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第60話 アップデート
しおりを挟むパエリの聖剣が砕けると同時に巨大な魔神も真っ二つになる。
「勇者の聖剣が壊れちゃった。」
そりゃ剣の強度を無視して力任せにぶち当てるだけで剣技も何もないから今のパエリの攻撃力だと聖剣であっても全然強度がもたないだろうな。
パエリが悲しそうな顔をする。
仕方がないのでインベントリから聖剣を出す。
いくらでも持っているから大丈夫。
「え?」
パエリは一瞬驚いた顔をするけどすぐに納得したみたい。
「ムールだもんね。」
「よかったね、パエリ。」
そう言ってサーフラがパエリに抱きつく。
サーフラはパエリが全くの無防備で魔神などの敵に飛びかかって行くのを見ていつ怪我をするかと気が気では無かった。
だから戦闘の時はパエリにありったけのバフと防御魔法をかける。
そして魔神にはデバフを。
パエリはジュネに剣を教えてもらっていたみたいだけれどダメだったみたい。
「圧倒的な力とスピード、耐久力だから勇者に技術なんか関係ないわ。」
そう言ってジュネはパエリに教えるのを諦めた。
アップデートの内容はって言うと、新たな敵として魔神が設定された。
やっぱりストーリーとしては強力な敵が次から次へと現れて主人公が苦労しながら立ちむかって行くって言うのが必要みたいだ。
確かには人気のあるアニメって大体そんな感じ。
もうほとんど戦闘シーンばっかりになってしまったり。
それでも人気ってのはすごい。
戦闘シーンって盛り上がるしね。
他の設定としては共通の敵が出来た事で国家間の紛争は無くなって連合議会と連合軍が組織されている事。
これ、RPGゲーム 「ロストヒストリーワールド」の無償アップデートで、次のバージョンアップまでの繋ぎのストーリーだったやつ。
当時少しやったけど付け焼き刃みたいな雑さはあったと思う。
何にしても7柱の魔神を倒さなきゃこの世界が崩壊するってことだ。
とはいえ魔神と遭遇するとパエリの一撃で終わりなので魔神を探す旅が生活のほとんど。
いろんな街に行ってきれいな風景を見たり、美味しい物を食べたりした。
既に3柱はパエリが鎮めた。
もう少しだね。
終わったら魔族領にある温泉にでも行ってゆっくりしたいな。
「いい湯ねー。」
パエリとサーフラがお湯に浸かっている。
オレもパエリに抱えられてお湯に浸かっていた。
通常はインベントリにしまっている野営用お屋敷の設備の露天風呂だ。
わざわざ温泉に行かなくてもよくない?って思うかもしれないけど、やっぱりなんか違うだろ?
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