24 / 42
6 杏奈ちゃんの蕎麦
6 杏奈ちゃんの蕎麦(3)
しおりを挟む
三十分ほどすると、みんなはバーベキューコンロに戻ってきた。
下準備してきたタンドリーチキンやハンバーグ、野菜を焼いていく。
野菜は見栄えがよくて女性陣が喜びそうなカラフルなものを用意した。赤と黄色のパプリカやズッキーニ、紫キャベツにヤングコーン。
叔父さんが釣ったヤマメも焼いた。
杏奈ちゃんが好きかもしれないと、フランクフルトや焼きそばも用意しておいた。
「このタンドリーチキン、味がよくしみこんでておいしいですね」
須賀田君に褒められてほっとする。彼は肉を焼くのを途中から手伝ってくれた。
彼は人当たりがいいだけでなく、仕事の手際がいい。しかも丁寧だ。
藤堂はいい人材を選んだ。僕よりずっとお店に貢献できているだろう。
「おーい、先輩、食べてます?」
七尾が焼きそばを頬張りながら僕に手を振っている。
軽く手を振り返して、僕も少し食べることにした。
タンドリーチキンに齧りつきながら、視線のはしっこで杏奈ちゃんの様子をうかがう。
長い髪を二つに結んだ彼女は、白いフード付きのトップスにベージュのズボンがよく似合っている。
目はくりっとしているが、鼻筋が通っているのでシャープな印象だ。
彼女は令子さんの隣に座っておとなしくフランクフルトを齧っている。あっという間に食べ終えると、令子さんになにか囁いて腰を上げた。
令子さんの顔が曇る。
「川は危ないからやめておきなさい」
杏奈ちゃんの顔が不満げにこわばる。
「大丈夫よ」と美津子さんが間に割って入った。
「杏奈ちゃん、おばあちゃんと行きましょうか」
それでも令子さんの表情は曇ったままだ。
「目を離さないから大丈夫だって」
美津子さんがぽんと令子さんの腕を叩く。
「川は怖いのよ。おばあちゃんと一緒でも絶対入っちゃだめだからね。たとえ何かを落としても、入っちゃだめ」
わかってるよ、とうるさそうに杏奈ちゃん。
「せっかくキャンプに来たんだから、ちょっとぐらいしたいようにさせてあげましょ」
そう言って美津子さんは杏奈ちゃんの手を引いて川の方へ歩いていった。
二人の後ろ姿を令子さんは腕組みしてじっと見ている。
「じゃ、ここからは大人だけで楽しみましょうや。令子さん、ビールいっちゃう?」
ビールを一人で飲んでいた叔父さんが令子さんに缶ビールを差し出す。
久しぶりに飲んだせいか、既にけっこう酔っぱらっているようだ。
「だめだよ、叔父さん。令子さんと須賀田君は車の運転があるから飲めない」
僕がそう言うと、叔父さんは七尾を見た。
「僕もお酒は弱い方なんで遠慮しときます」
七尾も断ると、叔父はのけぞった。
「嘘だろ。みんなで飲めると思って楽しみにしてたのに……新は?」
「みんなが飲まないんだから、僕もやめときます」
しょんぼりした叔父さんだったが、僕がどんどん料理を食べさせると、満腹になったのかうとうとしはじめた。
やがてみんなも食べ終えると、七尾と須賀田君はトイレに行った。
僕は後片付けに取りかかる。
「おいしかった」
いつの間にか令子さんが隣に来て、余った野菜などをタッパに戻しはじめた。
「杏奈ちゃんもたくさん食べてくれてましたね」
彼女はすまなそうな顔をした。
「さっきはごめんなさい。川で……びっくりしたでしょ」
僕が口を開こうとした時、叔父さんが唸りながら身を起こした。寝ぼけた目をこすってから僕をじっと見る。
「トイレ、どこだ? ビール飲み過ぎた……」
あっちんほうですよ、と指さすと、叔父さんはふらつきながら立ち上がり、よろよろ歩いていった。
令子さんはみんなが使った紙皿やコップ類をゴミ袋に集めている。
僕はバーベキューコンロの汚れに水をたらし、ブラシこすり落とした。
「僕もよく親と喧嘩しましたから」
そう僕が笑うと、令子さんは振り向いて小さく笑った。
「でもあの子、いつもはあんなふうじゃないの。おとなしくていい子過ぎるくらい。……本当は知らない人とのキャンプは気乗りがしなかったみたい」
考えてみれば、当たり前だ。
十歳の女の子にしてみれば、母親の行きつけの居酒屋の人間たちとキャンプに行くなんて、気が重いに決まってる。
しかも全員男だ。
「僕のほうこそ、そういうことに気づかず誘っちゃってごめんなさい」
「新君のせいじゃないよ。誘ってもらってすごく嬉しかったもん。でも、自分ばっかりで、杏奈の気持ちを無視してた」
彼女はゴミ袋の口をぐっときつく結ぶと、チェアをたたみはじめた。
「私ね、川で杏奈を叱っちゃったの。挨拶をもう少しきちんとしないとだめだよって。それで、あの子の不満が爆発しちゃったみたい。私が行きたがってたから気を使ってついて来たのに、いい子でいることまで強要されて頭にきたのね」
杏奈ちゃんははじめて会った時、ちゃんと僕らに挨拶していた気がする。でも、親である令子さんには、声が小さいとか、目を合わせないとか、そういう細かいところが気になったのかもしれない。
「令子さんも杏奈ちゃんも悪くないですよ。仲直り、できたんでしょ?」
「一応ね。今度、あの子が好きなパフェをおごる約束させられたけど」
令子さんがいつもみたいに笑ったので、僕は安心した。
「前に杏奈、駅前の大きな公園でピクニックしたいって言ったの。それを私、キャンプの方が喜ぶだろうって勝手に決めつけちゃった。杏奈にしたら、お弁当持って公園で食べるだけでよかったのかも」
「じゃあ今度、ピクニックに行ったらいいですよ。今日のキャンプだって、大人になって思い返したらそう悪くないって思えるかもしれないし」
バーベキューコンロはきれいになり、令子さんもチェアを畳み終えた。
「そうだね。私、杏奈をどこにも連れていってないことが、ずっと気にかかってたの。だから、今日あの子を連れてきたのは、自分のエゴだったのかも」
「そんなことないですよ。そんなふうに思わないでください」
令子さんはズボンのポケットから檸檬味の飴を取り出した。
それを一つ口に含み、僕にもくれた。
「私、小さい時に親にどこかへ連れて行ってもらったことがないの。うちの父親は、私が小学生の時に病気で亡くなって、母親は仕事で忙しくて子供にかまってる暇はなかった。杏奈には思い出を作ってあげたいんだ」
ちょっと歩いてくるね、と令子さんは言ってすっと立ち去った。
僕はうまく令子さんを励ますことができなかった。
ぼうっと彼女との会話を思い返していると、七尾と須賀田君が戻ってきた。
「わぁ、先輩、全部きれいに片付けてくれたんですね。すみませーん」
「令子さんと一緒にね」
「令子さんは?」
「散歩に行った」
「一人で? 僕も一緒に行きたかったなぁ……、あ、いまね、焚火しようって話してたんです」
七尾の言葉に須賀田君が感じのいい笑顔でうなずく。
「焚火でマシュマロ焼きましょうよ」
「いいね。杏奈ちゃんも喜ぶんじゃないかな」
「焚火は意外と大人のほうが夢中になりますよ」
須賀田君は焚火の準備に取りかかった。
「叔父さんもさっきトイレ行ったんだけど、会った?」
七尾に訊くと、会いましたよーとのんきな返事が返って来た。
「そのうち戻ってくるんじゃないですか」
焚火を囲みながら三人でコーヒーを飲んでいると、美津子さんが一人で戻ってきた。
「あれ? 杏奈ちゃんは?」
驚いてたずねると、彼女は笑った。
「岡谷さんがついてくれてます。私、トイレに行きたくなっちゃって。二人もじきに戻ってくるはずですよ」
そう言って、焚火を囲む椅子に腰をおろす。
叔父さんはかなり酒に酔っていたけど大丈夫だろうか。
心配になり、僕は腰を上げた。
「迎えにいってきますね」
僕は小走りで川に向かった。
少し風が出てきて、肌寒く感じる。
杏奈ちゃんは上着を着ていっただろうか。
さっき杏奈ちゃんと令子さんがいたあたりに向かうと、そこに小さい影が見えた。
杏奈ちゃんが一人で川のほとりに佇んでいる。
長いおさげ髪が風にあおられて、二匹の蛇みたいに泳いでいた。
「杏奈ちゃん!」
驚かせるのもかまわずに叫んでいた。
彼女はびくっと肩を震わせる。
さっと振り返ると、静かな表情で僕を見た。
そのまなざしは、僕を拒絶していた。
なぜ拒絶するのか、僕にはわかった。
彼女は母親に近づこうとしている男を警戒しているのだ。
「ごめんなさい」
杏奈ちゃんはそう言うと、目を伏せた。
「いや……ひとり? 叔父さんは?」
彼女はすっと左の方を指さした。
振り返ると、叔父さんが膝を抱えて座りながら、こちらにのんびりと手を振っている。
目に入らなかったが、最初からそこにいたらしい。
「焚火でマシュマロ焼くけど、食べる?」
「はい」
杏奈ちゃんは小さく頭を下げてから、テントがある方へ向かって軽やかに駆けていった。
風がもっと強くなってきて、叔父さんがかぶっていた帽子が飛ばされた。
テントに戻ると、雨雲が広がりはじめた。
焼いたマシュマロをみんなで食べているうちに、細かい雨が風に交じりはじめ、僕らは慌てて帰り支度をした。
杏奈ちゃんから紙風船をもらえないまま、キャンプは終わった。
*
下準備してきたタンドリーチキンやハンバーグ、野菜を焼いていく。
野菜は見栄えがよくて女性陣が喜びそうなカラフルなものを用意した。赤と黄色のパプリカやズッキーニ、紫キャベツにヤングコーン。
叔父さんが釣ったヤマメも焼いた。
杏奈ちゃんが好きかもしれないと、フランクフルトや焼きそばも用意しておいた。
「このタンドリーチキン、味がよくしみこんでておいしいですね」
須賀田君に褒められてほっとする。彼は肉を焼くのを途中から手伝ってくれた。
彼は人当たりがいいだけでなく、仕事の手際がいい。しかも丁寧だ。
藤堂はいい人材を選んだ。僕よりずっとお店に貢献できているだろう。
「おーい、先輩、食べてます?」
七尾が焼きそばを頬張りながら僕に手を振っている。
軽く手を振り返して、僕も少し食べることにした。
タンドリーチキンに齧りつきながら、視線のはしっこで杏奈ちゃんの様子をうかがう。
長い髪を二つに結んだ彼女は、白いフード付きのトップスにベージュのズボンがよく似合っている。
目はくりっとしているが、鼻筋が通っているのでシャープな印象だ。
彼女は令子さんの隣に座っておとなしくフランクフルトを齧っている。あっという間に食べ終えると、令子さんになにか囁いて腰を上げた。
令子さんの顔が曇る。
「川は危ないからやめておきなさい」
杏奈ちゃんの顔が不満げにこわばる。
「大丈夫よ」と美津子さんが間に割って入った。
「杏奈ちゃん、おばあちゃんと行きましょうか」
それでも令子さんの表情は曇ったままだ。
「目を離さないから大丈夫だって」
美津子さんがぽんと令子さんの腕を叩く。
「川は怖いのよ。おばあちゃんと一緒でも絶対入っちゃだめだからね。たとえ何かを落としても、入っちゃだめ」
わかってるよ、とうるさそうに杏奈ちゃん。
「せっかくキャンプに来たんだから、ちょっとぐらいしたいようにさせてあげましょ」
そう言って美津子さんは杏奈ちゃんの手を引いて川の方へ歩いていった。
二人の後ろ姿を令子さんは腕組みしてじっと見ている。
「じゃ、ここからは大人だけで楽しみましょうや。令子さん、ビールいっちゃう?」
ビールを一人で飲んでいた叔父さんが令子さんに缶ビールを差し出す。
久しぶりに飲んだせいか、既にけっこう酔っぱらっているようだ。
「だめだよ、叔父さん。令子さんと須賀田君は車の運転があるから飲めない」
僕がそう言うと、叔父さんは七尾を見た。
「僕もお酒は弱い方なんで遠慮しときます」
七尾も断ると、叔父はのけぞった。
「嘘だろ。みんなで飲めると思って楽しみにしてたのに……新は?」
「みんなが飲まないんだから、僕もやめときます」
しょんぼりした叔父さんだったが、僕がどんどん料理を食べさせると、満腹になったのかうとうとしはじめた。
やがてみんなも食べ終えると、七尾と須賀田君はトイレに行った。
僕は後片付けに取りかかる。
「おいしかった」
いつの間にか令子さんが隣に来て、余った野菜などをタッパに戻しはじめた。
「杏奈ちゃんもたくさん食べてくれてましたね」
彼女はすまなそうな顔をした。
「さっきはごめんなさい。川で……びっくりしたでしょ」
僕が口を開こうとした時、叔父さんが唸りながら身を起こした。寝ぼけた目をこすってから僕をじっと見る。
「トイレ、どこだ? ビール飲み過ぎた……」
あっちんほうですよ、と指さすと、叔父さんはふらつきながら立ち上がり、よろよろ歩いていった。
令子さんはみんなが使った紙皿やコップ類をゴミ袋に集めている。
僕はバーベキューコンロの汚れに水をたらし、ブラシこすり落とした。
「僕もよく親と喧嘩しましたから」
そう僕が笑うと、令子さんは振り向いて小さく笑った。
「でもあの子、いつもはあんなふうじゃないの。おとなしくていい子過ぎるくらい。……本当は知らない人とのキャンプは気乗りがしなかったみたい」
考えてみれば、当たり前だ。
十歳の女の子にしてみれば、母親の行きつけの居酒屋の人間たちとキャンプに行くなんて、気が重いに決まってる。
しかも全員男だ。
「僕のほうこそ、そういうことに気づかず誘っちゃってごめんなさい」
「新君のせいじゃないよ。誘ってもらってすごく嬉しかったもん。でも、自分ばっかりで、杏奈の気持ちを無視してた」
彼女はゴミ袋の口をぐっときつく結ぶと、チェアをたたみはじめた。
「私ね、川で杏奈を叱っちゃったの。挨拶をもう少しきちんとしないとだめだよって。それで、あの子の不満が爆発しちゃったみたい。私が行きたがってたから気を使ってついて来たのに、いい子でいることまで強要されて頭にきたのね」
杏奈ちゃんははじめて会った時、ちゃんと僕らに挨拶していた気がする。でも、親である令子さんには、声が小さいとか、目を合わせないとか、そういう細かいところが気になったのかもしれない。
「令子さんも杏奈ちゃんも悪くないですよ。仲直り、できたんでしょ?」
「一応ね。今度、あの子が好きなパフェをおごる約束させられたけど」
令子さんがいつもみたいに笑ったので、僕は安心した。
「前に杏奈、駅前の大きな公園でピクニックしたいって言ったの。それを私、キャンプの方が喜ぶだろうって勝手に決めつけちゃった。杏奈にしたら、お弁当持って公園で食べるだけでよかったのかも」
「じゃあ今度、ピクニックに行ったらいいですよ。今日のキャンプだって、大人になって思い返したらそう悪くないって思えるかもしれないし」
バーベキューコンロはきれいになり、令子さんもチェアを畳み終えた。
「そうだね。私、杏奈をどこにも連れていってないことが、ずっと気にかかってたの。だから、今日あの子を連れてきたのは、自分のエゴだったのかも」
「そんなことないですよ。そんなふうに思わないでください」
令子さんはズボンのポケットから檸檬味の飴を取り出した。
それを一つ口に含み、僕にもくれた。
「私、小さい時に親にどこかへ連れて行ってもらったことがないの。うちの父親は、私が小学生の時に病気で亡くなって、母親は仕事で忙しくて子供にかまってる暇はなかった。杏奈には思い出を作ってあげたいんだ」
ちょっと歩いてくるね、と令子さんは言ってすっと立ち去った。
僕はうまく令子さんを励ますことができなかった。
ぼうっと彼女との会話を思い返していると、七尾と須賀田君が戻ってきた。
「わぁ、先輩、全部きれいに片付けてくれたんですね。すみませーん」
「令子さんと一緒にね」
「令子さんは?」
「散歩に行った」
「一人で? 僕も一緒に行きたかったなぁ……、あ、いまね、焚火しようって話してたんです」
七尾の言葉に須賀田君が感じのいい笑顔でうなずく。
「焚火でマシュマロ焼きましょうよ」
「いいね。杏奈ちゃんも喜ぶんじゃないかな」
「焚火は意外と大人のほうが夢中になりますよ」
須賀田君は焚火の準備に取りかかった。
「叔父さんもさっきトイレ行ったんだけど、会った?」
七尾に訊くと、会いましたよーとのんきな返事が返って来た。
「そのうち戻ってくるんじゃないですか」
焚火を囲みながら三人でコーヒーを飲んでいると、美津子さんが一人で戻ってきた。
「あれ? 杏奈ちゃんは?」
驚いてたずねると、彼女は笑った。
「岡谷さんがついてくれてます。私、トイレに行きたくなっちゃって。二人もじきに戻ってくるはずですよ」
そう言って、焚火を囲む椅子に腰をおろす。
叔父さんはかなり酒に酔っていたけど大丈夫だろうか。
心配になり、僕は腰を上げた。
「迎えにいってきますね」
僕は小走りで川に向かった。
少し風が出てきて、肌寒く感じる。
杏奈ちゃんは上着を着ていっただろうか。
さっき杏奈ちゃんと令子さんがいたあたりに向かうと、そこに小さい影が見えた。
杏奈ちゃんが一人で川のほとりに佇んでいる。
長いおさげ髪が風にあおられて、二匹の蛇みたいに泳いでいた。
「杏奈ちゃん!」
驚かせるのもかまわずに叫んでいた。
彼女はびくっと肩を震わせる。
さっと振り返ると、静かな表情で僕を見た。
そのまなざしは、僕を拒絶していた。
なぜ拒絶するのか、僕にはわかった。
彼女は母親に近づこうとしている男を警戒しているのだ。
「ごめんなさい」
杏奈ちゃんはそう言うと、目を伏せた。
「いや……ひとり? 叔父さんは?」
彼女はすっと左の方を指さした。
振り返ると、叔父さんが膝を抱えて座りながら、こちらにのんびりと手を振っている。
目に入らなかったが、最初からそこにいたらしい。
「焚火でマシュマロ焼くけど、食べる?」
「はい」
杏奈ちゃんは小さく頭を下げてから、テントがある方へ向かって軽やかに駆けていった。
風がもっと強くなってきて、叔父さんがかぶっていた帽子が飛ばされた。
テントに戻ると、雨雲が広がりはじめた。
焼いたマシュマロをみんなで食べているうちに、細かい雨が風に交じりはじめ、僕らは慌てて帰り支度をした。
杏奈ちゃんから紙風船をもらえないまま、キャンプは終わった。
*
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
希望が丘駅前商店街 in 『居酒屋とうてつ』とその周辺の人々
饕餮
ライト文芸
ここは東京郊外松平市にある商店街。
国会議員の重光幸太郎先生の地元である。
そんな商店街にある、『居酒屋とうてつ』やその周辺で繰り広げられる、一話完結型の面白おかしな商店街住人たちのひとこまです。
★このお話は、鏡野ゆう様のお話
『政治家の嫁は秘書様』https://www.alphapolis.co.jp/novel/210140744/354151981
に出てくる重光先生の地元の商店街のお話です。当然の事ながら、鏡野ゆう様には許可をいただいております。他の住人に関してもそれぞれ許可をいただいてから書いています。
★他にコラボしている作品
・『桃と料理人』http://ncode.syosetu.com/n9554cb/
・『青いヤツと特別国家公務員 - 希望が丘駅前商店街 -』http://ncode.syosetu.com/n5361cb/
・『希望が丘駅前商店街~透明人間の憂鬱~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/427152271
・『希望が丘駅前商店街 ―姉さん。篠宮酒店は、今日も平常運転です。―』https://www.alphapolis.co.jp/novel/172101828/491152376
・『日々是好日、希望が丘駅前商店街-神神飯店エソ、オソオセヨ(にいらっしゃいませ)』https://www.alphapolis.co.jp/novel/177101198/505152232
・『希望が丘駅前商店街~看板娘は招き猫?喫茶トムトム元気に開店中~』https://ncode.syosetu.com/n7423cb/
・『Blue Mallowへようこそ~希望が丘駅前商店街』https://ncode.syosetu.com/n2519cc/
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
伊緒さんのお嫁ご飯
三條すずしろ
ライト文芸
貴女がいるから、まっすぐ家に帰ります――。
伊緒さんが作ってくれる、おいしい「お嫁ご飯」が楽しみな僕。
子供のころから憧れていた小さな幸せに、ほっと心が癒されていきます。
ちょっぴり歴女な伊緒さんの、とっても温かい料理のお話。
「第1回ライト文芸大賞」大賞候補作品。
「エブリスタ」「カクヨム」「すずしろブログ」にも掲載中です!
あかりの燈るハロー【完結】
虹乃ノラン
ライト文芸
――その観覧車が彩りゆたかにライトアップされるころ、あたしの心は眠ったまま。迷って迷って……、そしてあたしは茜色の空をみつけた。
六年生になる茜(あかね)は、五歳で母を亡くし吃音となった。思い出の早口言葉を歌い今日もひとり図書室へ向かう。特別な目で見られ、友達なんていない――吃音を母への愛の証と捉える茜は治療にも前向きになれないでいた。
ある日『ハローワールド』という件名のメールがパソコンに届く。差出人は朱里(あかり)。件名は謎のままだが二人はすぐに仲良くなった。話すことへの抵抗、思いを伝える怖さ――友だちとの付き合い方に悩みながらも、「もし、あたしが朱里だったら……」と少しずつ自分を見つめなおし、悩みながらも朱里に対する信頼を深めていく。
『ハローワールド』の謎、朱里にたずねるハローワールドはいつだって同じ。『そこはここよりもずっと離れた場所で、ものすごく近くにある場所。行きたくても行けない場所で、いつの間にかたどり着いてる場所』
そんななか、茜は父の部屋で一冊の絵本を見つける……。
誰の心にも燈る光と影――今日も頑張っているあなたへ贈る、心温まるやさしいストーリー。
―――――《目次》――――――
◆第一部
一章 バイバイ、お母さん。ハロー、ハンデ。
二章 ハローワールドの住人
三章 吃音という証明
◆第二部
四章 最高の友だち
五章 うるさい! うるさい! うるさい!
六章 レインボー薬局
◆第三部
七章 はーい! せんせー。
八章 イフ・アカリ
九章 ハウマッチ 木、木、木……。
◆第四部
十章 未来永劫チクワ
十一章 あたしがやりました。
十二章 お父さんの恋人
◆第五部
十三章 アカネ・ゴー・ラウンド
十四章 # to the world...
◆エピローグ
epilogue...
♭
◆献辞
《第7回ライト文芸大賞奨励賞》
12月のラピスラズリ
あまくに みか
ライト文芸
第6回文芸社文庫NEO小説大賞 最終選考ノミネート作品
煙の街に住む住人たちは、名前がなかった。
それどころか、彼らはみんな同じ顔をしていた。
彼らは毎日、決められたルールをなぞって、世界の歯車として働いている。
「No.426ab3_F」は煙の街の住人の一人。
灰色の空しか見たことのない彼が、生まれて初めての青い空を見た。心を奪われた彼の足元には『12月のラピスラズリ』という一冊の絵本が。
絵本の物語は、猫が旅に出て、自分の居場所を見つけるという話だった。
絵本を読み終えた彼の元に、絵本に登場する猫と似た、黒い猫が現れてこう言った。
「お前の立っている場所は、ここだけじゃない」と。
彼はたった1つの持ち物である絵本を持って、黒猫と共に外の世界へ踏み出すことを決心する。
旅人となって、自分の「名前」を探す旅へ。
『だから、名前が知りたかった。ずっと一緒にいたかったから』
まだ小さな息子と、空へ旅立った愛猫にこの物語を。
表紙絵は、惑星ハーブティ様の作品です
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
まれぼし菓子店
夕雪えい
ライト文芸
和洋の絶品お菓子を供するまれぼし菓子店。
たまたまお店と出会った〝わたし〟。
様々な場面で、三人の店員や常連客と、お菓子を通じて小さな心温まるストーリーが展開される。
美味しいお菓子が織り成す、温かくちょっとだけ不思議な物語。
・.。*・.。*
まれぼし菓子店
美味しいお菓子をつくっております。
皆様のおもいでによせて。
食後のひとくちに。
夜食のお楽しみに。
お気軽にお立ち寄りください。
第7回ライト文芸大賞で奨励賞をいただきました。
ありがとうございます!
逃げるための後宮行きでしたが、なぜか奴が皇帝になっていました
吉高 花
恋愛
◆転生&ループの中華風ファンタジー◆
第15回恋愛小説大賞「中華・後宮ラブ賞」受賞しました!ありがとうございます!
かつて散々腐れ縁だったあいつが「俺たち、もし三十になってもお互いに独身だったら、結婚するか」
なんてことを言ったから、私は密かに三十になるのを待っていた。でもそんな私たちは、仲良く一緒にトラックに轢かれてしまった。
そして転生しても奴を忘れられなかった私は、ある日奴が綺麗なお嫁さんと仲良く微笑み合っている場面を見てしまう。
なにあれ! 許せん! 私も別の男と幸せになってやる!
しかしそんな決意もむなしく私はまた、今度は馬車に轢かれて逝ってしまう。
そして二度目。なんと今度は最後の人生をループした。ならば今度は前の記憶をフルに使って今度こそ幸せになってやる!
しかし私は気づいてしまった。このままでは、また奴の幸せな姿を見ることになるのでは?
それは嫌だ絶対に嫌だ。そうだ! 後宮に行ってしまえば、奴とは会わずにすむじゃない!
そうして私は意気揚々と、女官として後宮に潜り込んだのだった。
奴が、今世では皇帝になっているとも知らずに。
※タイトル試行錯誤中なのでたまに変わります。最初のタイトルは「ループの二度目は後宮で ~逃げるための後宮でしたが、なぜか奴が皇帝になっていました~」
※設定は架空なので史実には基づいて「おりません」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる