14 / 39
第14話 政変 2
しおりを挟む「やりやがったなあいつ。」
エドがつぶやいている。
母上が王宮にいなかったのは不幸中の幸いだ。
とはいえあの程度の魔法で母上がやられてしまう事もないだろう。
ここもじきに目をつけられる。
いくらエリミリア大聖女様が居るとは言っても身の程知らずのハイデギアが見逃すことはないだろう。
勇者エリアは呆然と佇んでいた。
それまで着飾った王族達が優雅に歓談していた王宮のホールには自分以外の生き残りはいなかった。
防護結界が失われる異変を感じた時には範囲攻撃魔法は発動されてしまった。
勇者の防御は間に合わなかった。
1人生き残った勇者は魔族に加担した疑いで拘束された。
ハイデギアの罠に嵌ってしまったようだ。
1000年前当時の王家に騙されて魔王を倒した勇者はその事を知ると王家を消し去った。
その後他国への侵略などの軍事行動を起こした国はことごとく滅ぼした。
各国はその勇者の力を恐れて戦争をやめた。
また人族以外の魔族や獣人族を狩ることをやめた。
ダンジョンを除いては。
だからハイデギアは勇者エリアがどう動くのかを恐れていた。
だが、勇者は拘束した。
もう何も恐れることは何もない。
「あはは、これこそが本当の王家の姿なのだ。勇者を恐れて憎むべき魔族と馴れ合ってビクビクしている王なんておかしいだろう?」
ハイデギアは高笑いしている。
魔法を阻害する術式の刻まれた牢の中で勇者エリアは膝を抱えている。
「守れなかった。みんな死んでしまった。」
涙を流すばかりで何もする気になれない。
「魔王様ハイデギアは勇者エリアを公開処刑するようですよ。」
スーが言う。
「助けないのですか?」
マヨルは答えない。
黙ったままパンケーキを食べている。
政変があってすぐの事大聖女エリミリア様がマヨル達の部屋に来た。
「魔王城の結界を解く。魔王フーハ ズーネヨマ、魔族を連れて入城するのだ。」
オレの本当の名前ってそれなん?
ちゃんと考えてつけないとダメじゃん。
それからジタバタとシェード達の一族の力を借りて王都内の魔族や獣人族、エルフなど亜人族と呼ばれる種族をマッピングした。
集めると一網打尽にされてしまうからね。
マッピングしたところで広範囲な上に特定の種族対象に指向性を持たせた転移魔法を発動する。
膨大な魔力を持つ魔王ならではの魔法だなって、出鱈目だ。
「ユーリハ伯爵とシャデリーヌお嬢様も領地に戻る途中で王国軍に拘束されたようです。」
「エド、お前はどうする。」
「俺はハイデギアを倒す。俺でなくとも良い、あいつ以外の者を王にする。魔王よ、俺に力を貸せ。
「ならば王国内の反ハイデギア派の貴族に手紙を書け。」
「お前を廃嫡した王家の者はいない、お前も正当な王家の継承者だ。国を2分させ騒乱を起こせ。」
「それが誰の得になる?」
「もちろん魔族を利する。だがお前がそうやって人族を分別する事で人族は滅びずに済む。」
「このままなら....あるいはエリアやジャッドになにかあればオレはほんの一握りの人族以外は全てを滅ぼす。」
「お前は俺に重責を負わせるのだな。」
「それこそが貴族であり王族であるお前の役割だ。だから人々は王族を尊び、ただ飯を食わせて威張らせているのだ。」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)
田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ?
コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。
(あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw)
台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。
読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。
(カクヨムにも投稿しております)
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
Sランク冒険者を小指一本で倒せる俺、成り行きで《大邪神》まで倒すことになっちゃいました。
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
黒岩蔵人、二十六歳はテレビ局でアシスタントディレクターとして忙しい日々を送っていた。
そんなある日ディレクターの指示で買い物に出かけたところ、黒岩はトラックに撥ねられて死んでしまう。だがそんな黒岩の前に神様が現れ、地球の十分の一の重力の異世界に生き返らせてやると言い黒岩は事実異世界に飛ばされた。
そこでは黒岩は最強超人だった!
勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します
華音 楓
ファンタジー
旧題:re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~
「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」
国王から殺気を含んだ声で告げられた海人は頷く他なかった。
ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。
その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。
だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。
城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。
この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。
ブラフマン~疑似転生~
臂りき
ファンタジー
プロメザラ城下、衛兵団小隊長カイムは圧政により腐敗の兆候を見せる街で秘密裏に悪徳組織の摘発のため日夜奮闘していた。
しかし、城内の内通者によってカイムの暗躍は腐敗の根源たる王子の知るところとなる。
あらぬ罪を着せられ、度重なる拷問を受けた末に瀕死状態のまま荒野に捨てられたカイムはただ骸となり朽ち果てる運命を強いられた。
死を目前にして、カイムに呼びかけたのは意思疎通のできる死肉喰(グールー)と、多層世界の危機に際して現出するという生命体<ネクロシグネチャー>だった。
二人の助力により見事「完全なる『死』」を迎えたカイムは、ネクロシグネチャーの技術によって抽出された、<エーテル体>となり、最適な適合者(ドナー)の用意を約束される。
一方、後にカイムの適合者となる男、厨和希(くりやかずき)は、半年前の「事故」により幼馴染を失った精神的ショックから立ち直れずにいた。
漫然と日々を過ごしていた和希の前に突如<ネクロシグネチャー>だと自称する不審な女が現れる。
彼女は和希に有無を言わせることなく、手に持つ謎の液体を彼に注入し、朦朧とする彼に対し意味深な情報を残して去っていく。
――幼馴染の死は「事故」ではない。何者かの手により確実に殺害された。
意識を取り戻したカイムは新たな肉体に尋常ならざる違和感を抱きつつ、記憶とは異なる世界に馴染もうと再び奮闘する。
「厨」の身体をカイムと共有しながらも意識の奥底に眠る和希は、かつて各国の猛者と渡り合ってきた一兵士カイムの力を借り、「復讐」の鬼と化すのだった。
~魔王の近況~
〈魔海域に位置する絶海の孤島レアマナフ。
幽閉された森の奥深く、朽ち果てた世界樹の残骸を前にして魔王サティスは跪き、神々に祈った。
——どうかすべての弱き者たちに等しく罰(ちから)をお与えください——〉
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる