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第59話 狭間の世界
しおりを挟む見渡す限り真っ白けで何にも見えない。
寒くも暑くもない。
覚えがある。
この世界にくる時少しだけいた所。
「久しぶり。」
たぶん神様だと思う。
それも女神様。
「元気そうね。もうこの世界には慣れた?楽しんでいる?」
なんだか優しい。
様子を伺っていると突然ほっぺたをつねられた。
「黙ってないでなんかいいなさい。」
あれー。急に怒り出した。
「あいたたたた。離して、離して。」
相変わらずの際どいワンピース。
「目が泳いでいるわよ。」
「せっかく慣れて来たところ申し訳ないけどこの世界をアップデートするわ。」
「え?何が変わるの?」
「そうね国の様子とかキャストとか。育成システムはそんなに変わらないけど強力な敵を作る事になるわ。」
女神様は簡単に言う。
「それってたくさんの人やキャラクターが災難にあったり死んじゃうんじゃないの?」
そんな勝手な、しかも面倒くさい。
「ゲームの面白さってそういう事じゃないの?」
「ゲームならね。その世界に生きるものにはただの災難だよ。」
「まあ、あなたのチートはそのままにしておいてあげるわ。」
「あなたは巻き込まれて来ただけだから。」
「まあ、仕方がないから少し変わった世界を楽しんで。」
白い狭間の世界が収束していく。
待って、待ってパエリはサーフラはどうなるの?
答えはない。
また、突然なんだから。
今回はまだ説明があった方だけれど。
すっごく寝苦しい。
目を開いた。
まだ夜明け前なのか薄暗い。
ムールを抱き枕にしているパエリの体温を感じてほっとする。
うなされたのだろうか?
目を覚ましてしまったのかサーフラが心配そうにムールの顔を覗き込んでいる。
サーフラの首に腕を回して引き寄せて抱きつく。
サーフラが驚いた顔をする。
こんな事今までした事無かったからだろう。
「ムール、怖い夢でも見たの?」
「う、うん少しね。」
そのまま地平線に陽が顔をのぞかせるまで少しの時間だけど目を閉じた。
2人の温もりを感じて心臓の鼓動を聞いた。
どんな今日が始まるのか?
ムールは小さな体をほんの少しだけ震わせた。
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