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しおりを挟む「私も処刑までは望まないかな。だって彼女はまだ何もしていない。確たる証拠もない。ただ、隣国の出であやしいというだけだ。それなのに、次に会ったら処刑とは・・・いささか極端すぎる。」
「そうですね。」
エドワード様の言葉にマコト様が続く。
「・・・監視が妥当でしょうか。ただ、ここでもなく皇太子宮でもない場所で。」
「それも些かやりすぎなような気はするが・・・。」
マコト様が俯いていた顔を上げて告げるが、その内容にエドワード様は考えるような仕草をした。
右手を口元に当てる姿はエドワード様が考え事をしている時の癖。
真剣に考えているときの癖だ。
私の処遇を真剣に考えてくださっている。
それが、なぜかとても嬉しく思った。
「私は構いません。どうぞ、心行くまでお調べください。」
私は恭しくエドワード様に跪く。
「そうか。では、マコト彼女のことを頼む。」
「はっ。承知いたしました。」
エドワード様は痛ましいものを見る目で私を見つめた後に、マコト様に向かって命令をしていた。
マコト様はエドワード様に信頼されている。
それが少し羨ましい。
マコト様はエドワード様の命に答えると私の元へやってきた。
「貴女には窮屈かもしれませんが、しばらくの間は監視させていただきます。」
「そう。わかったわ。」
監視されている状況で暗殺組織の者が私に接触してくる可能性は低いだろう。
あちらもリスクを恐れるだろうから、逆に私が暗殺される可能性はあるが、わざわざエドワード様の暗殺を催促してくるようなことはないと思われる。
私でなくとも優秀な暗殺者は多々いる。
エドワード様の暗殺はそちらに頼めばいいだけなのだ。
「それで?私はどこに行けばいいのかしら?」
「どこでも良いですよ。ハズラットーン大帝国の国内であれば。」
「あら。そうなの?それでは監視するのが大変ではなくって?」
何人くらい私の監視に人手を割くのだろうか。
「問題ありません。お好きなようにお過ごしください。」
「そう?なら職を探してもいいかしら?生きていくためにはお金が必要でしょう?」
手持ちのお金はほぼないと言っていい。
着の身着のまま、荷物という荷物を持たずに来てしまったのだから。
どこかに泊まるのにも今ある金額では難しいだろう。
そうなると早急にお金を得なければならない。
「必要であれば、こちらでお金はお出しいたしますよ?」
「そこまでしてもらわなくても結構よ。いつまでかはわからないけれど、この国で過ごしていくだけの金銭が得られればいいのだから。」
「そうですか。それでしたら一時的に住む場所だけこちらで提供いたしましょうか?」
「それは助かるわ。場所は選べるのかしら?」
「・・・ある程度なら。」
結構な高待遇のようである。
私は早速エドワード様とユキ様と別れ、マコト様に住む場所を見させてもらうことになった。
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