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第15話 邪神
しおりを挟むコスタドガル帝国
帝都サデセブ市街のひしめく様に建つ建築物の屋根の上を飛ぶ様に白ネズミのチェリ、ツッピ、テトが走る。
その背後を黒装束の集団が追っている。
性懲りも無く帝国調査室が動いているのか?
一部の貴族ではなく帝国が動いているのか?
ネズミ達は追われている様に見えるが実は追っている黒装束の集団を誘導している。
彼らを使って僕達を狩ろうとしているのはボイケル・ボワヴァン公爵、帝国の司法大臣。
そして今向かっているのはそのボワヴァン公爵邸。
公爵邸に近づくと黒装束の集団は僕達を追う事から公爵邸に近づくのを阻止する体制に変わった。
僕達はお構いなしにボワヴァン公爵邸に突入する。
どこから集まってくるのか大量のネズミ達が邸の内外を覆う。
貴族が極めて個人的な趣味。
人に知られてはならない趣味のために用意する良くある地下室。
扉の正面に祭壇があり燭台や大きな器が置かれている。
壁に御神体のつもりなのか護符の様な物が貼ってある。
床には召喚の魔法陣が描かれている。
護符にはジェノツマルヤの名がある。
だけど召喚の魔法陣はウロボロスの召喚用だ。
これでは何をしても発動しない。
しかもウロボロスはダンジョンマスターをしている。
邪神と言われているジェツノマルヤは少し前から僕の城に居候している。
この公爵は一体何をしたいのだ?
魔法陣を取り巻く様におり重なって転がっている無数の胸を裂かれた子女の死体。
祭壇の器に盛られた赤黒い塊。
ボワヴァン公爵が地下室に来る。
「お前は誰だ?」
「僕か?僕は…。」
「闇の魔法師 ペトロニウス・グローヴズ様よ。」
いきなりポンっと人化したチェリが言う。
「どうしてお前が言うんだよ。」
「ご主人様顔真っ青、これ以上しゃべるとゲロ吐く。」
「ここに助けられる子供いない。全部片付ける。もう見ちゃダメ。」
チェリが言う間もなく部屋はネズミの群れに覆われて真っ黒になる。
ボワヴァン公爵もネズミに覆われていく。
何か叫ぼうとして口を開けたのだろうけどその口にもネズミ達が入り込み声も上げられず、倒れ込む事も出来ない様だ。
公爵邸前で追って来ていた黒装束の集団に囲まれる。
「皇帝はここで公爵が何をしていたのか知っていたのか?帝国調査室の特殊実行班が動いていると言う事はそう言う事じゃないのか?」
こいつらは何も喋らないと思っていたのだが。
「帝は幼い。何も知らない。執政が国の事を思ってした事だ。」
「そうだ、世界を勇者の好きにはさせない。勇者に勝る強い力を手に入れるのだ。」
口々に言い始める。
「ふーん。で、この儀式は誰がプロデュースしたの?」
「これは我がギェダ・グズムンドソン教団に伝わる秘法なのだ。」
自慢げに言われてしまった。
「それ、間違えているから。何にも召喚出来ないからね。」
彼らもネズミのおやつになってもらった。
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