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第12話●孤児院2

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今度は高級で有名なお店で人気のお菓子を買って来たから孤児達にもウケるはず。

レテルティアはご機嫌で馬車を降りた。

孤児院の扉を開けてびっくり。

子供達が部屋の中でポンポン魔法で花火を上げて遊んでいる。

ギドが喜んで笑っている。
あんな笑い顔初めて見た。

なんだか悔しい。

でーもダーメ。

「あんた達ー。部屋の中で何してんのー。」

みんながポカンとしてレテを見る。

子供達が「レテが来たー。」と言ってさらにはしゃぎ始める。

「ねえねえ、きれいでしょ。」

「すごいでしょ。みんな出来るようになったんだ。」

「レテもしてー。」

えーっと、それじゃあまず空中の水分を集めて冷却して雪のような結晶を作って、結晶に光をのせて風に舞わさせて...。

キラキラと光の粒が部屋の中を舞う。

その美しさに子供達が大喜びする。
そして解析を始めてそれを再現しようとする。

レテは水 氷 光 風 いろいろな属性の魔法を複合して使っている。

通常魔術師は複数の属性を一度には使えない。
スペルを唱える口は一つしか無いし同時に複数の現象をイメージする事は困難だからだ。

キラキラとした雪の結晶がまるで蝶のように部屋の中を舞い、子供達の頭の上でくるくる回って見せる。

レテの魔力制御と回路の構築力が凄いから出来るのだ。

古代魔法では複合したスペルの回路を作る必要がない。
いきなり最終的な現象をイメージして発現させることが出来る。
魔術からするとインチキのように簡単なんだ。

子供達は真似をしようとしているけどそんなに簡単では無い。

水を被ってしまったり、細かな光が明滅するだけだったり。

それでも散発的に現出して混ざり合うと美しい。

きゃあきゃあ言って喜んでいる。

「あれ?私何しに来たんだっけ。」

レテは思い出した様に持って来たお菓子を子供達に配る。

部屋の中での花火遊びを止めるつもりだったのにね。

「みんな魔法が使えるのね。」

「ギドに教えてもらったー。」

「んん?」

魔法って教えられて使えるようになるんだったっけ?

普通なら無理。

先天的に魔胞を持っている必要があるしそんなの10000人に一人もいない。

だから魔法学園は国内だけじゃなくて大陸中から、そして種族を問わずに魔法師を集めるんだ。

でもギドも元々魔胞を持っていなかった。

魔術書ではいくら探しても魔胞の作り方は載っていないし殆どの魔法師は錬金術の本なんかには興味がない。

それに魔胞を生成する錬金術の習得には時間がかかる。

既に魔胞を持つ魔法師には関心が無くて当たり前だ。
魔法の習得だけでも途方もない時間がかかるのだから。

と言う訳で元々持たない人間が生成して使える様になるには100年以上かかってしまうから現実的じゃない。

でもギドはその技術を習得している。

完全に魔法が使えるほどに魔胞を拡張するには長い時間がかかるけど、少しの水を出したり、灯りをつける、汚れを落とすなどの生活魔法程度ならすぐに出来るようになる。

そしてそのぐらいでも仕事にあぶれることはない。

レテの様な天才でもないと魔法の習得にはとてつもない時間がかかる。
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