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第11話プミタスグリ イセム (空族園博物展示室)1
しおりを挟む「夜に見るとなんだか不気味。」
でもエルテってばなんだか嬉しそう。
怖いもの知らずって言うか、冒険大好きって感じだ。
赤毛のツインテールがピンって張っているよ。
プミタスグリにはプミタスの歴史や獲物の生態の研究などのためなのか単にコレクションなのかはわからないけれど博物館みたいな部屋プミタスグリ イセムがある。
見ものはザウリリ(空鯨)の骨格標本だ。
とにかくでかい。
プミタスグリイセムの殆どをザウリリの骨が占めていて、むしろザウリリの骨格の中にイセム(博物室)があるみたいなもんだ。
パカーっと開いたザウリリの口からイセムに入ると天井にはワイバーンの剥製が吊り下げられている。
「ワイバーンがザウリリに食べられたって感じ。」
ウェルが天井を見上げる。
「ワイバーンもでかいと思ったけれどザウリリってめちゃくちゃ大きいんだ。」
ナイクの耳がペターッと倒れている。怖いのかな?
「これ一頭でここのプミタスの一族が3年は生活出来るって。」
で、なんでゼデ達が夜にここに来たのか?
親兄弟が狩に出ている間6歳以上の子ども達はプミタスグリの寮で暮らす。
出かけた親兄弟はもうじき帰ってくる。
それまでにつきとめたいプミタスグリの謎を見てみたいからだ。
「でも、本当かな?」
見るからにインテリっぽいマチスはあんまり信じていない様子。
「でも、お母さんは若い頃この島で妖精を見たって言っていたわ。」
エルテのツインテールってなんで動いているのかな。
まるでワンコのしっぽみたいにぐるぐる回っている。
ナイクはって言うと股の間から前に出したしっぽを自分でぎゅーっと掴んでいる。
やっぱり怖いんだ。
ゼデは並べられている航空術のための器具に興味津々だ。
プミタスが主に使うのは天測儀 (アトラ)だけど、ここには四分儀や六分儀が置かれている。
ドルツリア大陸となぜか実際には伝説レベルの謎のギラクリラ大陸が描かれた地図がある。
「どうしてここに妖精がいるって噂になってんの?」
「エルテの隣の部屋の子も見たって。」
「夜に宿舎からここを見ていたらここの窓が明るくなっていて光の粒が飛び回っていたって何人もの子が言ってたんだ。」
「ウェルは見たの?」
「ボクはそんな時間に起きていられないからね。」
今日は頑張って起きているってわけね。
大陸や島から集めたいろんな植物の標本がある。
棚には沢山の標本箱や瓶、本が並んでいる。
「ゼデー。なんか甘い匂いがしてない?」
ナイクが大きな目を開いている。
猫獣人だから夜目が効くのかな?
カタンっと標本棚の瓶の蓋が落ちた。
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