35 / 50
それが ーアレクー
しおりを挟む
護衛は興奮気味だったので外に出した。
エリザベス嬢はさすがと言うべきか、いつも通りの様子で綺麗にお辞儀をしてでていった。
しかしルカのあの本気の怒鳴り声に動揺していないわけがないだろうな。
静まり返った部屋で俺が口火を切った。
「お前‥」
目の前で頭を抱えてうなだれているルカに声をかけるとピクと微かに体が跳ねた。
ルカの前に座る。
「謝罪するつもりじゃなかったのか」
「‥‥」
部屋はまたしても静まり返る。
「アメリア様になんて言う気だ」
「‥‥」
俺は前でうなだれっぱなしのルカを見ながらため息を我慢した。
うまく言えなかっただけなんだろうな。
でもそれをアメリア様やエリザベス嬢にどうわかってもらおうというんだ。
「俺は‥‥」
ぽつりとようやくルカが口を開いた。
「人が好きなんだ‥‥」
「‥そうだな。」
「どんな奴でもおもしろいって思えるんだ‥」
「苦手なヤツなんかいないんだ‥」
「でも‥リズ嬢は‥‥苦手かもしれん‥」
へえ
「リズ嬢とはなぜかうまくしゃべれないんだ‥」
だろうな
「俺はなんであんな‥大声を‥‥」
そこまでいうと両手で顔を覆い、また黙り込んでしまった。
「いつも通りじゃなくなるんだ。苦手だ‥いっそもう会いたくない。」
そうだな
でもすぐまた会いたくなる。
それが恋だ。
早く気付けよ、バカだな‥
また静寂に包まれた部屋に
バターン!!と音が鳴り響き、鬼の形相のアメリア様が入ってきた。
エリザベス嬢はさすがと言うべきか、いつも通りの様子で綺麗にお辞儀をしてでていった。
しかしルカのあの本気の怒鳴り声に動揺していないわけがないだろうな。
静まり返った部屋で俺が口火を切った。
「お前‥」
目の前で頭を抱えてうなだれているルカに声をかけるとピクと微かに体が跳ねた。
ルカの前に座る。
「謝罪するつもりじゃなかったのか」
「‥‥」
部屋はまたしても静まり返る。
「アメリア様になんて言う気だ」
「‥‥」
俺は前でうなだれっぱなしのルカを見ながらため息を我慢した。
うまく言えなかっただけなんだろうな。
でもそれをアメリア様やエリザベス嬢にどうわかってもらおうというんだ。
「俺は‥‥」
ぽつりとようやくルカが口を開いた。
「人が好きなんだ‥‥」
「‥そうだな。」
「どんな奴でもおもしろいって思えるんだ‥」
「苦手なヤツなんかいないんだ‥」
「でも‥リズ嬢は‥‥苦手かもしれん‥」
へえ
「リズ嬢とはなぜかうまくしゃべれないんだ‥」
だろうな
「俺はなんであんな‥大声を‥‥」
そこまでいうと両手で顔を覆い、また黙り込んでしまった。
「いつも通りじゃなくなるんだ。苦手だ‥いっそもう会いたくない。」
そうだな
でもすぐまた会いたくなる。
それが恋だ。
早く気付けよ、バカだな‥
また静寂に包まれた部屋に
バターン!!と音が鳴り響き、鬼の形相のアメリア様が入ってきた。
62
お気に入りに追加
216
あなたにおすすめの小説
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
病弱令嬢ですが愛されなくとも生き抜きます〜そう思ってたのに甘い日々?〜
白川
恋愛
病弱に生まれてきたことで数多くのことを諦めてきたアイリスは、無慈悲と噂される騎士イザークの元に政略結婚で嫁ぐこととなる。
たとえ私のことを愛してくださらなくても、この世に生まれたのだから生き抜くのよ────。
そう意気込んで嫁いだが、果たして本当のイザークは…?
傷ついた不器用な二人がすれ違いながらも恋をして、溺愛されるまでのお話。
*少しでも気に入ってくださった方、登録やいいね等してくださるととっても嬉しいです♪*
【完結】旦那に愛人がいると知ってから
よどら文鳥
恋愛
私(ジュリアーナ)は旦那のことをヒーローだと思っている。だからこそどんなに性格が変わってしまっても、いつの日か優しかった旦那に戻ることを願って今もなお愛している。
だが、私の気持ちなどお構いなく、旦那からの容赦ない暴言は絶えない。当然だが、私のことを愛してはくれていないのだろう。
それでも好きでいられる思い出があったから耐えてきた。
だが、偶然にも旦那が他の女と腕を組んでいる姿を目撃してしまった。
「……あの女、誰……!?」
この事件がきっかけで、私の大事にしていた思い出までもが崩れていく。
だが、今までの苦しい日々から解放される試練でもあった。
※前半が暗すぎるので、明るくなってくるところまで一気に更新しました。
【完結】あなただけがスペアではなくなったから~ある王太子の婚約破棄騒動の顛末~
春風由実
恋愛
「兄上がやらかした──」
その第二王子殿下のお言葉を聞いて、私はもう彼とは過ごせないことを悟りました。
これまで私たちは共にスペアとして学び、そして共にあり続ける未来を描いてきましたけれど。
それは今日で終わり。
彼だけがスペアではなくなってしまったから。
※短編です。完結まで作成済み。
※実験的に一話を短くまとめサクサクと気楽に読めるようにしてみました。逆に読みにくかったら申し訳ない。
※おまけの別視点話は普通の長さです。
元王妃は時間をさかのぼったため、今度は愛してもらえる様に、(殿下は論外)頑張るらしい。
あはははは
恋愛
本日わたくし、ユリア アーベントロートは、処刑されるそうです。
願わくは、来世は愛されて生きてみたいですね。
王妃になるために生まれ、王妃になるための血を吐くような教育にも耐えた、ユリアの真意はなんであっただろう。
わあああぁ 人々の歓声が上がる。そして王は言った。
「皆の者、悪女 ユリア アーベントロートは、処刑された!」
誰も知らない。知っていても誰も理解しない。しようとしない。彼女、ユリアの最後の言葉を。
「わたくしはただ、愛されたかっただけなのです。愛されたいと、思うことは、罪なのですか?愛されているのを見て、うらやましいと思うことは、いけないのですか?」
彼女が求めていたのは、権力でも地位でもなかった。彼女が本当に欲しかったのは、愛だった。
【12/29にて公開終了】愛するつもりなぞないんでしょうから
真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」
期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。
※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。
※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。
※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。
※コミカライズにより12/29にて公開を終了させていただきます。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる