19 / 93
第19話●ダンジョン
しおりを挟む「いっぱい魔石が採れるわね。」
レテがドロップしたアイテムを掃除機みたいな魔法で拾い集めてギドに渡す。ギドはそれをインベントリにしまう。
スライムにコボルト、ゴブリンやオークまあ手頃な魔物がゴロゴロいる。
ルトラウデが抱えたピコが「ガーウ。」って威圧をかけただけで魔物がポンポンと光の粒になって魔石や素材等のアイテムをドロップして消えてしまう。
ダンジョンでは魔物を捌いたり死体の処理をしなくていいから楽ちんだね。
ギドが吹き飛ぶ。
レテが少し驚いて飛ばされたギドを目で追っている。
あ、大丈夫って判断したみたいだ。
意識を切り替えてルトラウデを包む障壁を強化している。
判断が素早い。
体の周囲に作った障壁に損傷はないけれどぶつかってきた物との質量差でギドの方が障壁と一緒に跳ね飛ばされたようだ。
ちょっと油断した。
ギドは空中で体をひねってぶつかって来たものに視線を向ける。
ミノタロウスか? 確かにこんな浅い階層に出て来ちゃいけない奴だ。
高圧縮タイプのファイアボールをぶつけてやると結構素早く避けようとする。
追尾式なので避けられてもミノタロウスをつけまわす。
ファイアボールを避けるためにウロウロしている所にアイスビュレットをぶつけてやる。
これは避けられなかったようだ。
ミノタロウスは光の粒になって消えた。
「いい感じの魔石をドロップしたわ。」
レテってあっさりしているんだね。
あのクラスの魔物になるとピコの加減した威圧では効かないようだ。
とはいえブレスを使うと何もかも燃え尽きてダンジョンがなくなってしまうので使い所が難しい。
グリフォン、マンティコアと階層に合わない魔物が続く。
この階層でこんなのが出て来ちゃランクの低い冒険者はたまったもんじゃないよね。
階層が深くなるに連れて出て来る魔物のレベルが極端に上がっていく。
そして出て来る頻度が高くなる。
このレベルの魔物が2体とか3体同時に出て来る設定にはなってないはずなのに。
「困るんだよね。まだ準備中なんだから。」
ギルドであったおっちゃんがいる。
おっちゃんと言っても25歳ぐらいかな?すらりとしたかっこいい青年。
鑑定してみると『ジュ』の使徒 レベルが200 人間にしては異常に高い。
「せっかく用意した魔物を片っ端から魔石にされちゃ計画が台無しだよ。」
おっちゃんそう言いながら剣を抜く。
そこにレテがアイスビュレットを放つ。
おっちゃんは飛んできた氷の粒を剣で弾く。
「詠唱なしかよ。あぶねーな。全く魔法使い相手って面倒くさいな。」
「昔は魔法を発動しなくするアーティファクトがあって仕事しやすかったらしいがな。」
などと独り言を言う。
ギドがポケットから何か玉のようなものを出して話し始めようとする。
おっちゃんとレテがギドを見る。
「ああ。」
「そのアーティファクトなら作ってみた?なんでそんなもの作るのよ。」
「ソッペ・カヤ神教の神官さんが言っていたので面白そうなので作ってみた?」
「お、おい。なんてタイミングでそんなもの出すんだ。」
おっちゃんの背中に白い羽が伸びてきた。
魔法で人間に化けていたみたいだ。
「お前、そんな事したらお前の魔法も使えねだろうが。」
ギドはもう片方の手をポケットから出す。
レテが喋り出す。
「さっきのは魔法の発現を阻害するアーティファクト、こっちは魔術の発現を阻害するアーティファクト」
「どっちも一緒に起動するとお互いに共鳴を起こしてなんの機能もしなくなる」
「かつて魔法しかない頃には使えたかも知れないけれど今は魔術もあるから役に立たないって。」
「いや、今そんな解説いるか?」
「うう。」
「興味があるんじゃないかなって。いや、私もおっちゃんに賛成よ。今はまだ、もう、なんていうか闘いなのよ。」
「すまんなぼうず、オレも興味はあるが今じゃないって思うぞ。」
ギドがつまらなそうにアーティファクトをしまう。
おっちゃんが上段から剣を振り落とす。
ギドの手にパッと剣が現れおっちゃんの剣を弾く。
おっちゃんは弾かれた剣を慣性の法則を無視してそのまま引き戻して切り付けてくる。
剣を振りながらストーンビュレットを放って来る。
おっちゃん凄い。
くるりと回転してかわすと同時に風圧を当てておっちゃんを押し退けて距離を取りその背後からサンダーを発動させる。
おっちゃんが膝をつくとフォローするようにガーゴイルが3体おっちゃんの周囲に現れる。
間髪を入れずにエクスプローションをかけるとガーゴイルとおっちゃんがちりぢりに吹き飛ぶ。
倒れたおっちゃんに剣を突きつける。
「この時期にオールドマスターの完全版の登場って勘弁して欲しいね。悪いが今日はここまで。スタンピードはもう止められないと思うぜ。」
シュっと言っておっちゃんが消えた。
『ジュ』って?使徒ってなんだ?
1
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
侯爵騎士は魔法学園を謳歌したい〜有名侯爵騎士一族に転生したので実力を隠して親のスネかじって生きていこうとしたら魔法学園へ追放されちゃった〜
すずと
ファンタジー
目指せ子供部屋おじさんイン異世界。あ、はい、序盤でその夢は砕け散ります
ブラック企業で働く毎日だった俺だが、ある日いきなり意識がプツンと途切れた。気が付くと俺はヘイヴン侯爵家の三男、リオン・ヘイヴンに転生していた。
こりゃラッキーと思ったね。専属メイドもいるし、俺はヘイヴン侯爵家のスネかじりとして生きていこうと決意した。前世でやたらと働いたからそれくらいは許されるだろう。
実力を隠して、親達に呆れられたらこっちの勝ちだ、しめしめ。
なんて考えていた時期が俺にもありました。
「お前はヘイヴン侯爵家に必要ない。出て行け」
実力を隠し過ぎてヘイブン家を追放されちゃいましたとさ。
親の最後の情けか、全寮制のアルバート魔法学園への入学手続きは済ましてくれていたけども……。
ええい! こうなったら仕方ない。学園生活を謳歌してやるぜ!
なんて思ってたのに色々起こりすぎて学園生活を謳歌できないんですが。
サックスを吹く君のそばで
いとまる
BL
陸上部のエースで成績もいい傑(すぐる)は友達も多く、何不自由ない生活を送っているが、夢中になれるものもなく、ただなんとなく生きていた。そんな傑が吹奏楽部の尚(なお)に出会って、いろいろな感情を知って恋に発展していく。ーー綾や千鶴、周りの友人たちとの人間関係も重なり合いながら、夏の終わりに始まる青春学園BL!
輝夜坊
行原荒野
BL
学生の頃、優秀な兄を自分の過失により亡くした加賀見亮次は、その罪悪感に苦しみ、せめてもの贖罪として、兄が憧れていた宇宙に、兄の遺骨を送るための金を貯めながら孤独な日々を送っていた。
ある明るい満月の夜、亮次は近所の竹やぶの中でうずくまる、異国の血が混ざったと思われる小さくて不思議な少年に出逢う。彼は何を訊いても一言も喋らず、身元も判らず、途方に暮れた亮次は、交番に預けて帰ろうとするが、少年は思いがけず、すがるように亮次の手を強く握ってきて――。
ひと言で言うと「ピュアすぎるBL」という感じです。
不遇な環境で育った少年は、色々な意味でとても無垢な子です。その設定上、BLとしては非常にライトなものとなっておりますが、お互いが本当に大好きで、唯一無二の存在で、この上なく純愛な感じのお話になっているかと思います。言葉で伝えられない分、少年は全身で亮次への想いを表し、愛を乞います。人との関係を諦めていた亮次も、いつしかその小さな存在を心から愛おしく思うようになります。その緩やかで優しい変化を楽しんでいただけたらと思います。
タイトルの読みは『かぐやぼう』です。
※表紙イラストは画像生成AIで作成して加工を加えたものです。
星をひとつしか知らない
灰黒猫
BL
あまり人とかかわらなかった男と、星が好きな少年の話です。
「夏の星」の6年後ですが、「夏の星」を読まなくてもだいたいわかります。
BLに見えてもいいし、見えなくてもいいです。読む方におまかせします。
2024.6.4.了
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
失踪した婚約者が、別の姿になって現れました
秦朱音@アルファポリス文庫より書籍発売中
恋愛
エレナ・ノイバウアーは、幼い頃に王太子ライオネルの婚約者となった。
優秀なライオネルに比べ、エレナは乗馬もダンスもマナーも、全てが落第点。
「私なんて、ライオネル殿下の婚約者にふさわしくないわ……」
落ち込むエレナを救ったのは、一人の見知らぬ青年だった。
それから十四年。
ある日、王城に呼ばれたエレナは、王太子の側近の口から信じられない言葉を聞く。
「ライオネル王太子殿下が、失踪しました」
「……は?」
※10000字くらいの短編の予定
ウチの愛する旦那が女の子ばかり保護してくるので苦労が絶えません
沙崎あやし
ファンタジー
私とライネスは新婚夫婦。お互い愛し合っているんだけど、ライネスには悪癖?が一つある。
彼は王都騎士団の騎士様。だから保護した女の子をウチに連れてきちゃうんだよね……それってどう思う? ちょっと不安にならない? その辺り、ウチの旦那様はどう思っているのかしら?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる