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王女は勇者の実力を知る
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「エマ...本当にやるのか?」
「はい。」
私とミルが向かった先は私がよく魔法の練習をするために使っていた森の奥地であった。
あの蝙蝠型の魔物との戦いを見ていて思っていたのだが、仇討ちをするという割りに彼は弱すぎる。
どの程度の魔物かはわからないが、今の彼は精々小型の魔物程度しか倒せないだろう。
「とりあえず今の貴方の実力が知りたいのです。」
「けど、最初からコレは...。」
彼の目の前には狼型の魔物がこちらを見て唸っていた。
私は彼にこの魔物を狩ることを目標に設定した。
この程度であれば多少の心得があれば倒せると踏んでいる。
「怖気図いてないで早く攻撃しないと死にますよ。」
「ああもう!分かった!」
彼は前に飛び出して臨戦態勢に入る。
『アティカル』
以前にも見せた炎の魔法を放つ。
相変わらず威力はお粗末なもので狼型の魔物には少しもダメージが入っていなかった。
『ガルーー!』
ミルに向かって真っすぐに突撃する。
彼は避けることもできずに吹き飛ばされてしまった。
背中を木に打ち付けて気を失ってしまったようだった。
近くに近づいて確認してみると、背中にざっくりと傷が入り、大量の血が流れていた。
その血に反応するように狼型の魔物の目が血走る。
彼が戦闘能力が弱いことは知っていたが、流石にここまでとは思っていなかった。
私は急いで闇の回復魔法を唱える。
『ヒクロス』
私の腕から黒い霧のようなものが出てきて、ミルを包む。
本当は光や水の魔法の回復をしてあげれたらよかったのだが、急激な回復は身体に負担がかかってしまう。
そのため私が一番使いこなすことができない闇の魔法での回復を選んだ。
見た目が悍ましいため、魔物はこれが回復魔法だと気が付くことが出来ずに攻撃のタイミングをうかがっていた。
「さて、私の失敗は私がカバーしないと。」
私は狼型の魔物の前に立つ。
魔物は素早く動こうとしたが体が動かなかった。
それもそうだろう。
私の土の魔法で足元を地面の中に埋めたのだから。
「この戦い方は久しぶりなので少し痛いかもしれないけど…」
私はゆっくりと魔物を地面に沈めていく。
吠えられて仲間を呼ばれるのは迷惑だから、口も既に塞いでいた。
本来魔法は詠唱を必要とする。
知能がある魔物は詠唱をすると、魔法を放つことを学習していてタイミングよく避けてしまう。
それに気が付いた私はある程度の低級魔法は無詠唱で魔法を発動させられるように特訓していた。
「地に還ってね。」
狼型の魔物は何も私にすることが出来ずに静かに地面の中に消えていった。
「はい。」
私とミルが向かった先は私がよく魔法の練習をするために使っていた森の奥地であった。
あの蝙蝠型の魔物との戦いを見ていて思っていたのだが、仇討ちをするという割りに彼は弱すぎる。
どの程度の魔物かはわからないが、今の彼は精々小型の魔物程度しか倒せないだろう。
「とりあえず今の貴方の実力が知りたいのです。」
「けど、最初からコレは...。」
彼の目の前には狼型の魔物がこちらを見て唸っていた。
私は彼にこの魔物を狩ることを目標に設定した。
この程度であれば多少の心得があれば倒せると踏んでいる。
「怖気図いてないで早く攻撃しないと死にますよ。」
「ああもう!分かった!」
彼は前に飛び出して臨戦態勢に入る。
『アティカル』
以前にも見せた炎の魔法を放つ。
相変わらず威力はお粗末なもので狼型の魔物には少しもダメージが入っていなかった。
『ガルーー!』
ミルに向かって真っすぐに突撃する。
彼は避けることもできずに吹き飛ばされてしまった。
背中を木に打ち付けて気を失ってしまったようだった。
近くに近づいて確認してみると、背中にざっくりと傷が入り、大量の血が流れていた。
その血に反応するように狼型の魔物の目が血走る。
彼が戦闘能力が弱いことは知っていたが、流石にここまでとは思っていなかった。
私は急いで闇の回復魔法を唱える。
『ヒクロス』
私の腕から黒い霧のようなものが出てきて、ミルを包む。
本当は光や水の魔法の回復をしてあげれたらよかったのだが、急激な回復は身体に負担がかかってしまう。
そのため私が一番使いこなすことができない闇の魔法での回復を選んだ。
見た目が悍ましいため、魔物はこれが回復魔法だと気が付くことが出来ずに攻撃のタイミングをうかがっていた。
「さて、私の失敗は私がカバーしないと。」
私は狼型の魔物の前に立つ。
魔物は素早く動こうとしたが体が動かなかった。
それもそうだろう。
私の土の魔法で足元を地面の中に埋めたのだから。
「この戦い方は久しぶりなので少し痛いかもしれないけど…」
私はゆっくりと魔物を地面に沈めていく。
吠えられて仲間を呼ばれるのは迷惑だから、口も既に塞いでいた。
本来魔法は詠唱を必要とする。
知能がある魔物は詠唱をすると、魔法を放つことを学習していてタイミングよく避けてしまう。
それに気が付いた私はある程度の低級魔法は無詠唱で魔法を発動させられるように特訓していた。
「地に還ってね。」
狼型の魔物は何も私にすることが出来ずに静かに地面の中に消えていった。
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