8 / 93
第8話●孤児院
しおりを挟むレテは喜んでくれたけど僕は伯爵家に戻るつもりはないんだ。
せっかく貴族の束縛から解放されたのに嫌なこった。
弟のニルスはまだ鑑定の儀は迎えていないけれどジョブは魔法師だしMPも120ある、ちゃんとした天才魔法師だ。
僕は転生者だし他の人のメニュー表示が見えてしまうんだ。
僕は偽名を使っているので僕が孤児院にいて学園に行くのを知っているのは父とレテぐらい。
父は僕の性格をすごく理解しているので僕が魔法師を使えるようになったからって伯爵家に戻す様な事はしないと思う。
レテは僕に爵位がないと嫁げないから他の貴族と縁組するんだろうな。
「で、なんであんたたちそんな服着てんの?なにこの食べ物?ここ孤児院じゃないの?」
子供達はレテルティアをぽかんと見ている。
だから、なんでレテがここに。
「あー。ふうう。」と僕が答え始めるとレテが代弁する。
「え。これが普通の平民の服ですって?結構動きやすいから好き?みんなの分も作った?」
子供達がコクコクとうなづいている。
「ちゃんと王族御用達の腕の確かな仕立て屋さんで平民の普通の服を作ってって頼んだから間違いない?ふーん、そう。」
「袖口や襟周りのフリルを肌触りのいいシルクにした?」
「金糸で模様も入れたからかわいいでしょう?」
「どこの平民の孤児がこんな服を着ているって言うのかしら?」
この孤児院には10人の孤児がいるのでみんなの分に洗い替えも含めて100着ぐらい作った?
もう意味がわからない。
「平民の服なので結構安かった?金貨を300枚も払って安かったの?」
「それでなにを優雅に食べているのかしら?」
「今日はカルナガリア料理のフルコース。サンドワームのエウルチグ風グリル。絶品ですって?」
「凄腕のシェフを雇ったって?」
「みんなも美味しいって喜んでいる?」
「なに言ってんのよ、どこの孤児がピカピカのシルクの服着てカルナガリア料理を優雅に食べてんのよ。」
心配してお菓子や料理を持って来た私の立場はどうなるのよ。
「僕は『あうあう』としか言っていないんだけど。」
2
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
蓮華
釜瑪 秋摩
ファンタジー
小さな島国。 荒廃した大陸の四国はその豊かさを欲して幾度となく侵略を試みて来る。 国の平和を守るために戦う戦士たち、その一人は古より語られている伝承の血筋を受け継いだ一人だった。 守る思いの強さと迷い、悩み。揺れる感情の向かう先に待っていたのは――
転生錬金術師・葉菜花の魔石ごはん~食いしん坊王子様のお気に入り~
豆狸
ファンタジー
異世界に転生した葉菜花には前世の料理を再現するチートなスキルがあった!
食いしん坊の王国ラトニーで俺様王子様と残念聖女様を餌付けしながら、可愛い使い魔ラケル(モフモフわんこ)と一緒に頑張るよ♪
※基本のんびりスローライフ? で、たまに事件に関わります。
※本編は葉菜花の一人称、ときどき別視点の三人称です。
※ひとつの話の中で視点が変わるときは★、同じ視点で場面や時間が変わるときは☆で区切っています。
※20210114、11話内の神殿からもらったお金がおかしかったので訂正しました。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
婚約破棄は誰が為の
瀬織董李
ファンタジー
学園の卒業パーティーで起こった婚約破棄。
宣言した王太子は気付いていなかった。
この婚約破棄を誰よりも望んでいたのが、目の前の令嬢であることを……
10話程度の予定。1話約千文字です
10/9日HOTランキング5位
10/10HOTランキング1位になりました!
ありがとうございます!!
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる