーの片隅で少し触れられた程度の存在だった。

前世のゲーム知識は全く役に立たないってのは残念だ。


「ゼデー。起きろー。ナイクが迎えに来たぞー。」

クラリスがひょいとゼデを抱き上げて起こしに来た。

「ゼデ、昨日は椅子に座ったまま寝落ちしていたよ。勉強はほどほどにしないと。」

「うん、今日はプミタスグリでプギデ(捕竜機)に乗るんだよ。」

「ゼデはもう乗った事があるんでしょう。」

「そうだよ、クラリス。ゼデはワイバーンに銛を打ち込んだんだよー。にゃー」

ナイクがリットに連れられて部屋に入って来た。

「すげーなゼデ。オレがワイバーンに銛を打ち込んだのはプミタスグリを卒業してからだったよ。」

「それにしてもはぐれのワイバーンがやって来るってラッキーだな。」

プミタスの島でなければワイバーンなんかやってきたら災難なんだけどね。

「推力がある分プギデの方が自由が効くよね。」

「セルタは風次第だからな。」

「すっごく楽しみだね。」

「プミタスグリで練習したらゼデのプギデを倉庫から出してやるよ。」

「え?僕のプギデ?リット、本当?」

「そりゃそうだ、ゼデはプミタス(空族)なんだから、もちろん用意してあるよ。」

「僕もパパさんが作ってくれたって。」

ナイクが嬉しそうに話す。

プミタス達にとっては子供に自転車を買ってあげるみたいなもんなんだな。










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