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お兄ちゃん
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時間は少し前
カル視点
「う、痛た、ここは?」
ラル「よう、気がついたかい?」
リム「あ~っ、カル、大丈夫か」
見回すとそこは、観客席下の出場者待ち合い室だった。
「……………負けました」
ラル「おう、見事な負けっぷりだったぜ。気がすんだかい?」
「…………」
ラル「ああ、あの聖女さん、お前が壁に叩きつけられた時、立ち上がってお前の所に来ようとしてたぜ。王太子に止められたけどな」
「!、そうですか………」
バンッ
「っ」、ラルがおれの背中を叩いた。
ラル「ま、がんばりな!まだ負けてねーぜ?」
「!、はい!」
わーっ、きゃーっ、逃げろ~
ラル「なんだ?やけに上が騒がしいな」
リム「取り敢えずメイサ達のところにいこうぜ、確かその先の上だよ」
おれは頷いてリムと観客席に向かって行こうとした時、ラルが言った。
ラル「あ~、俺はちょっとヤボ用を思い出した。ここで別れるぜ」
「わかりました。いろいろ、ありがとうございました」
ラル「おう、またギルドで会おうや」
ラルはそう言って、手を振りながら振り返らずに歩いていった。
そして、観客席にようやく上がったおれ達が見たものは、逃げ惑う人々と悲鳴を上げていたマリンさんだった。
マリン「いや~っ、誰か、リンちゃんを助けてー!」
「いったい何が?!リン?!!!」
リム「あ、あれ、ああ、あれじゃ」
おれはそれが目に入った瞬間、闘技場に飛び降りて駆け出した。
タン「ワウッ」
おれを獣化したタンが抜いていく。
「リン!」、「リン!」
反対側から仮面を外しながら、二人の男達が駆け出した。
レッドさんが?あんな壁側にいる?!
リンレイ「うあ、あ、あ、あ」
「!!!?」
あれは鎧鬼熊!魔獣生態系の頂点にいる天災級の魔獣?!普段、魔の森の奧地にいるはず、くそ、遠い、遠すぎる!誰か、誰か、誰か、奴が腕を上げた?!誰も間に合わない?!
「やめろおおおおぅ!!!!!!」
ザシュッ
その時、リンが真っ赤に染まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
受付嬢「はい、あなたも出てきて、逃げてください」
「おら、早く逃げろよ、前、つかえてんじゃねぇ、早くいけ」
ここは獣人達が掴まっている牢、魔獣兵器の対戦相手として集められていた。
ラルと受付嬢が獣人達を解放している。
受付嬢「まったくもう、なんで私が依頼をこなさなきゃいけないんですか?」
ラル「文句いうな、人がいないんだ、しかたねーだろうが」
ズン
受付嬢「給金、弾んでくださいよ」
ラル「わかった、わかった、依頼主のダンケ王太子に頼んでおく」
ズン
受付嬢「取り敢えず、さっきの人達で終わりですかね、奥のオリはなんですか?」
ラル「食うか?キイロねずみだぜ、五匹もいる」
ズン
受付嬢「キイロねずみ?なんでここで飼ってるんでしょ?」
バチッ
受付嬢がオリに近づいた時、ねずみから電撃が走った。
受付嬢「きやあああっ、し、痺れるぅ?!」
ズン
ラル「やべぇ、これは魔獣兵器だ、近づくな」
受付嬢「遅いんですけど!」
ズン
ラル「しかし、さっきからなんの振動だ?上で何かしてるのか?」
受付嬢「ギルド長~、痺れて動けないですぅ~」
ラル「…………カンベンしてくれ」
ズン
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
赤い、赤い、赤?これは何?
僕はいったいどうなったの?
あ、お兄ちゃん!お兄ちゃんが優しい目で微笑んで、僕を見ている。
これは、スローモーション?
でも、赤い、赤いお兄ちゃんが僕を見ながら飛んでる?
なんで?
大好きなお兄ちゃん、僕の唯一の家族、大事な、大事な僕のお兄ちゃん。
「お兄ちゃん!!!!!!」
僕は支えようとして僕の腕をとっているタン君とイエルを振り払って、お兄ちゃんのところに駆け出した。
イエル「リン!」
タン「お姉さん!」
お兄ちゃんにはグリンが付いていた。
グリン「リン、来ちゃだめだ!」
「お兄ちゃん!」
僕は構わず、お兄ちゃんのところに駆け寄った。
「!!うっ」
グリン「リン………」
お兄ちゃんはお腹がなかった。
グリンが首を振った。
グリン「だめだ、もう死んでる」
死んでる?お兄ちゃんが?この世界で唯一の家族が?
「死なせない!」
僕はお兄ちゃんに抱きついた。
グリン「リン?!」
誰かが言った、僕は聖女だと!そして死んだ人を生き返らせたと!なら!
グオオオオッ
ガキイィン、ガン、キイィン
後ろで奴と誰かが戦ってる、でも、かまうものか!
「生き返る魔法!でろ!?あれ?ヒールか?ヒール!ヒール!あれ?」
なんで?なんで魔法が出ない?というか呪文がわからない?なん、で、なん
「なん、で魔法が出ない???なんで」
グリン「リン、止めるんだ。死んだ人間を生き返らる魔法は存在しない」
存在しない?じゃあ、お兄ちゃんはどうなるの?お兄ちゃんは
(お兄ちゃんだ、お兄ちゃんはここにいるぞ!目を覚ませ、オリビアー)
(もっと食べなさい、ほら、これも美味しいぞ、ほら)
(かぞく、そうだ、私達は家族だ)
(ああ、私もだいすきだ!オリビア)
「あっ」
視界が歪む、世界が灰色に
「うあああ、あ、あ、あ、、あああああ、あ、あ、あ」
ズン
カル視点
「う、痛た、ここは?」
ラル「よう、気がついたかい?」
リム「あ~っ、カル、大丈夫か」
見回すとそこは、観客席下の出場者待ち合い室だった。
「……………負けました」
ラル「おう、見事な負けっぷりだったぜ。気がすんだかい?」
「…………」
ラル「ああ、あの聖女さん、お前が壁に叩きつけられた時、立ち上がってお前の所に来ようとしてたぜ。王太子に止められたけどな」
「!、そうですか………」
バンッ
「っ」、ラルがおれの背中を叩いた。
ラル「ま、がんばりな!まだ負けてねーぜ?」
「!、はい!」
わーっ、きゃーっ、逃げろ~
ラル「なんだ?やけに上が騒がしいな」
リム「取り敢えずメイサ達のところにいこうぜ、確かその先の上だよ」
おれは頷いてリムと観客席に向かって行こうとした時、ラルが言った。
ラル「あ~、俺はちょっとヤボ用を思い出した。ここで別れるぜ」
「わかりました。いろいろ、ありがとうございました」
ラル「おう、またギルドで会おうや」
ラルはそう言って、手を振りながら振り返らずに歩いていった。
そして、観客席にようやく上がったおれ達が見たものは、逃げ惑う人々と悲鳴を上げていたマリンさんだった。
マリン「いや~っ、誰か、リンちゃんを助けてー!」
「いったい何が?!リン?!!!」
リム「あ、あれ、ああ、あれじゃ」
おれはそれが目に入った瞬間、闘技場に飛び降りて駆け出した。
タン「ワウッ」
おれを獣化したタンが抜いていく。
「リン!」、「リン!」
反対側から仮面を外しながら、二人の男達が駆け出した。
レッドさんが?あんな壁側にいる?!
リンレイ「うあ、あ、あ、あ」
「!!!?」
あれは鎧鬼熊!魔獣生態系の頂点にいる天災級の魔獣?!普段、魔の森の奧地にいるはず、くそ、遠い、遠すぎる!誰か、誰か、誰か、奴が腕を上げた?!誰も間に合わない?!
「やめろおおおおぅ!!!!!!」
ザシュッ
その時、リンが真っ赤に染まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
受付嬢「はい、あなたも出てきて、逃げてください」
「おら、早く逃げろよ、前、つかえてんじゃねぇ、早くいけ」
ここは獣人達が掴まっている牢、魔獣兵器の対戦相手として集められていた。
ラルと受付嬢が獣人達を解放している。
受付嬢「まったくもう、なんで私が依頼をこなさなきゃいけないんですか?」
ラル「文句いうな、人がいないんだ、しかたねーだろうが」
ズン
受付嬢「給金、弾んでくださいよ」
ラル「わかった、わかった、依頼主のダンケ王太子に頼んでおく」
ズン
受付嬢「取り敢えず、さっきの人達で終わりですかね、奥のオリはなんですか?」
ラル「食うか?キイロねずみだぜ、五匹もいる」
ズン
受付嬢「キイロねずみ?なんでここで飼ってるんでしょ?」
バチッ
受付嬢がオリに近づいた時、ねずみから電撃が走った。
受付嬢「きやあああっ、し、痺れるぅ?!」
ズン
ラル「やべぇ、これは魔獣兵器だ、近づくな」
受付嬢「遅いんですけど!」
ズン
ラル「しかし、さっきからなんの振動だ?上で何かしてるのか?」
受付嬢「ギルド長~、痺れて動けないですぅ~」
ラル「…………カンベンしてくれ」
ズン
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
赤い、赤い、赤?これは何?
僕はいったいどうなったの?
あ、お兄ちゃん!お兄ちゃんが優しい目で微笑んで、僕を見ている。
これは、スローモーション?
でも、赤い、赤いお兄ちゃんが僕を見ながら飛んでる?
なんで?
大好きなお兄ちゃん、僕の唯一の家族、大事な、大事な僕のお兄ちゃん。
「お兄ちゃん!!!!!!」
僕は支えようとして僕の腕をとっているタン君とイエルを振り払って、お兄ちゃんのところに駆け出した。
イエル「リン!」
タン「お姉さん!」
お兄ちゃんにはグリンが付いていた。
グリン「リン、来ちゃだめだ!」
「お兄ちゃん!」
僕は構わず、お兄ちゃんのところに駆け寄った。
「!!うっ」
グリン「リン………」
お兄ちゃんはお腹がなかった。
グリンが首を振った。
グリン「だめだ、もう死んでる」
死んでる?お兄ちゃんが?この世界で唯一の家族が?
「死なせない!」
僕はお兄ちゃんに抱きついた。
グリン「リン?!」
誰かが言った、僕は聖女だと!そして死んだ人を生き返らせたと!なら!
グオオオオッ
ガキイィン、ガン、キイィン
後ろで奴と誰かが戦ってる、でも、かまうものか!
「生き返る魔法!でろ!?あれ?ヒールか?ヒール!ヒール!あれ?」
なんで?なんで魔法が出ない?というか呪文がわからない?なん、で、なん
「なん、で魔法が出ない???なんで」
グリン「リン、止めるんだ。死んだ人間を生き返らる魔法は存在しない」
存在しない?じゃあ、お兄ちゃんはどうなるの?お兄ちゃんは
(お兄ちゃんだ、お兄ちゃんはここにいるぞ!目を覚ませ、オリビアー)
(もっと食べなさい、ほら、これも美味しいぞ、ほら)
(かぞく、そうだ、私達は家族だ)
(ああ、私もだいすきだ!オリビア)
「あっ」
視界が歪む、世界が灰色に
「うあああ、あ、あ、あ、、あああああ、あ、あ、あ」
ズン
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