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第37話 人族との決別
しおりを挟む「マヨルいたのか?」
カルナガリア王国 国王エドワンクが目玉焼きにナイフを入れたところで顔を上げて言う。
「魔王城とここは繋がっているからね。」
エリミリア聖教の大教会の一室は元はスー達がマヨルを復活させてから間借りして住んでいた所だ。
今はエリミリアが部屋を広くしてくれたし、マヨルが魔核の欠片を追加吸収した事でレベルアップして次元魔法が使えるようになったので魔王城にも繋がってやたらと広い。
巨大なダイニングはホテルのバイキング形式の食堂の様になっている。
一見すると人族と変わらないゴーレムが自律的に動いて料理や部屋の管理をしている。
最近急速に発達したゴーレム生成技術でかなりの労働力が賄われるようになった。
危険だったり過酷な労働。
それからヒューマンエラーの許されない管理業務はゴーレムが運用される様になっている。
この事が市井から急速に魔族や獣人族が姿を消した事をわかりにくくしている。
かつてはその様な業務は人族が亜人族と蔑んで呼んだ魔族や獣人族が担っていたのだから。
「マヨル、魔族達は人族との交流を断つつもりなのか?」
エドワンクは言う。
「一緒にいても迫害されるか憎悪されるからね、生活の場さえあれば人族の世の中にいる必要はない。」
「理解し合えないのか?」
「理解すればするほど余計に共生出来ない。それほどお互いは異質なのだ。多様性の範疇を越えて。」
「ここは中立地帯って事か?」
「今は。」
飲み干したコーヒーのカップをテーブルに下ろすとなぜかマヨルがエドワンクに近いて後ろから頭を撫でる。
「おまえはいい奴だよ。」
エドワンクが振り向くともうマヨルはいなかった。
「あれ、マヨルは?魔王の魔力が漂っていたからいるのかと思った。」
エリアが部屋に入ってキョロキョロしている。
「エリア、マヨルは魔国を建国した。おそらく鎖国政策をとるだろう。」
エリアの表情が険しくなる。
「マヨルは人族に愛想を尽かしたのか?」
「同族を守るためだろう。」
間もなくこことのリンクも閉鎖される。
「マヨルー。来たよー。」
ジャッドというか今日はシャデリーヌ伯爵令嬢か。
かわいいお嬢様服だ。
「シャデリーヌ、マヨルがいないよ。」
「えー、一緒にクレープ屋さんに行こうって言ったよ。」
「うん、だからボクも来たんだけど。」
すると部屋の壁際にマヨルが現れる。
壁に持たれて足を組んでカッコをつけてるつもりみたいだ。
「ま、まったー?」
エドワンクが笑い転げる。
シャデリーヌの顔が笑いをこらえてひきつっている。
それでもエリアは頬を赤くしている。
「う、うん。今来た所。」
エドワンクは苦笑する。
まあ人好きずきだから。
それにしてもさっきの決別の雰囲気はなんだったんだよ。
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