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1日目
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「おい、起きろおっさん」
僕は床で寝ているおっさんを見ながら言った。このおっさん幽霊なのに睡眠とる必要ななんてあるのかよ。おっさんはもう少しだけーと小学生みたいなことを言っている。
ぼくはおっさんを軽く蹴飛ばし起こした。
「なんじゃ!痛いな!」
おっさんは、あんさんが蹴ったんか!と言って不機嫌になった。
「何度起こしても起きないおっさんがいけないんでしょ!」
「なんでこんな朝早くに起こすんじゃ!わし幽霊やぞ!朝には弱いんじゃ!」
ああそっかおっさん幽霊だから基本的に夜に活動するのか。となんとなく納得した。
「まだ9時やないか。わしいつも起きるのは昼間すぎなんじゃ!」
なんだよ!昼には起きるのかよ!てっきり夜しか動かないのかと思ったよ。と僕は心の中で突っ込んだ。
「それでなんでこんな早くにわしを起こしたんじゃ?しょうもない理由やったらただじゃおかんぞ」
そうだった。僕はおっさんを起こして聞きたいことがあったのだ。
「おっさん幽霊って言ってるけどほんとなの?そもそもなんで僕にだけ見えるの?そしてなんで今うちにいるの!」
僕は疑問に思ってることをおっさんに全てぶつけてみた。
「ちょっ!ちょっと待てい!そんなにいっぺんに質問されても答えられへんわ!1つずつにせい」
「じゃあまず、、、」
「あ、そや」
1つずつ質問しようとしたがおっさんに途中でさえぎられた。
「わしも聞きたいことがあったんじゃ。聞いてもええか?」
さっきにこっちの質問に答えろよと思ったがおっさんの質問を聞くことにした。
「なんですか?」
「あんさんなんで死のうとしてたんじゃ?」
そうだ。僕は昨日死のうとしていたんだ。昨日は無理やり引き止められたけど思い出すとやはり悲しくなって生きているのがつらくなる。
僕が黙っているとおっさんは優しく「いいから話しーや。話したら少しは楽になるで」と言った。僕は昨日あったばかりのおっさんになんで死のうとしていたのか話し始めた。
「実は付き合っていた女の子にフラれたんです」
「ほうほうそんで?なんで死のうとしていたんじゃ?」
「え?今言いましたけど」
おっさんは一瞬戸惑った。
「ん?よく聞こえなかったみたいじゃ。悪いがもういっぺん言ってくれるかの」
僕は何度も言いたくは無かったが仕方なく同じセリフをもう一度言った。
「ですから付き合ってた女の子にフラれたんです」
おっさんは独り言のように聞き間違いじゃなかったかと呟いた。
「そんだけか?あんさんほんまにそんな理由だけで死のうとしてたんか?」
そんな理由?僕がどれだけ彼女の事が好きでフラれた後どれだけ悩んだのかわかっているのか。僕はやはり昨日あったばかりのおっさんに話したのは間違いだと思った。
「僕には大きな事なんです。別にわかってもらえなくても結構です」
「すまんすまん怒らんでくれや。わしはてっきり死のうとするほどの事だから借金がぎょうさんあって毎日借金取りに追われてるとか会社の金を勝手に使い込んだとかそういう事かと思っとったねん」
全部金の事じゃないか。お金のことなんかで僕は死のうなんか思わない。大切な人がいなくなる方が僕にとっては何百倍も辛いことだった。
「せっかく昨日死のうとしてるのを引き止めたのにまた死のうとされたらかなわんからな。よっしゃわしが話し聞いちゃるわ」
おっさんはそう言うと僕のことを何でも話してみいって顔で見てきた。
「い、いや、別におっさんに相談しようなんて思ってないんですけど」
「なに言うとるんじゃわしらの仲じゃろ。そんな水くさいこと言うなや」
昨日会ったばかりなのにやけになれなれしいおっさんだなと思った。でもおっさんのこの雰囲気はなんとなく話しやすかった。
「しゃあないなー。じゃあわしの質問に答えい」
おっさんはなかなか話し始めない僕にしびれを切らしたのか質問を始めた。
「別れたのは彼女さんのせいか?」
おっさんの質問に僕はうつむいて首を横に振った。彼女と別れたのは僕のせいだった。彼女はなに1つ悪くなかった。
うつむいてる僕におっさんの質問は続いた。
「別れてから彼女から1回でも連絡が来たか?」
僕はこの質問にも首を振った。僕から連絡は何度かしたが一度も連絡は帰って来なかった。
「彼女さん別れる時泣いてたやろ」
この質問に僕は初めて首を縦に振った。首を縦に振った後この質問のおかしさに気づいた。最後の質問だけ疑問系じゃなく言い切っていた。
「あの、なんで泣いてたって」
「なんで彼女さんが泣いてたのかわかるのかって聞きたいんやろ」
僕は頷いた。
「あんさん彼女さんの優しさに気づいてへんやろ」
優しさ?僕にはおっさんがなにを言ってるのか見当もつかなかった。
「別れた原因があんさんにあってあんさんが連絡しても帰って来なくて、無視されてるし、もう嫌われたんだって思っとるやろ」
僕はその通りだと思った。何度連絡しても一度だって彼女から連絡は帰って来なかった。もう完全に嫌われたと思っていた。
「真逆やで。彼女さんがあんさんのことほんとに嫌いになってたらきっと連絡したら帰ってくるやろうな。もう2度と連絡して来ないでって言葉がな」
「彼女さんは別れ際泣いてたことからもわかるやろうけどあんさんのこと嫌いやないんや。彼女さんにとってもあんさんは大事な人なんや。それでもあんさんともう付き合うことは出来ない。だから連絡は返さなんだ」
僕はおっさんの話しを黙って聞いていたがもし僕のことをおっさんの言う通り大事に思っているなら普通連絡を返すんじゃないだろうか。口には出さないがそう疑問に思っていた。
おっさんはまた僕の考えてることがわかるかのように言った。
「あんさん彼女さんが連絡返さない理由ほんまにわからんか?彼女さんはあんさんに早く前に進んで欲しいんじゃ。連絡を返すと未練が出てくるじゃろ。だからあえて連絡は返してないんじゃ。彼女さんの優しさわかってやれよ」
僕はおっさんの話しを聞きながらなぜだか涙をこぼした。僕は自分のことしか考えてないのにおっさんが言うには彼女は僕のことを考えて僕の為になることを別れた今でもしてくれているというのだ。
僕は床で寝ているおっさんを見ながら言った。このおっさん幽霊なのに睡眠とる必要ななんてあるのかよ。おっさんはもう少しだけーと小学生みたいなことを言っている。
ぼくはおっさんを軽く蹴飛ばし起こした。
「なんじゃ!痛いな!」
おっさんは、あんさんが蹴ったんか!と言って不機嫌になった。
「何度起こしても起きないおっさんがいけないんでしょ!」
「なんでこんな朝早くに起こすんじゃ!わし幽霊やぞ!朝には弱いんじゃ!」
ああそっかおっさん幽霊だから基本的に夜に活動するのか。となんとなく納得した。
「まだ9時やないか。わしいつも起きるのは昼間すぎなんじゃ!」
なんだよ!昼には起きるのかよ!てっきり夜しか動かないのかと思ったよ。と僕は心の中で突っ込んだ。
「それでなんでこんな早くにわしを起こしたんじゃ?しょうもない理由やったらただじゃおかんぞ」
そうだった。僕はおっさんを起こして聞きたいことがあったのだ。
「おっさん幽霊って言ってるけどほんとなの?そもそもなんで僕にだけ見えるの?そしてなんで今うちにいるの!」
僕は疑問に思ってることをおっさんに全てぶつけてみた。
「ちょっ!ちょっと待てい!そんなにいっぺんに質問されても答えられへんわ!1つずつにせい」
「じゃあまず、、、」
「あ、そや」
1つずつ質問しようとしたがおっさんに途中でさえぎられた。
「わしも聞きたいことがあったんじゃ。聞いてもええか?」
さっきにこっちの質問に答えろよと思ったがおっさんの質問を聞くことにした。
「なんですか?」
「あんさんなんで死のうとしてたんじゃ?」
そうだ。僕は昨日死のうとしていたんだ。昨日は無理やり引き止められたけど思い出すとやはり悲しくなって生きているのがつらくなる。
僕が黙っているとおっさんは優しく「いいから話しーや。話したら少しは楽になるで」と言った。僕は昨日あったばかりのおっさんになんで死のうとしていたのか話し始めた。
「実は付き合っていた女の子にフラれたんです」
「ほうほうそんで?なんで死のうとしていたんじゃ?」
「え?今言いましたけど」
おっさんは一瞬戸惑った。
「ん?よく聞こえなかったみたいじゃ。悪いがもういっぺん言ってくれるかの」
僕は何度も言いたくは無かったが仕方なく同じセリフをもう一度言った。
「ですから付き合ってた女の子にフラれたんです」
おっさんは独り言のように聞き間違いじゃなかったかと呟いた。
「そんだけか?あんさんほんまにそんな理由だけで死のうとしてたんか?」
そんな理由?僕がどれだけ彼女の事が好きでフラれた後どれだけ悩んだのかわかっているのか。僕はやはり昨日あったばかりのおっさんに話したのは間違いだと思った。
「僕には大きな事なんです。別にわかってもらえなくても結構です」
「すまんすまん怒らんでくれや。わしはてっきり死のうとするほどの事だから借金がぎょうさんあって毎日借金取りに追われてるとか会社の金を勝手に使い込んだとかそういう事かと思っとったねん」
全部金の事じゃないか。お金のことなんかで僕は死のうなんか思わない。大切な人がいなくなる方が僕にとっては何百倍も辛いことだった。
「せっかく昨日死のうとしてるのを引き止めたのにまた死のうとされたらかなわんからな。よっしゃわしが話し聞いちゃるわ」
おっさんはそう言うと僕のことを何でも話してみいって顔で見てきた。
「い、いや、別におっさんに相談しようなんて思ってないんですけど」
「なに言うとるんじゃわしらの仲じゃろ。そんな水くさいこと言うなや」
昨日会ったばかりなのにやけになれなれしいおっさんだなと思った。でもおっさんのこの雰囲気はなんとなく話しやすかった。
「しゃあないなー。じゃあわしの質問に答えい」
おっさんはなかなか話し始めない僕にしびれを切らしたのか質問を始めた。
「別れたのは彼女さんのせいか?」
おっさんの質問に僕はうつむいて首を横に振った。彼女と別れたのは僕のせいだった。彼女はなに1つ悪くなかった。
うつむいてる僕におっさんの質問は続いた。
「別れてから彼女から1回でも連絡が来たか?」
僕はこの質問にも首を振った。僕から連絡は何度かしたが一度も連絡は帰って来なかった。
「彼女さん別れる時泣いてたやろ」
この質問に僕は初めて首を縦に振った。首を縦に振った後この質問のおかしさに気づいた。最後の質問だけ疑問系じゃなく言い切っていた。
「あの、なんで泣いてたって」
「なんで彼女さんが泣いてたのかわかるのかって聞きたいんやろ」
僕は頷いた。
「あんさん彼女さんの優しさに気づいてへんやろ」
優しさ?僕にはおっさんがなにを言ってるのか見当もつかなかった。
「別れた原因があんさんにあってあんさんが連絡しても帰って来なくて、無視されてるし、もう嫌われたんだって思っとるやろ」
僕はその通りだと思った。何度連絡しても一度だって彼女から連絡は帰って来なかった。もう完全に嫌われたと思っていた。
「真逆やで。彼女さんがあんさんのことほんとに嫌いになってたらきっと連絡したら帰ってくるやろうな。もう2度と連絡して来ないでって言葉がな」
「彼女さんは別れ際泣いてたことからもわかるやろうけどあんさんのこと嫌いやないんや。彼女さんにとってもあんさんは大事な人なんや。それでもあんさんともう付き合うことは出来ない。だから連絡は返さなんだ」
僕はおっさんの話しを黙って聞いていたがもし僕のことをおっさんの言う通り大事に思っているなら普通連絡を返すんじゃないだろうか。口には出さないがそう疑問に思っていた。
おっさんはまた僕の考えてることがわかるかのように言った。
「あんさん彼女さんが連絡返さない理由ほんまにわからんか?彼女さんはあんさんに早く前に進んで欲しいんじゃ。連絡を返すと未練が出てくるじゃろ。だからあえて連絡は返してないんじゃ。彼女さんの優しさわかってやれよ」
僕はおっさんの話しを聞きながらなぜだか涙をこぼした。僕は自分のことしか考えてないのにおっさんが言うには彼女は僕のことを考えて僕の為になることを別れた今でもしてくれているというのだ。
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