上 下
21 / 67

宝玉

しおりを挟む
エンペリア大陸中央山脈の中にエトナ山がある。

オリポス神の降臨したとの伝説の聖地であり、宝玉と呼ばれる宝石の産地である。

この宝玉、百年に一度の❪星降りの夜❫と呼ばれる流星群の後でないと見つける事が出来ない。


丸くて虹色、最大で一セム(1cm)の宝玉、一度の流星群で見つかる宝玉は百個ほどである。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「ほう、これが加工された宝玉か、なかなかに美しいな」


「はい、近年思うような入手が困難になりまして一セム1cm級は当店ではこちらのみになっております」


ルケルは手に馴染むように手のひらで転がして眺めた。


「よかろう、買おう。代金は後程、領館に取りに来るがいい」


「ありがとうございます。では、私めはこれで」


宝石商が出ていく。


コン、コン


「入れ」


入れ替わりに一人の武官が入ってくる。


「すみません、だんな」


「殿下だ、馬鹿め!何度言ったらわかる?!」


ルケルは武官を振り向き、怒鳴った。


「殿下、すみません、見つけやした」


「!確かなのか?」


「へい、ただ」


「ただ?」


「見失いやした」


ダンッ、ルケルが銀髪を乱して机を叩いた。


「馬鹿め、そんな報告はいらん!」


「火の魔法使いと一緒でした」


「!っ、くっ、くっ、くっ、くははは」


ルケルは俯むき、髪を振り乱しながら笑いだした。


「?」


「そうか、そうか、あやつがいたか!なら、間違いないな、ははは!」


ルケルはしばらくして平静を取り戻し、武官を見た。


「奴から女を奪え、これを」


武官はルケルから、首輪のような物を受け取る。


「これは?奴隷の首輪ですかい」


◆(奴隷の首輪、命令に従わないと痛みが続く)


「もっと強い、隷属の首輪だ。」


「ヒューッ、御宝じゃあないですかい!」


◆(隷属の首輪、意思を奪い思うように操れる)


「そうだ、宮廷魔術士に作らせた。だが、意志の強い人間は操れん。そのかわり」


ルケルは机の引き出しから、腕輪のような物を出した。


「これは意志伝達の魔道具だ。その首輪と組になっている」


「へえ、そんでどうしやす?」


「お前達に依頼した魔獣捕獲の件だ」


「?へえ、島には言われた通り生きた魔獣を送りやしたけど」


「まだ、送っていない魔獣がいるだろう、ええい!わからん奴だな!」


ブンッ、パシッ


しびれを切らしたルケルが腕輪を投げ、武官が受け取る。


「おっと!だん、殿下、壊れちまいますぜ。わかりやした、これで魔獣を操れるってことで」


フーッ、「やっとわかったか、一つしかない!一番強い魔獣に使い襲わせよ。その間に女を奪うのだ。奴は城に適時に連絡しているはず、すぐに位置は知れる」


「最近捕まえた奴にしやしょう、人懐っこい魔獣で簡単に捕まえやしたが本来は強い魔獣で」


「どんな魔獣だ?」


「ジャイアントベアー、それも成獣でさ」


「災害級か、よく捕まえたな?」


「へえ、信じられねんですが、どうも人に飼われてたぽいんで、この人形をみせたらおとなしく付いてきやして、今はオリに入ってやす」


「ほう?」


ルケルは人形を受け取る。

それは、三頭身リン人形だった。


「それで女を捕まえたら予定通りギガールに送るんで?」


「知らん」


「へ?いんですかい」


「こっちは結果は出している、それに老人のおもちゃにはもったいない」


「へへ、まったくで」

隷属の首輪が怪しく光った。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「幽閉?!どういうことなの?」


獣人A「お気を確かに、ミンさま」


ここは裏町のとある食堂の地下室、そこにミンとメイサはいた。


獣人A「急進派の反乱です。首謀者はマンダム伯爵です」


「お父様とお母様が!」


メイサ「ミンさま?の父ちゃんと母ちゃんだから王様とお妃様か、二人が牢屋に入れられたって事?!」


獣人A「そんなことあるか!後宮に閉じ込められたのだ」


「………早くダンケ兄さんを見つけないと」


ガヤガヤガヤ


獣人A「?なんでしょう、上が騒がしい」


バタンッ、いきなり地下室のドアが開いた。


「「「!」」」


ダンケ「ミン!」


「ダンケ兄さん?!」


そこには銀髪、碧眼、狼耳のイケメンがいた。

ミンとダンケは抱き合う。


「よかった、あの時に捕まって別れてからずっと心配だったの」


ダンケ「すまなかった、助けに行って捕まった私を許してほしい」


「ううん、とにかく逢えてよかった」


A獣人「王太子殿下!よくご無事で、どうやってここまで?」


ダンケ「彼らに助けられたのだ」





ダンケが振り向いた先には、グリンとイエルが立っていた。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

神様!モフモフに囲まれることを希望しましたが自分がモフモフになるなんて聞いてません

縁 遊
ファンタジー
 異世界転生する時に神様に希望はないかと聞かれたので『モフモフに囲まれて暮らしたい』と言いましたけど…。  まさかこんなことになるなんて…。  神様…解釈の違いだと思うのでやり直しを希望します。

魔法使いと彼女を慕う3匹の黒竜~魔法は最強だけど溺愛してくる竜には勝てる気がしません~

村雨 妖
恋愛
 森で1人のんびり自由気ままな生活をしながら、たまに王都の冒険者のギルドで依頼を受け、魔物討伐をして過ごしていた”最強の魔法使い”の女の子、リーシャ。  ある依頼の際に彼女は3匹の小さな黒竜と出会い、一緒に生活するようになった。黒竜の名前は、ノア、ルシア、エリアル。毎日可愛がっていたのに、ある日突然黒竜たちは姿を消してしまった。代わりに3人の人間の男が家に現れ、彼らは自分たちがその黒竜だと言い張り、リーシャに自分たちの”番”にするとか言ってきて。  半信半疑で彼らを受け入れたリーシャだが、一緒に過ごすうちにそれが本当の事だと思い始めた。彼らはリーシャの気持ちなど関係なく自分たちの好きにふるまってくる。リーシャは彼らの好意に鈍感ではあるけど、ちょっとした言動にドキッとしたり、モヤモヤしてみたりて……お互いに振り回し、振り回されの毎日に。のんびり自由気ままな生活をしていたはずなのに、急に慌ただしい生活になってしまって⁉ 3人との出会いを境にいろんな竜とも出会うことになり、関わりたくない竜と人間のいざこざにも巻き込まれていくことに!※”小説家になろう”でも公開しています。※表紙絵自作の作品です。

異世界で生きていく。

モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。 素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。 魔法と調合スキルを使って成長していく。 小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。 旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。 3/8申し訳ありません。 章の編集をしました。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_ 【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】 後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。 目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。 そして若返った自分の身体。 美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。 これでワクワクしない方が嘘である。 そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

兎人ちゃんと異世界スローライフを送りたいだけなんだが

アイリスラーメン
ファンタジー
黒髪黒瞳の青年は人間不信が原因で仕事を退職。ヒキニート生活が半年以上続いたある日のこと、自宅で寝ていたはずの青年が目を覚ますと、異世界の森に転移していた。 右も左もわからない青年を助けたのは、垂れたウサ耳が愛くるしい白銀色の髪をした兎人族の美少女。 青年と兎人族の美少女は、すぐに意気投合し共同生活を始めることとなる。その後、青年の突飛な発想から無人販売所を経営することに。 そんな二人に夢ができる。それは『三食昼寝付きのスローライフ』を送ることだ。 青年と兎人ちゃんたちは苦難を乗り越えて、夢の『三食昼寝付きのスローライフ』を実現するために日々奮闘するのである。 三百六十五日目に大戦争が待ち受けていることも知らずに。 【登場人物紹介】 マサキ:本作の主人公。人間不信な性格。 ネージュ:白銀の髪と垂れたウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。恥ずかしがり屋。 クレール:薄桃色の髪と左右非対称なウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。人見知り。 ダール:オレンジ色の髪と短いウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。お腹が空くと動けない。 デール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。 ドール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。 ルナ:イングリッシュロップイヤー。大きなウサ耳で空を飛ぶ。実は幻獣と呼ばれる存在。 ビエルネス:子ウサギサイズの妖精族の美少女。マサキのことが大好きな変態妖精。 ブランシュ:外伝主人公。白髪が特徴的な兎人族の女性。世界を守るために戦う。 【お知らせ】 ◆2021/12/09:第10回ネット小説大賞の読者ピックアップに掲載。 ◆2022/05/12:第10回ネット小説大賞の一次選考通過。 ◆2022/08/02:ガトラジで作品が紹介されました。 ◆2022/08/10:第2回一二三書房WEB小説大賞の一次選考通過。 ◆2023/04/15:ノベルアッププラス総合ランキング年間1位獲得。 ◆2023/11/23:アルファポリスHOTランキング5位獲得。 ◆自費出版しました。メルカリとヤフオクで販売してます。 ※アイリスラーメンの作品です。小説の内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

処理中です...