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第23話● イサンドロ王女とエヴナマイナ王女

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そんなに遠くもない学園に馬車で移動する。
スタンピード後に宮廷から上納された。

ピカピカの派手派手。
目立つし恥ずかしい。

「あんたも貴族だったんだから、このぐらい慣れなさい。」

やっぱり何故かレテが一緒の馬車に乗っている。

税や投資で得た財は領地の発展の為にばら撒かないと芸術家や職人が育たず、産業も伸びない。

もちろん非常時の為の蓄財が不要なわけではないが。

ある金は使うのだ。

学園の正門まで来ると何か騒いでいる。

帝国の紋章のある馬車と王国の紋章を付けた馬車が鉢合わせになってしまった様だ。

こんな事が起こらない様にそれぞれの侍従が登校時間を調整しているはずなのだ。
現場でこまるのは従者達なのだから。

通常はどちらかが引けばいいのだが、王国と帝国でどちらも第一王女だから調整が難しい。

そこへ後ろからオールドマスターウィザードの馬車って両国の従者は真っ青だ。

面倒くさいのでギドはその場で馬車を降りて歩いた。

それを見て両国の王女は馬車を降りギドの後を歩いて校門をくぐることになった。

歩きなので横並び出来るし、レテは遠慮なくギドに並んでいる。

学園内は身分による待遇差はない事になっているから問題はない。

帝国の第一王女イサンドロと王国の第一王女エヴナマイナが並んで歩くのは実は珍しくない。
むしろ親友の様なものだ。

対国家としてはお互いに紛争が絶えない状態だが国交を絶っているわけではない。
ましてここはマジタリア魔法国であるし。

「まじ国の体面とかうざいわー。」

イサンドロ王女が言う。

「まじごめん従者が頑固で。」

エヴナマイナ王女が答える。

「お互い様だしー。」

「マスターが気を効かしてくれたから助かったわー。」

そう言ってギドに近づこうとするけどレテが「ガルルー。」と牙をむいて牽制している。

レテは何をしているのかな?

「おい、お前。お前だよそこのちっこいの。何故王女を従えて歩いている?不遜ではないか?イサンドロ王女は俺の婚約者だぞ。」

誰?

「ヴァイグル王国の王子よ。確かヴァシュだったかしら?」

僕は別に何もしていないけど?

「おい、誰を前にして立っている。膝まづけ。」

何を怒っているのかな?
おおーっ、威圧を使っている。
ふむふむ、その様な魔法回路を組んで発動させるのか。

ちょっと魔力不足の様だけれど。
それじゃあ僕はこういう風に回路を組んででお返ししてあげよう。

「何をニコニコして、舐めているのか。あぐーっ??な、何が。」

グァシュはがっくりとひざまづいた。

そして、さらに威圧に耐えられず地面に這いつくばった。

執務室の窓から様子を見ていたクロウラ学園長が飛んで来てギドの前に立つ。

「マスターもう許して上げて。」

え?僕は怒ってないよ。

魔法の組み立て方の違いを見ただけ。

ギドにはもうグァシュは見えていない。

魔法回路が見えているだけ。

ギドは威圧を解除する

「ま、マスターだって?こいつが?」

クロウラ学園長はヴァシュを見て言う。

「今、身をもって感じたのでは?」

「ヴァシュ、面白い魔法回路の組み立てだった。とても参考になったよってギドが。」

レテが言う。

「なんだとー、俺を馬鹿にしてんのかー。」

ヴァシュは剣を抜いて振りかぶろうとした。

が、剣が鞘から抜けない。

「んーっ、んーっ。なななんで抜けない。」

「練習場以外で剣を抜いちゃダメってギドが言ってる。」

いや、まだ何にも言ってないけど。

イサンドロ王女がスタスタとヴァシュ王子に近づく。

「あんたはまたすぐに頭に血が昇って何も考えないんだから。」

そう言ってデコピンをする。

ドッカーンと言ってヴァシュ王子が吹っ飛んだ。

視覚効果が派手だけど怪我をさせないように制御されている。
しかも鎮静作用も持たせている。
面白い魔法だ。

やっぱり学園に来る様な才能のある子の魔法はすごい。

イサンドロ王女がヴァシュ王子の首根っこを掴んでギドに頭を下げさせている。

「この子アホですぐに頭に血が昇ってバカやるけど本当はいい子なの。」

エヴナマイナ王女が笑いころげている。

ギドはもう完全に研究モードになって何も聞こえていない。

レテが王女達3人に「ごめんね。」って言いながらギドを研究室に引っ張っていく。








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