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「うをっ!!」

殴りかかられたのはマコト様なのに、マコト様ではない野太い男の人の痛みを堪える声が聞こえてきた。
なにが起こったのかと恐る恐る目を開けてみると、マコト様の身体の回りに薄い水色の膜がマコト様を守るかのように包み込んでいた。

「相手を倒すなら情報を集めなければいけませんよ。私のことを知らない貴方に私は倒せません。さあ、貴方はこの教会から手を引きなさい。」

マコト様は普段は見せない絶対零度の瞳で壮年の男を射抜く。
整っている容姿を持つマコト様が睨みをきかせると凄みが増す。
壮年の男もギリッと歯を噛み、悔しさに眉を潜めた。

「くそっ!」

「シーヴァ、引きなさい。皇太子の側近である彼には今のシーヴァでは、勝てない。いやいや、連れが失礼したね。我々は今日のところは引き下がらせていただくよ。だがね、この教会とそちらの御嬢さんのことは諦めきれないのでね。またお会いしましょう。」

初老の男性が、シーヴァと呼ばれた壮年の男を引き連れて席を立つ。
不穏な言葉を残しながら二人の男性は、教会から出ていった。
残された私たちは、安堵のため息をひとつついた。

「何があったんですか?」

私がシスターたちに訪ねると、シスターたちは目を潤ませながら答えた。

「助けてくださりありがとうございます。マコト様。」

「彼らはこの教会の土地を狙っているのです。そして、治癒の魔法を使えるライラさんにも目をつけたようです。」

シスターたちは、マコト様のことを知っていたのだろうか。ごく自然にマコト様の名を呼んでいる。

「教会と私を………?そう、私が貴女方を巻き込んでしまったのね。」

せっかく見つけた癒しの空間だったのに。もう、この教会には来ることが出来ないだろう。
私のせいでシスターや幼い孤児を危険な目に合わせることはできない。
でも、教会も狙っているということは、私がいなくなってもダメってことだろう。

「いいえ。元々この教会はあの人たちの手の者により、嫌がらせを受けていたのです。私たちが教会から出ていくようにと。」

「そうです。ライラさんはこの教会に来たことで彼らに目をつけられてしまった。私たちがライラさんを教会内に招き入れなければこんなことには………。」

シスター二人はうつ向いてしまった。その目には涙が浮かんでいたのを、私は見逃さなかった。

「さて、そのような不毛なやり取りをしていても仕方ありませんよ。対策を考えなければなりません。私が出てくれば彼らも教会から引くかと思いましたが甘かったようですね。彼らは反皇太子派の人間のようですね。」








――――――――――――――――――――――――
エドワード視点の裏話を近々公開予定です。
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