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第25話●エルフ
しおりを挟むんーっと、この子は本当にエルフっぽい。
学園の教室でボーっとして、漂う魔力の流れを追いかけていると少し変わった魔力を見つけた。
沢山の精霊に取り囲まれている。
精霊の力と魔力を融和させて癒しの魔法を作って身に纏っている。
「ギド。また女の子を見ているの?今度の子はとってもスレンダーで中性的なのね。」
そしてその割に肌の露出が多いわ。
ギドってばー。
レテがギドの顔を覗き込む。
こらこら、急に間近にその花の様に綺麗な顔を出してくるな。
ドキドキするだろうが。
遠慮とか加減というものを知らないんだから。
それにそんなとこ見てないし。
精霊と話しをしていたエルフはギド達に気がつくと近づいてくる。
「大魔法師のレテとオールドマスターのギドよね?」
エルフの首長エタリスは里の事を語り始める。
ユグドラシル?世界樹神話の事?
エルフの里に生えているって木の事?
エルフの里に生えているのが世界樹だとすると少しスケールが小さい様な気がするけど?
「あれは苗よ。大きくなるとこの世界から巣立って別の世界を作るのよ。」
「世界樹と言われるアズ・エーギグ・エーレ・ファはここではすでに世界を形成しきっているからその姿を見る事は出来ないわよ。」
どうやらその長い名前の世界樹の苗の育ちが悪いらしい。
エタリスはギドをエルフの里に連れて行くって言っているけど当然私もついて行くわ。
え?エルフの里に行く?
クロウラ学園長はなんでギドが自分に休暇の伺いをしてくるのかわからない。
まあ知っていると助かることもあるからいいか。
基本的にはギドの行動を拘束する事は誰にも出来ないし、もちろんクロウラ学園長に管理責任なんてないからギドがどこに行ったのかを知らなくても誰も文句を言う事は出来ない。
「この馬車全然揺れない。快適ね。」
って、なんでルトラウデやイサンドロ、ヴァシュ、エヴナマイナまでいるの?
遠足になっているじゃないの。
馬車は地上から10cmほど浮かんでいて地表のでこぼこを拾う事はないし馬型ゴーレムは疲れを知らないので夜を徹して走り続ける。
多分通常ひと月かかる所だけど7日程でエルフの里に着くと思う。
客室は空間魔法で広げているので6つの個室とキッチンやダイニング、リビング、乗務員室や侍従の部屋ががある。
小さなお屋敷みたいなもの。
快適でしょ?
護衛はいない。
6人の魔法師にドラゴンがいてそれ以上の戦力はいらない。
多分かなりの規模の盗賊団でも暇つぶしにもならないかも。
ギドは盗賊が大嫌いだしね。
「ギド、また盗賊が出たらどうすんだ?捕まえて奴隷商に売る?それとも処分しちゃう?」
ヴァシュが話しかける。
「捕まえても奴隷商まで連れて行くのが面倒くさいわ。」
ギドが答えるよりもイサンドロが先に言う。
「汚れるし臭いから絶対連れて行くのはイヤよ。」
なかなかこの世界は人に対しても冷酷だ。
生き死にが日常的にある世界だし仕方ないね。
特に盗賊はやる事が悪逆だから同情の余地はない。
彼らより弱ければ生きているのが嫌になるほど散々おもちゃにされて殺されるのだから。
もうすでに3回程盗賊とは遭遇している。
それぐらい普通に生きて行くだけでも過酷な世界だって事。
盗賊になるまでの身の上には同情すれけど、盗賊になってしまったことには同情しないよ。
盗賊が射る矢が障壁に当たって跳ね返る。
盗賊の中にも魔法師が居るのかファイアボールが飛んでくるが弱い。
魔法師なら仕事はあるはずなのに盗賊の片棒担ぐのは絶対許さない。
飛んで来たファイアボールを圧縮して破壊力を増しUターンさせてやる。
Uターンしたファイアボールは魔法師を追尾して周りの盗賊も巻き込んで焼き尽くす。
ヴァシュは指を鉄砲の様にてパンパンとストーンビュレットを放って馬車に追いすがってくる盗賊を撃ち落とす。
ルトラウデやレテ、イサンドロ、エヴナマイナも魔法で盗賊を攻撃している。
ピコは大人しくしておいてね。
一撃でやり過ぎて道も森もなくなっちゃうから。
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