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1 フライドポテト&コーラ am0:10
1 フライドポテト&コーラ am0:10(3)
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「夜食屋さんはお二人でやっているの?」
「そうです」
「お若いようだけど、年齢を訊いてもいい?」
「二十二歳です」
「その若さでお店を開くなんてすごいわね」
紅はにっこり笑うと、喫茶店や祖父のことを万喜に話して聞かせた。
それでも万喜は双子の行動力に感心して褒めた。
「羨ましい。私もそんなふうに新しいことを始められたらいいのに」
祭は大きなじゃがいもを三つ流しで洗いはじめた。
「川島さんはどういうフライドポテトがお好きですか? 皮つき、くし形切り、細め、太め。揚げ方はかりかりかほくほくか」
言われてみれば、フライドポテトにもいろいろある。万喜がイメージしていたのは、よくあるファストフードのポテトだった。ハンバーガーのセットでついてくるような。
細長くて外はかりっとしている。塩味はしっかりきいていたほうがいい。
万喜がそう説明すると、双子は笑顔で頷いた。
「ファストフードのポテトって、たまにすごく食べたくなりますよね。中毒性があるみたいに」
祭の言葉に万喜は笑う。
「ほんとにね。一度食べたくなったら、食べるまで気がすまない」
わかりますと紅も頷く。
「学生の頃なんか、それこそポテトとコーラで友達と何時間もおしゃべりしたり」
紅の言葉に万喜ははっとした。
そういえばそうだった。
洗ったじゃがいもを祭がピーラーで皮を剥き、それを紅が細長く切っていく。
「ほんとにそう。高校生の頃、学校帰りに友達と食べに行ったの。ポテトとコーラを」
クラスで仲がいい友達、男女五、六人でいつもファストフード店にたまって、くらだない話で盛り上がっていた。
万喜がいつも頼んだのはMサイズのポテトとコーラ。
ポテトが食べきれない時もあったけど、それすらも楽しかった。
グループの中には幸一もいた。
彼はクラスでも目立つ存在で、グループではいつも話の中心にいた。
特に顔がいいわけでも成績や運動神経に秀でているわけでもない。それでも場を盛り上げるのが上手で、ものいいやふるまいにセンスを感じさせた。彼の髪型や着こなし、持ち物をまねる男子は多かった。
自然とそういう男子は女子からも一目おかれる。幸一の気をひこうとしている女の子は多かった。万喜もその一人だ。
だから幸一がいるグループに入れた時、万喜は本当に嬉しかった。
放課後、幸一たちと食べたポテトの味を、万喜はよく覚えていない。彼女が覚えているのは、幸一と目が合った回数だけだった。回数が多くても少なくても、万喜はそのことについて深く考えこんだ。
「いい思い出なんですね」
会話しながらも紅はじゃがいもを均等に切っていく。
そうね、と小さく万喜は言った。
紅は微笑み、ちらっとダイニングルームの壁を見た。子供の絵が貼ってある。
「お子さんの絵ですか?」
訊かれた万喜は振り返り、子供たちがクレヨンで描いたカラフルな絵を見た。
「ええ。三人いるけど、今夜はおばあちゃんたちの家に泊まってるの」
「じゃあ、今夜はおかあさん業のお休みの日なんですね」
祭はバッグからフライヤーを取り出して、油を注ぎ始める。切ったじゃがいもを水にさらした紅は腕時計をちらっと見た。
「そういうこと。なんだか眠れなくて、お腹が空いてきたんだけど、自分で作る気にはなれなくて」
「作れるけど作りたくない。そういうときってありますよね」
若い紅の言葉に万喜は微笑みで返す。
「若い紅さんでもそんなときがあるの?」
「ありますよ。おじいちゃんが亡くなった時は、しばらく料理が作れませんでした。家でもお店でも。なにをしてもおじいちゃんの姿がちらついて……そのときは祭に助けてもらいました」
「僕はけっこう図太いんで」
仲よさそうに微笑み交わす二人を見て、万喜は羨望を覚えた。
親や祖父を亡くしても、彼らには相談して支え合える存在がいる。
でもわたしはどうだろう。結婚して子供もいて、両親もいるのに、一人で悩みを抱えている。
急にまた胸の真ん中あたりが苦しくなった。そこになにかある。吐き出したい。
「わたし、離婚するかもしれない」
言葉にしてから万喜ははっとした。
双子がびっくりしたような表情でこちらを見ている。
「ごめんなさい」と慌てて万喜は謝った。
双子は目を見合わせ、それから作業する手を止めた。
「そうなんですね。だから今夜、こんな時間まで起きてたんですか」
気遣うような祭のやさしいまなざしと声に、万喜は言葉を失った。
それを見て、紅がキッチンカウンターの外に出てきた。エプロンのポケットからなにかを取り出して、万喜の前に置く。カラフルな星型のお菓子だった。黄色にピンク、紫。
黄色いのを一つ封を開けて口に入れた。ほんのりレモンの香りがするチョコレートだ。
「夫が浮気してるみたいなの」
万喜は残りのチョコレートを見つめながら打ち明けた。
「きっとよくある話よね。でも自分のこととなると、話は別みたい。どうしていいかわからないの」
紅は手を伸ばして、そっと万喜の腕に触れた。涙をこぼすかわりに、万喜は紅に笑いかける。
「大丈夫よ。ごめんなさい、こんな話して。こんなの、料金には含まれてないのにね」
万喜が笑うと、紅と祭も少しだけ笑みを浮かべた。万喜が促すようにキッチンカウンターに手を向けると、紅は頷いて戻っていく。
「このこと、まだ誰にも話してないから、ちょっと苦しかったの。でも吐き出せて少し楽になった。ありがとう」
双子は首を横に振る。
紅は腕時計を見ると、水にさらしたじゃがいもをザルにあけた。よく水を切ってからキッチンペーパーにのせて、水気を取っていく。
フライヤーの油を温めはじめた祭は、ビニール袋の口を丸く開いておいた。中には塩とこしょうを混ぜた小麦粉が入っている。
そんな二人の様子を見守りながら、万喜は独り言みたいに呟いた。
「変よね。家族も友達もいるのに、いざ困ったことが起きたら相談することができない。わたし、みんなから憐みの目で見られることが怖いみたい」
怖いことは他にもある。
離婚したらいまの仕事で、子供たちを食べさせていくことができるのだろうか。もし自分になにかあったら、子供たちはどうなるのだろう。おそらくこのマンションは住めなくなるだろう。苗字が変わることを、同僚はどう思うだろう。子供たちはどれほど傷つくのだろう。離婚の理由をどんなふうに説明すればいいのだろう。子供たちは理解してくれるのだろうか。
「川島さん」
気づくと双子がすぐそばにいた。
心配そうに佇んで、どうしたらいいかわからないような顔をしている。
お客の身の上話なんて聞き流せばいいのに、この子たちはそうしない。できないのかもしれない。
プロらしくない。でもそこにほっとした。
「そうです」
「お若いようだけど、年齢を訊いてもいい?」
「二十二歳です」
「その若さでお店を開くなんてすごいわね」
紅はにっこり笑うと、喫茶店や祖父のことを万喜に話して聞かせた。
それでも万喜は双子の行動力に感心して褒めた。
「羨ましい。私もそんなふうに新しいことを始められたらいいのに」
祭は大きなじゃがいもを三つ流しで洗いはじめた。
「川島さんはどういうフライドポテトがお好きですか? 皮つき、くし形切り、細め、太め。揚げ方はかりかりかほくほくか」
言われてみれば、フライドポテトにもいろいろある。万喜がイメージしていたのは、よくあるファストフードのポテトだった。ハンバーガーのセットでついてくるような。
細長くて外はかりっとしている。塩味はしっかりきいていたほうがいい。
万喜がそう説明すると、双子は笑顔で頷いた。
「ファストフードのポテトって、たまにすごく食べたくなりますよね。中毒性があるみたいに」
祭の言葉に万喜は笑う。
「ほんとにね。一度食べたくなったら、食べるまで気がすまない」
わかりますと紅も頷く。
「学生の頃なんか、それこそポテトとコーラで友達と何時間もおしゃべりしたり」
紅の言葉に万喜ははっとした。
そういえばそうだった。
洗ったじゃがいもを祭がピーラーで皮を剥き、それを紅が細長く切っていく。
「ほんとにそう。高校生の頃、学校帰りに友達と食べに行ったの。ポテトとコーラを」
クラスで仲がいい友達、男女五、六人でいつもファストフード店にたまって、くらだない話で盛り上がっていた。
万喜がいつも頼んだのはMサイズのポテトとコーラ。
ポテトが食べきれない時もあったけど、それすらも楽しかった。
グループの中には幸一もいた。
彼はクラスでも目立つ存在で、グループではいつも話の中心にいた。
特に顔がいいわけでも成績や運動神経に秀でているわけでもない。それでも場を盛り上げるのが上手で、ものいいやふるまいにセンスを感じさせた。彼の髪型や着こなし、持ち物をまねる男子は多かった。
自然とそういう男子は女子からも一目おかれる。幸一の気をひこうとしている女の子は多かった。万喜もその一人だ。
だから幸一がいるグループに入れた時、万喜は本当に嬉しかった。
放課後、幸一たちと食べたポテトの味を、万喜はよく覚えていない。彼女が覚えているのは、幸一と目が合った回数だけだった。回数が多くても少なくても、万喜はそのことについて深く考えこんだ。
「いい思い出なんですね」
会話しながらも紅はじゃがいもを均等に切っていく。
そうね、と小さく万喜は言った。
紅は微笑み、ちらっとダイニングルームの壁を見た。子供の絵が貼ってある。
「お子さんの絵ですか?」
訊かれた万喜は振り返り、子供たちがクレヨンで描いたカラフルな絵を見た。
「ええ。三人いるけど、今夜はおばあちゃんたちの家に泊まってるの」
「じゃあ、今夜はおかあさん業のお休みの日なんですね」
祭はバッグからフライヤーを取り出して、油を注ぎ始める。切ったじゃがいもを水にさらした紅は腕時計をちらっと見た。
「そういうこと。なんだか眠れなくて、お腹が空いてきたんだけど、自分で作る気にはなれなくて」
「作れるけど作りたくない。そういうときってありますよね」
若い紅の言葉に万喜は微笑みで返す。
「若い紅さんでもそんなときがあるの?」
「ありますよ。おじいちゃんが亡くなった時は、しばらく料理が作れませんでした。家でもお店でも。なにをしてもおじいちゃんの姿がちらついて……そのときは祭に助けてもらいました」
「僕はけっこう図太いんで」
仲よさそうに微笑み交わす二人を見て、万喜は羨望を覚えた。
親や祖父を亡くしても、彼らには相談して支え合える存在がいる。
でもわたしはどうだろう。結婚して子供もいて、両親もいるのに、一人で悩みを抱えている。
急にまた胸の真ん中あたりが苦しくなった。そこになにかある。吐き出したい。
「わたし、離婚するかもしれない」
言葉にしてから万喜ははっとした。
双子がびっくりしたような表情でこちらを見ている。
「ごめんなさい」と慌てて万喜は謝った。
双子は目を見合わせ、それから作業する手を止めた。
「そうなんですね。だから今夜、こんな時間まで起きてたんですか」
気遣うような祭のやさしいまなざしと声に、万喜は言葉を失った。
それを見て、紅がキッチンカウンターの外に出てきた。エプロンのポケットからなにかを取り出して、万喜の前に置く。カラフルな星型のお菓子だった。黄色にピンク、紫。
黄色いのを一つ封を開けて口に入れた。ほんのりレモンの香りがするチョコレートだ。
「夫が浮気してるみたいなの」
万喜は残りのチョコレートを見つめながら打ち明けた。
「きっとよくある話よね。でも自分のこととなると、話は別みたい。どうしていいかわからないの」
紅は手を伸ばして、そっと万喜の腕に触れた。涙をこぼすかわりに、万喜は紅に笑いかける。
「大丈夫よ。ごめんなさい、こんな話して。こんなの、料金には含まれてないのにね」
万喜が笑うと、紅と祭も少しだけ笑みを浮かべた。万喜が促すようにキッチンカウンターに手を向けると、紅は頷いて戻っていく。
「このこと、まだ誰にも話してないから、ちょっと苦しかったの。でも吐き出せて少し楽になった。ありがとう」
双子は首を横に振る。
紅は腕時計を見ると、水にさらしたじゃがいもをザルにあけた。よく水を切ってからキッチンペーパーにのせて、水気を取っていく。
フライヤーの油を温めはじめた祭は、ビニール袋の口を丸く開いておいた。中には塩とこしょうを混ぜた小麦粉が入っている。
そんな二人の様子を見守りながら、万喜は独り言みたいに呟いた。
「変よね。家族も友達もいるのに、いざ困ったことが起きたら相談することができない。わたし、みんなから憐みの目で見られることが怖いみたい」
怖いことは他にもある。
離婚したらいまの仕事で、子供たちを食べさせていくことができるのだろうか。もし自分になにかあったら、子供たちはどうなるのだろう。おそらくこのマンションは住めなくなるだろう。苗字が変わることを、同僚はどう思うだろう。子供たちはどれほど傷つくのだろう。離婚の理由をどんなふうに説明すればいいのだろう。子供たちは理解してくれるのだろうか。
「川島さん」
気づくと双子がすぐそばにいた。
心配そうに佇んで、どうしたらいいかわからないような顔をしている。
お客の身の上話なんて聞き流せばいいのに、この子たちはそうしない。できないのかもしれない。
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