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エピソード14. 海の森

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 嵐が去り晴れ渡る空の下、私はただひたすらに海面下を見つめていた。誰か一人でも浮き上がってくる者が現れないかと必死に目を凝らしたが、海は暗く黒く、その深淵を覗かせることはなかった。
 大きな船は伽藍としている。櫂が残されていても、漕ぎ手はいない。一人で操舵するには、この船はあまりに大きすぎた。行先は定められず、気ままなる海の潮流に身を任せるより他にはなかった。
 太陽の神は海面を見詰める私の首元を干上がらせた。汗か海水か判別の付かない雫が、ポタリと影を落とした。私は直視できなかった。ヨナタンを、男たちを巻き込んでしまった罪を。一人生き残ってしまった現実を。そして男たちの命と引き換えに見た、人魚と鯨の群れに高揚を抱く罪悪を——。現実から目を逸らすように、ただ水面を凝視するより他にはなかった。
 生きるべきか、死ぬべきか。あれから何年経とうとも、思考は海のように渦を巻き、いつも同じ結論を導き出す。死ぬべきは私の方だった。ヨナタンのような男が死ぬべきではなかった。私の代わりに失われていい命など、一つもなかった。
 島に戻って、一体私は女たちに何と申し開きをすればいいと言うのか。この目で見たことを語ったとて誰が信じるだろうか。私は船底に体を横たえ、陽の光を浴びた。このまま干上がってしまえばいいと思った。島に戻らなければ、女たちに責められることはない。この後に及んで私は保身に走ろうと言う。海に命を投げ出す勇気もないくせに、我が身可愛さに、ヨナタンが救った命が潰えてしまえばいいと思ったのだ。
 太陽の神の威光が容赦なく降り注ぎ、先程まで海にあったにも関わらず、私の服や体表から水分を奪い去った。太陽の神を直接見詰めれば、その傲慢に目が焼かれ、やがて死に至ると言う。だがそれすらも私には出来なかった。瞼を閉じたまま、涙を流しながら、ただその威光を浴びていた。我が身の行く末を我が身で決めることが恐ろしく思えてならなかった。ヨナタンに救われた命を、本当にここで終わらせていいのか。全てを神の手に委ねようとしたのだ。涙が乾いた箇所から、皮膚が引き攣るような感覚がした。
 どれほどの間そうしていたか分からない。いつの間にか日は暮れ、太陽の神が去り、月の女神が訪れた。頭は重く鈍く、起き上がることは困難だった。このまま明日を迎え再び太陽の火に焼かれれば、望み通り死ぬことができるだろう。傍目には死してから『棺』で流されたように見えるはずだ。私は胸の上で手を組み、物言わぬ死体になり切ろうと努力した。
 ……それでも。それでも私はまだ死を克服できずにいた。私が成したことは、全て間違っていたのだろうか。私が全てを知りたいと願うことは、全て過ちだったのだろうか。だとすれば私の生に、一体何の意味があったと言うのだろうか。分からないままに終わる、そのことが何よりも恐ろしかった。
 やがて頬に刺激を感じた。それは次第に数を増し、ようやく目を開いた。月の女神が慈愛の涙を流している。干からびかけた体に、再び潤いをもたらした。
 私は生かされている。私の意思の届かぬところで、大いなる運命が私を生かそうとしている。それが何のためかは分からない。だが、ここで終わる定めではない。私は再び目を閉じ、全てを委ねた。水底の砂のように重い思考が、深い眠りをもたらした。



 漣の音に目を覚ますと、見慣れぬ光景が広がっていた。塩の海に広がる大きな森。奇妙な形をしたその根に、船は打ち上げられていた。隣の島に私は一人流れ着いたのだ。
 全身が軋む痛みに襲われる。昨日は精神的な負荷が頭の内を占めていたために気づかなかったのだろう。嵐に揉まれありとあらゆる箇所に打撲と切り傷ができ、焼けた肌の上からでも分かるほどに黒く変色していた。
 私は痛みを押して島へと降り立った。そこは不思議な島だった。天に届こうかというほど大きな木が生い茂り、一帯を日陰と化していた。最大の特徴はその木の根本で、蛸の足のように張り巡らされた根が浮いていた。まるで板のように薄い根が周囲を囲う木もあった。父や兄の話に聞いた土はほとんど見当たらず、本来地中に埋もれるはずの根が海から生えていた。私はこれほどまでに多くの木が生えているのを見たことがない。木が多く生い茂る場所を昔は森と呼んだそうだ。隣の島はまさしく、海の森だった。
 元来植物は塩と相性が悪い。我々の島は土が少なくほとんどが砂でできているために草木が少ないのは、その証左だ。塩は人間にとってもそうであるように、植物の水分を奪い去り、枯れ朽ちさせる。ところがこの島の植物は海水に適応している。まるで海へ還った人魚のように。
 私は木の根を掻き分けて森の全容を把握しようと歩を進めた。足場は日陰となり見ることができない。海面に出た根に足を掛ける。バランスを崩さないように慎重に歩を進めると、やがて根と根の間に足のつく場所に行き着いた。どうやらそこが島の中心のようだった。かつて聞いたような土はどこにもない。足の指の間に砂が流れ込み、砂の内にいた小さな生き物が足の上を過ぎ去っていった。
 ヨナタンが予期したように、この隣の島も、我々の島より早く滅びを迎えてしまったのかもしれない。
 不意に木の上から大きな音がした。鳥が翼を広げたような、空を切る音だ。その音の在処に目をやると、人影がこちらを見下ろしていた。
 初めはそれが女であることに気が付かなかった。彼女は髪が短く、黒く焼けた腕は島の男と変わらないほどに太く、何よりその手に斧を持っていた。斧とは木を切るために作られた、木の棒と金属を組み合わせた道具だ。金属は水で、特に塩で錆び易い。彼女が持っていた斧はもう既に過去の遺物と化そうというような、古びて切れ味の悪くなったものだった。
「この島に人が流れ着くのは久方ぶりだ。残されたのは私とその子供たちだけ。お前が求めるものはない。去れ」
 その声の響きは高く、その言葉の響きは我々のものとよく似ていたが、どこか異国の響きを漂わせた。
 女が踵を返すのに、私は追い縋った。
「待ってくれ、教えてはくれないか。この島はかつて肥沃な大地を有していたはずだ。この島は、一体何故沈んだ? 私たちは鯨と肥沃な大地を求めてきた。だが辿り着く前に人食い鯨に飲まれ、皆帰らぬ者となってしまった」
 女はピクリと肩を震わせた。彼女は徐ろに振り向くと、私に問うた。
「お前、どこから来た」
「七つの夜を超えた先から」
「……なら、知らなくても無理はない、か」
 女は自身の立つ木の根本を指した。木には穿った跡があり、足場となっているようだった。どうやら登ってこいということらしい。我々の島に生える木はせいぜい大人二人か三人分といったところだが、この島の木々は遥かに大きい。我々の家を縦に置いたほどの高さに、木で作られた家があった。それが彼女の住まいだった。
 私は老体に鞭打ちながら、蛸の足のように張り巡らされた根を辿り登った。なるべく下を見ないように。手足は震え、指先は乾いていた。見かねた彼女は家に戻ると、結び目の付いた縄を持って来た。投げ出されたそれを掴みながら必死に上を目指した。最後には彼女に引き上げられ、ようやく平らな場所に辿り着いた。
 彼女の住まいは複雑に絡み合う木々の枝の間にあった。安定感のある木の上に平らに整えた木々を敷いて大地を再現しているようだった。同様に家も木でできていた。我々が鯨の骨や皮を使って作る家とは違い、床も壁も屋根も、全て均一に整えられた木々で作られており、端正な形をしていた。我々が乗って来た大きな船のように——。
 私がその技術力に感嘆している間に、女は家の中へと向かっていた。這う這うの体で追い掛ける。扉の奥には更に扉があった。家の中が仕切られており、窓があり、家具が揃えられていた。いずれも木でできていた。中でも私の目を引いたのは、棚に収められた数冊の本だった。背表紙の文字こそ消えているが、我々の家にあるものより遥かに新しいそれに、動悸が激しくなる。あの本には何が書かれている。私の知らない真実はここにあるのか——。
「座れ」
 女が椅子を引く。私は逸る気持ちを抑えながらそれに座った。私が本棚に夢中になっている間に、彼女はテーブルの上に木をくり抜いて作られた器を置いた。中には鮮やかな色の液体がなみなみと注がれている。その芳醇な香りは酒とよく似ていた。
「果実を搾ったものだ。発酵させれば酒にもなる。飲め。ここにもう真水はない。水分は食べ物から摂れ」
 私は恐る恐る器に口を付けた。その時の心地を何にたとえることができるだろうか。それはまるで楽園の果実、これまで生きてきた中で最も瑞々しく、最も甘美な味をしていた。干涸びた喉を潤すそれは酒とは違い死も酩酊ももたらさないまさしく神々の恵みだった。
「まずはお前の話を聞かせろ。鯨に飲まれた男たちの話を。その場に人魚はいたかどうかを」
 私は頷き、徐ろに口を開いた。鯨が獲れなくなり漁に出たこと。長旅に耐えることができるか分からず、この島を目指したこと。その道中で嵐に巻き込まれ、男たちが皆鯨に飲まれてしまったこと。鯨に飲まれる前、人魚が鯨を引き連れてきたこと——。
「……だが、私自身の目的は鯨を獲ることでも、この島を目指すことでもなかった。死地を求めるなんて欺瞞だ。この世界のことを知らぬままに朽ちていくのが我慢ならない。私の好奇心が、皆を道連れにしてしまったのだ」
 一夜を経ても、鯨に飲まれる皆の苦悶の表情が目に焼き付いて離れない。ただ一人生き残ってしまった私に、皆の亡霊が追い縋るような幻想に駆られるのだ。
「傲慢だな。全てがお前のせいなものがあるものか。弱いものが淘汰される、この世界では当然のことだ。男たちだって覚悟して海に出たはずだ。そうでなかったなら、考えが甘かったんだ。自業自得だろう」
 女は私の懺悔を一笑に付した。
「教えてやろう、この島はな、鯨と人魚に滅ぼされたんだ。お前たちと同じさ」
 女曰く。この島はお前が言ったように肥沃な大地があり、川があった。私たちは川の周囲に集落を築き、土を耕し、作物を育てていた。海の水位は徐々に上がり、川には塩生の植物が侵食し始めていた。集落の近くにそれらの木々が生え出したら、移動の合図だ。集落は徐々に上流へと追い立てられていく。それでも、まだ滅びが訪れるにはまだ猶予が残されていた。
 お前の島とは反対側、この島の裏側には群島がある。近い位置にいくつもの島々があり、人々は船に乗り交易した。この島の産出物は農作物や果実、そして船や小さな家具だった。主な産物は船であり、依頼を受けて様々な用途の船を作った。常に並行して複数の船を造るのが常だった。時には他の島に数人の大工を派遣し、何ヶ月も掛けて家を建てることもあった。技術があれば報酬に魚や鯨が手に入る。他の島に比べれば、遥かに豊かな暮らしを送っている。
 だがこの島は男の数が非常に少なかった。他の島と同様に、人魚に呼ばれるからだ。女たちは数少ない男を共有し、子を成した。私の夫もその一人だった。男の仕事は子を成すことだった。代わりに女たちが力仕事を行い、屈強な肉体を得た。時に他の島で孕んで戻り、一人で産み育てる女もいた。最も偉いのは最も力が強い者。長は女の内から選ばれた。
 島が沈む前まで、私は島を束ねる長だった。だが今やもう島民は誰も残ってはいない。私と子供たちを除いては。私と夫は幼馴染で、子供の頃から互いに想い合っていた。だが男はこの島の財産だ。夫が時にはそれはもう盛大な宴が開かれた。……その後のことは、子供には明かされない。知りたくもない。だが長になった以上知らざるを得なかった。私には古いしきたりが、島のために夫を共有しなければならないことが我慢ならなかった。
 私は夫を望まぬ仕事から解放するために島で最も強い女となり、島民を力で捩じ伏せ木の上に家を建てた。その家に夫を閉じ込め、誰にも触れさせなかった。私は子を産み、すぐにまた孕んだ。その間も仕事を続け、誰にも文句を言わせなかった。……今にして思えば、圧政だっただろうな。夫と二人、子を育てていた時期が、私の人生の最も幸福な時だった。
 ある日のことだ。普段は遠くに聞こえる人魚の声が、川の近くで聞こえた。幻聴だろうか? 川とはいえ河口ではなく、かなりの内陸だ。魚が産卵期を迎えて川を遡るように、人魚が川を遡ったのか? 一体何のために? ……決まっている、男たちを奪いにきたのだ。
 女たちは男を家の中に隠し、人魚たちを迎え撃とうとした。私も多分に漏れずそうした。私を心配して戦うと言う夫を言い含め、家の中へと押し込んだ。
 不意に大地が揺れ、黒々とした海が押し寄せてきた。鯨の群れだった。人魚が鯨を引き連れてやってきたのだ——。
 迎撃するなんて、土台無理な話だったのだ。肥沃な大地を覆い尽くすほどの大波と鯨が、島民を丸呑みにした。男も女も、生者も死者も皆だ。大地に家を持った皆も、島に埋められた祖先たちですら。鯨の腹に収まったのか海の底に沈んだのかは分からないが——。木の上に家を建てていた私たち一家を除いて、島は滅びた。だが人魚と鯨の侵攻は止まらなかった。それがまだ私の夫が残っているからだということには気付いていた。
 ……だが、人魚に渡すことも、島の女と共有することも同じではないか? 私の夫が望まぬをすることに変わりはないのではないか? そう思うと私はより一層渡してなるものかと、仕事道具の斧を鯨に振り下ろした。何頭かは屠っただろうさ。……お陰で使い物にならなくなってしまったがね。
 結局夫は、自ら身を投げた。小さな窓から抜け出して、波間へ消えていった。
 子供たちを頼むよ。
 それが夫の最後の言葉だった。海は夫を飲み込むと、何事もなかったかのように凪いだ。後には森だけが残った。
 少なくとも島が丸ごと消えるような大災害だ。近くの群島の奴らなら誰でも知っている。島が沈んだ後、奴らは何度かこの地を訪れたが、いずれも船を手に入れることができるかどうかを確認しただけ。依頼を受けて作っていた船を失ったことを知ると、私を罵倒しながら去っていった。
「これがこの島の辿った顛末さ。男たちが鯨に飲まれたのがお前のせいだと言うのなら、男も女も、夫も海に飲まれた私の方が罪深いということになる。だが、私は後悔などしていない。他の島民より、私は夫が大切だった。過去に戻れたとしても、私は同じ道を選ぶだろう。それは私の誇りだ。お前のは傲りだ。懺悔は自分に対する冒涜だ。お前も自分で道を選んだなら、振り返るな。お前の目的を果たせ」
 女はそう言うと、籠に積まれた果実を素手で握り潰し、器に注ぎ込んだ。先程は本棚にばかり目が行って見ていなかったために面食らう。女は果汁を一気に飲み下した。
「では私の目的のためにひとつ聞いてもいいだろうか。その本棚に置かれた書物には、私の知りたい真実は書かれているか?」
 彼女は被りを振って答えた。
「残念ながらこれは技術書だ。船を作るための。お前が知りたい世界の真実などはひとつも書かれていない」
 私はそれを聞いて落胆した……が、悪い気分ではなかった。必要なものは必要な場所にある。この島においては、造船の技術書が残されていただけのこと。世界のどこかには私が求める真実が、きっと描かれている。そんな希望と確信を得るような心地だった。
 彼女は立ち上がると奥の扉を開け、中へ入っていった。しばらくして幼児が出てきた。彼は初めて会う私にも物怖じせずに近付いてきた。女は部屋の奥から更に小さな赤子を抱いて現れた。
「子の世話は夫が見ていた。分からないことだらけだったが、この島でも何とか生かせている」
 彼女は先程までの険しい表情とは違い穏やかな、慈愛に満ちた表情で赤子に乳を飲ませていた。子を成すことができない私には無縁の光景だった。
「我々の島に来ないか。近くの群島でもいい。このままでは君たちは……」
 彼女の子供たちは男の子がただ二人。ここにいてもいずれ、血は絶えてしまうだろう。
「……私はいい。子供たちだけ乗せてもらえるか。私が乗ったらその分、子供たちが飢えることになる。この子もじきに乳離れの時期だ。私は夫が死んだとは信じない。どこかで生きている。私の助けを待っている。全ての船は洪水に流されてしまったが、道具や砥石はこの海に沈んでいるはずだ。私一人ならここで生きていける。再び船を用立てて夫を探しに行く。……だが、子供たちを道連れにする気はない」
「この子たちの名前は」
「エサウと、サム」
 彼女は子供たちを指差し、それぞれの名前を呼んだ。彼女は二人を抱えて器用に木を降りた。私もその後に続いたが、亀よりも遅く——太陽が下るのとほぼ同じくらい時間が掛かった——私が下に降りる頃には、彼女はもう船に子供たちと多くの食料を積み込んでいた。
「今の季節なら、潮の流れに乗ればお前の島へ辿り着くだろう。流れに従いながら、太陽の位置と反対に進めばいい。元々大人数で櫂を漕いでいたんだろうが、一人ならの方がいい。付けておいたから慣れろ」
 船尾には見慣れない形の木が組み合わさった棒が刺さっていた。固定されているようで、これなら嵐が来ても落ちることはないだろう。
「……元気で」
 彼女は子供たちを一度ずつ強く抱きしめると、踵を返した。彼女は決して振り返らなかった。
 エサウは初めて乗る船に興味津々だったが、只事ではない空気を察してぐずり始めた。私は櫓を漕いで離岸し、島を目指した。エサウと、乳飲児だったサムを連れて。
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