22 / 63
第22話 大丈夫
しおりを挟む熱々のうどんの出汁をフーフー言いながらすする。
パエリがポトリとテーブルの上に涙を落とした。
多分、元の世界をうどんで思いだしてしまったんだろうな。
オレも思い出さないことはないけどショック耐性のステータスが高いせいかさほどはつらく感じない。
だけれどパエリはレベル1だしどう感じているのかわからない。
まさか異世界でうどんなんて食べられるとは思わなかっただろうし。
「寂しい?」
ってパエリに聞く。
「美味しい。」
ってパエリが答える。
「寂しくて涙が出てんじゃないの?」
「鼻水。」
「ムールがずっと一緒なのに寂しくなんてないわ。」
きっと他の人から見たら茹でタコみたいに赤くなっているんだろうな。顔がすごく熱い。
「ムール、照れたの? かわいいー。」
「あーっ、いたーっ。あんた達ひどいじゃないの私だけ置いて行くなんて。」
なんでこんなところにサーフラお嬢様が?
「私はこのちっちゃいののお嫁さんで勇者の仲間だって父が言っていたわ。」
それ、話しの前半しか聞いていないね。
ワーリク侯爵にはお断りしたんだけどな?
「エリミリア様に送ってもらったのよ。」
あの大聖女なんでもありか?
「サーフラ、あんた勇者について行くのはいいけど、あんたはいったい何が出来るのって大聖女が言ったの。」
「そうか、サーフラにも何かスキルがあるのかもな。」
「ないわ。私は普通のただのお嬢様よ。」
なーんにも自慢になっていない。
「で、ただの普通のお嬢様がどうして来たの?」
「まあムールがいるし、別にいいか?何か多少できたからってなんも変わらないしね。」
「って大聖女様が言ってムール達が絶対ここに来るからって転送してくれたの。」
「大聖女様の言う通りね。」
来ちゃったものはしょうがないってんであまり手がかからないようにインベントリから色んな魔道具を出してサーフラお嬢様につける。
魔力を強化して色んな魔法が使える様になる腕輪。
迷子にならないように目印になるアンクレット。
結界を張るティアラ。
死にそうになった時身代わりになる指輪。
指輪の時だけ「つけろ」って言って指を出して来たので無造作に嵌めてやる。
サーフラが唇を横に広げてにーっと笑う。
その様子を見ていたパエリも指を突きつけて来る。
「パエリはこんなのなくても大丈夫だろ?」
いいからつけろって目が怖い。
まあ、欲しいんならあげるけど、沢山持っているし。
パエリの指にも嵌めてやるとパエリも唇を横に広げてにーっと笑った。
「あんた知らないの?」
「なにを?」
「あんたが私達の指、特にこの指に指輪を嵌めたってことは私達をあんたの妻にしたってことよ。」
「は?そうなのか?」
サーフラが思いっきりうなづいている。
それはー。あー。
いいけど。
オレ幼児だぜ?
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
俺、貞操逆転世界へイケメン転生
やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。
勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。
――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。
――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。
これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。
########
この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる