上 下
13 / 93

第13話●ピコ

しおりを挟む

オールドマスターなどと言われても学園の他の魔法師達の使う魔法はそれぞれ独特で興味深い。

都合よくギドの見た目はどう見ても生徒なので生徒のふりをして紛れ込んでいる。

「ギド、何見てるの?」

またレテがやって来る。
レテが来ると周りの生徒の注意がみんなレテにいってしまって彼らが無意識のうちに動かしている魔力が変わってしまうんだ。

ギドは黙って廊下側の席に座っている女の子を指差す。

「えーっ、ヤダ、ギドのエッチ。」

何を言う。

「あの子ぼんやりしてるのね、あんな短いスカートなのに足を開いて座って、パンツまるみえじゃないの。」

イヤ、そこじゃなくてあの子の視線の先。

「シャボン玉?」

薄い魔力の膜で球体を作っている。
あの中には大きな空間が圧縮されている。

あれはドラゴンを飼うためのケージ。

多分彼女はテイマーなんだ。

でもそれだけじゃないのはあのケージを作っている事でもわかる。
凄いなー。

ああやってドラゴンと会話しているんだろうな。

「ギド、そんなにパンツが好きだったの?あげようか?」

だから違うって。

「あれ、あの子あわてだしたわ。ギドが見ているのに気がついたのかしら?」

あの子がコントロールしていたシャボン玉が不安定になっている。

中でドラゴンが暴れている様だ。

教室から出ないとこんな所でドラゴンが出て来たら校舎が壊れちゃうね。

ギドはシャボン玉を包むように障壁を作って窓の外に出す。

外は校庭なのでドラゴンを出しても大丈夫。

「閉じ込めて置けたでしょう?どうして出したの?」

ドラゴンはほぼ校庭を占めるほどの大きさがある。

でっかいけど、ちょこんって立っている感じ

暴れるつもりはないみたいだ。

「どどどうして出て来たの?ピコちゃん。」

テイマーの女の子が驚いている。

「この子が魔力をいっぱいくれた。」

「ドラゴンがしゃべった。」

レテがバタバタしている。

「レテルティア様が?」
テイマーの女の子がドラゴンに聞く。

ドラゴンが言う。

「違うよ、こっちのちっちゃいマスター。」

ちっちゃいはいらんかったな。
ずーっと「お腹すいた。」ばっかり言ってたからね。

今は魔力が足りているんだから人化したらいいんじゃないかな?

ギドの言いたい事が分かったのかドラゴンはちっちゃい女の子になった。

大丈夫、ちゃんと服を着ています。
日頃から人化していたんだね。

「美味しい魔力をありがとう。ちっちゃいマスター。」

ピコ可愛いな。
人間と違うのは頭に有る小さな角ぐらい。

魔力に味があるって初めて聞いたよ。

「あ、ありがとう。ピコがお世話になります。このところ魔石が手に入らなくて、それでピコがお腹をすかせていて困っていたの。私はルトラウデ、あなたギドよね、よろしくね。」

「あ、ちょ。」

「ギドが少し待ってねって。」

レテはどうして僕が言おうとしていることが分かるんだろう。

ギドが一瞬ぱっと消えた様にみえた。

ネックレスの様な物をピコの首にかける。

「こ、これ。」

「これをつけていると魔力が集まるからお腹が減らないよって。この魔石が空中の魔力を集めるし、今は満タンに魔力をチャージしてあるって。」

やっぱりレテは凄い。

ギドは錬金術の教本に魔池(電池の魔力版だね。)の作り方が載っていたのを思い出してインベントリに作りに行ったんだ。

初めて作るのと充魔(充電の魔力版)に時間が10年程かかってしまった。
次からはもっと早く作れると思う。

ルトラウデがピコを抱きしめている。

「これからはずっと一緒に居られるね。」

「ギド、ありがとう。お礼はどうしたらいいのかしら。」

「パンツをあげたらいいんじゃないかしら。」

レテがサラッと言う。

「え?」

だから違うってば。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

転生錬金術師・葉菜花の魔石ごはん~食いしん坊王子様のお気に入り~

豆狸
ファンタジー
異世界に転生した葉菜花には前世の料理を再現するチートなスキルがあった! 食いしん坊の王国ラトニーで俺様王子様と残念聖女様を餌付けしながら、可愛い使い魔ラケル(モフモフわんこ)と一緒に頑張るよ♪ ※基本のんびりスローライフ? で、たまに事件に関わります。 ※本編は葉菜花の一人称、ときどき別視点の三人称です。 ※ひとつの話の中で視点が変わるときは★、同じ視点で場面や時間が変わるときは☆で区切っています。 ※20210114、11話内の神殿からもらったお金がおかしかったので訂正しました。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

婚約破棄は誰が為の

瀬織董李
ファンタジー
学園の卒業パーティーで起こった婚約破棄。 宣言した王太子は気付いていなかった。 この婚約破棄を誰よりも望んでいたのが、目の前の令嬢であることを…… 10話程度の予定。1話約千文字です 10/9日HOTランキング5位 10/10HOTランキング1位になりました! ありがとうございます!!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

処理中です...