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マリンVSマンダム

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◆マリン視点


「いけない!下にいくわ、早く!」


信じがたいけど、あの悪党ルケルがリンちゃんを救った。

誰も間に合わない状況でただ、一人、あいつだけが彼女を救えた。

いままでの経緯から貴方の事はすぐには許せないけど、今、この場において貴方はまさに英雄だわ。

おそらく、彼女の心には永遠にあなたは刻まれる。

認めてあげる。

あなたは今、この瞬間、英雄だったと。


ズウウンッ


もの凄い振動、轟音が闘技場外から聞こえる?!

悲鳴、逃げ出す人々、闘技場の中と外、両方が騒然としてる?


「な、なにが起こってるの?!」


メイサ「マ、マリンさん、あ、あれ!」


ミン「きゃあっ!」


指差したメイサにつられて上げた視線の先には、闘技場外壁を遥かに超えて覗き込む紅い光が一つ。

そいつは、そして大きく腕を振り上げた。


「!、二人とも、私のところに!結界バリアー!!」


ブンッ、ドッカーンッ、ガカァアーンッ


く、さすがに重い!でも、耐えられないことはない。

それより、コイツは一体、何?!


メイサ「い、岩山が動いてる?」


ミン「巨人?!」


「違う、これは、ゴーレム?」


だとしても、これ程のゴーレム魔法生物を作り出すにはどれだけ魔力が必要か?、どうみても全高六十メルはある!


私はチラッと闘技場を見た。

四人が魔獣と戦っている。

苦戦してる感じ、リンちゃんはタン君といっしょか。

どちらにしても、これは私が抑えないといけないわね!なら!


「結界玉バリアボール!」


三つの小さな結界が、球状になって高速にゴーレムに飛んでいく。


ドガガガアァーンッ


ゴーレム「ゴアッ」


「どう?私の新魔法の味は?効いたでしょ!」


グラァッ、ドッカーンッガラガラガラッ


ゴーレムは仰け反り、数歩下がりながら後ろに倒れた。よし!


ミン「マリンさん、メイサさん、私に乗って!」


ミンが獣化で子狼に変わる。


メイサ「いや、ミンちゃん、それ、無理だから」


ミン「ワオーンッ」


ミンが吠えた途端、銀色に輝き大きくなっていく。


「「?!」」


五メルくらいの大型銀狼になった。


「凄いわね」


メイサ「ミンちゃん、凄い、凄い!」


ミン「ガウッ」


ミンが腹這いになり、首をもたげて乗れと催促する。

私が前で後ろにメイサちゃんが乗ると、ミンは立ち上がって闘技場外にジャンプした。


メイサ「きゃあ」


「!」


スタッ


私達は、闘技場近くの家屋の屋根に乗り移った。

ゴーレムはまだ、起き上がれないでいる。


周りは逃げ惑う人々と、酷い!ゴーレムが歩いて来たと思われる破壊された町並み。

一体、誰があのゴーレムを呼び出したのか?!


ヒュンッ、ガキンッ「?!」


突然、私を斬りつける者がいたが、何者かがそれを防いだ。


メイサ「ひっ!?」


ミン「ガウ?!」


「!?、シン?」


エギュル「ちっ!」


見知らぬ獣人が飛び下がる。


シン「マリン様、ご無事ですか!」


マデリン「マリン様ーっ!」


シンとマデリンが、私達と獣人の間に入った。


「あらあらあら、エギュルちゃん、失敗しちゃった?英雄は邪魔だから先にヤッとこうって言ったのに」


そこに居たのは、やたら筋肉質な女物の服を着た大柄な獣人の男。


ミン「マ、マンダム伯爵!」


獣化を解いたミンが叫んだ。


マンダム「あら~、そこにいるガキはミン王女じゃなぁい、そこの人間に飼われているの~?貴女、奴隷、似合ってるわ」


私は話し続けるマンダムを無視して、シンとマデリンに話しかける。


「シン、マデリン、首尾は?」


シン「はい、ギルドの補助、終わりました」


マデリン「逃げ出して来た獣人達は、ダンケ殿下の手の者にうまく誘導しました」


ミン「マリンさん、ありがとう」


「いいのよ、元々、グリンから頼まれていたから」


シン「もっとも、一連の騒ぎで配置されていた領兵も逃げ出し、誘導は簡単でしたが」


ガンッ


「「「「「!」」」」」


マンダムが持っていた剣を、屋根に叩きつけた。


マンダム「あたしはねぇ、無視されるのは一番嫌なのよ!」


エギュル「はぁ……」


しかたなさげにその剣を拾うエギュル。


マンダム「貴女達だったのね?、あたしが捕まっていた同胞達を救い出して救国の英雄として凱旋し、王になる計画を邪魔してくれたのは!」


「あなたなのね?あのゴーレムで町を破壊したのは」


マンダム「ふふん、そうよ。あの子の名前はマンダム▪マークⅡ、あたしの可愛い子よ」


「許さない、あなたの身勝手な行動でどれだけの人々が苦しんでいると思ってるの!」


マンダム「いいわ、あなた、英雄の一人マリンよね、美人だわ」


「………」


マンダム「人間であたしより美人な女は、獣人にしてあげてるの。手前の女と後ろの子は私の方が美人だから許してあげる」


メイサ「は?」


マデリン「………………」


「人間を獣人に?そんな魔法、聞いたことないわ」


マンダム「簡単よ、私のこの太い腕で貴女の尻を百回叩くの。猿の獣人しかなれないけど」


シン「マリン様に不埒な事を言うな!」


マンダム「あら、貴方、よく見たらいい男じゃない。どう?あたしの男にならない?そしたら、後ろの女達を逃がしてやってもいいわよ」


下らない、なんて下らない男なの。

結局は自分の欲望を満たす為にこんな事をするなんて、本当に許せない。


マンダム「あら?急に寒けが、風邪かしら?」


メイサ「ミ、ミ、ミン、急に冷えるんだけど?」


ミン「わ、私もなんだか?さ、寒!」


シン「……マリン様」


マデリン「………………」


エギュル「この魔カ…………化け物か」


ゴゴゴゴゴッ


ゴーレムが立ち上がってくる。


マンダム「ホ、ホホホ、まんまとひっかかったわね?!いままでのおしゃべりはあの子を休ませてたのよ!さあ、マークちゃん、やっちゃいなさい」




「ぶっ飛ばしてやる!!!」


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