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ドキドキ?夏合宿
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コテージに戻るとあたりは暗くなりはじめていて、トレーニングは終わりにすることになった。
「私達は夕ご飯の支度してるから、朔は先にお風呂入っちゃいなよ」
真希は朔に声を掛けた。こっちには次の作戦があるからね。
「そうか。それじゃあ頼んだ」
そう言って朔はお風呂に向かっていった。真希はつるぎに向きなおる。
「つるぎ! 次の作戦だよ。美味しいご飯を作って朔を喜ばせよう!」
作戦二、手料理で家庭的アピールだ!
生活に必要なものは全てそろっていると言っていただけあって、コテージには歯ブラシ、飲み物、タオルなど色々なものが用意してあった。キッチンを漁ると米、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、豚肉が見つかった。あとはあれがあれば。
「私にも出来るでしょうか……」
「大丈夫大丈夫。作るのはカレーだから簡単だよ。一緒にやればあっという間だって」
戸棚からカレールーが見つかった。やっぱり合宿といえばカレーだよね。
ちょうどいいところにあったフリルが可愛いエプロンを身に着けて調理を始める。
「じゃあ、まずは野菜を切ってもらおうかな」
つるぎに皮をむいたじゃがいもを手渡す。
「分かりました」
つるぎは手にした包丁を振り上げ、じゃがいも目がけて振り下ろした。
真っ二つになったじゃがいもが衝撃で空を飛ぶ。
「包丁って使いにくいですね。慣れたものを使ったほうが切りやすそうです」
そう言ってつるぎはポケットから何かを取り出そうとする。それってもしかして……
「よっと」
つるぎは斧を振り上げた。……ちょ、ちょっと待って!
「つるぎ! ストップ! それ使ったらまな板ごといっちゃうから!」
なんとか斧の持ち手を掴んで動きを止める。いや、下手したら調理台も破壊するぞ……
「つるぎ、料理で斧は使えません。覚えておきましょうね」
「……分かりました」
しぶしぶといった様子でつるぎは斧をしまった。この子の今後が心配だ。
その後はつるぎに正しい包丁の使い方を教えて、何とかカレーを完成することができた。
「うん、美味しくできてる。つるぎも味見してみな」
小皿によそったカレーをつるぎに手渡す。
「……美味しい」
つるぎが嬉しそうに微笑む。
「うわぁあ!」
その時、お風呂のほうから朔の叫び声が聞こえた。
「確認してくるから、ちょっと待ってて!」
つるぎに声をかけ、脱衣所の扉の前まで急いだ。
「朔! どうしたの!?」
「……真希、着替え持ってるか」
扉の向こう側から声が聞こえる。
「いや、泊まる用意なんて何もしてきてないけど。神谷総監督が用意してくれてるんじゃないの?」
食料やタオル、寝室には新品の加圧ソックスなんてものまで用意してあった。これだけ準備されているのだから、脱衣所には着替えが置いてあるだろう。
「そこが問題だったか……あの変態総監督め」
朔が呟く。
「もういい、僕はもう一回同じ服を着る!」
「だめだよ! この後洗濯して明日着て帰るんだから」
「嵌められたっ……!」
その後、脱衣所からごそごそという音が聞こえた。
「……いいか、絶対に笑うなよ」
「うん?」
出てきた朔はくま型のルームウェアを着ていた。
「うはっ! か、可愛いすぎる……! くくっ……!」
「わ、笑うなって言っただろー!」
顔を真っ赤にした朔が腕を振り回して怒る。その恰好で怒っても可愛いだけなんだよな。
なかなか戻らないのでつるぎが様子を見に来た。
「大丈夫でしたか? ……まあ、朔! よく似合っていますね。ふふ」
「つるぎまで笑うなんて、ひどい!」
つるぎも朔の様子をみて楽しそうだ。
「じゃあ、私達もお風呂に入ってこようかな。朔はテーブル拭いたりして待ってて」
「……分かった」
朔は口を尖らせてダイニングのほうに向かっていった。
「私達は夕ご飯の支度してるから、朔は先にお風呂入っちゃいなよ」
真希は朔に声を掛けた。こっちには次の作戦があるからね。
「そうか。それじゃあ頼んだ」
そう言って朔はお風呂に向かっていった。真希はつるぎに向きなおる。
「つるぎ! 次の作戦だよ。美味しいご飯を作って朔を喜ばせよう!」
作戦二、手料理で家庭的アピールだ!
生活に必要なものは全てそろっていると言っていただけあって、コテージには歯ブラシ、飲み物、タオルなど色々なものが用意してあった。キッチンを漁ると米、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、豚肉が見つかった。あとはあれがあれば。
「私にも出来るでしょうか……」
「大丈夫大丈夫。作るのはカレーだから簡単だよ。一緒にやればあっという間だって」
戸棚からカレールーが見つかった。やっぱり合宿といえばカレーだよね。
ちょうどいいところにあったフリルが可愛いエプロンを身に着けて調理を始める。
「じゃあ、まずは野菜を切ってもらおうかな」
つるぎに皮をむいたじゃがいもを手渡す。
「分かりました」
つるぎは手にした包丁を振り上げ、じゃがいも目がけて振り下ろした。
真っ二つになったじゃがいもが衝撃で空を飛ぶ。
「包丁って使いにくいですね。慣れたものを使ったほうが切りやすそうです」
そう言ってつるぎはポケットから何かを取り出そうとする。それってもしかして……
「よっと」
つるぎは斧を振り上げた。……ちょ、ちょっと待って!
「つるぎ! ストップ! それ使ったらまな板ごといっちゃうから!」
なんとか斧の持ち手を掴んで動きを止める。いや、下手したら調理台も破壊するぞ……
「つるぎ、料理で斧は使えません。覚えておきましょうね」
「……分かりました」
しぶしぶといった様子でつるぎは斧をしまった。この子の今後が心配だ。
その後はつるぎに正しい包丁の使い方を教えて、何とかカレーを完成することができた。
「うん、美味しくできてる。つるぎも味見してみな」
小皿によそったカレーをつるぎに手渡す。
「……美味しい」
つるぎが嬉しそうに微笑む。
「うわぁあ!」
その時、お風呂のほうから朔の叫び声が聞こえた。
「確認してくるから、ちょっと待ってて!」
つるぎに声をかけ、脱衣所の扉の前まで急いだ。
「朔! どうしたの!?」
「……真希、着替え持ってるか」
扉の向こう側から声が聞こえる。
「いや、泊まる用意なんて何もしてきてないけど。神谷総監督が用意してくれてるんじゃないの?」
食料やタオル、寝室には新品の加圧ソックスなんてものまで用意してあった。これだけ準備されているのだから、脱衣所には着替えが置いてあるだろう。
「そこが問題だったか……あの変態総監督め」
朔が呟く。
「もういい、僕はもう一回同じ服を着る!」
「だめだよ! この後洗濯して明日着て帰るんだから」
「嵌められたっ……!」
その後、脱衣所からごそごそという音が聞こえた。
「……いいか、絶対に笑うなよ」
「うん?」
出てきた朔はくま型のルームウェアを着ていた。
「うはっ! か、可愛いすぎる……! くくっ……!」
「わ、笑うなって言っただろー!」
顔を真っ赤にした朔が腕を振り回して怒る。その恰好で怒っても可愛いだけなんだよな。
なかなか戻らないのでつるぎが様子を見に来た。
「大丈夫でしたか? ……まあ、朔! よく似合っていますね。ふふ」
「つるぎまで笑うなんて、ひどい!」
つるぎも朔の様子をみて楽しそうだ。
「じゃあ、私達もお風呂に入ってこようかな。朔はテーブル拭いたりして待ってて」
「……分かった」
朔は口を尖らせてダイニングのほうに向かっていった。
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