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しおりを挟む「エドワード様・・・。」
キョロキョロと辺りを見回しながら森の中をハズラットーン大帝国の方角に向かって歩き始める。
しばらく探していると、前方をよろよろしながら歩いているエドワード様の姿を見つけた。
いくら治癒の魔法で回復したからって、流れ出た血までは戻らない。
きっと、極度の貧血状態にあるはずなのだ。
気力だけで歩いている状態かもしれない。
小走りでエドワード様に近づく。
「・・・戻って来たのか。」
エドワード様はこちらを見ることもなく前だけを向いて歩き続けながらポツリと呟いた。その足取りは軽いとは言えない。
「服をお持ちいたしました。お金があまりましたので、食料も買ってきております。いつから食べていないんですか?腹が減っては戦はできぬと申します。どうか、お食べになってください。」
「戦に行くのではないのだが・・・。」
エドワード様は眉間に皺を寄せた。
そんなエドワード様に構わず、買ってきた食料をぐいっと強引に手渡す。
「食べてください!このままでは国に戻る前に力尽きてしまいます!」
「わかった。わかった。」
エドワード様はそう言って食料が入っている袋の口を開けた。
買ってきたのは、すぐに食べられる串焼きやサンドイッチ。その他にも帝国まで帰るためには数日はかかるので日持ちのする硬パンや、干し肉、干した果物を用意した。
干した果物は高価だったが、エドワード様の洋服がかなり安く買えたため懐に余裕があったので購入してきた。
「君も食べるといい。」
そう言って、エドワード様は私に食料をずいっと差し出す。
「いいえ。これはエドワード様のお金で購入したものですので。私はいただけません。」
手を前に出して、食料をつき返す。
「・・・君が食べられないようなものを私に食べさせるつもりか?」
エドワード様の声が一段と低くなり、私を鋭い眼差しで射抜いた。
その眼差しには殺気が篭っている。
エドワード様に毒を盛ったと勘違いされている・・・?
それも、そうか。
帝国の皇太子なのだ。
いつ誰が毒を盛ってもおかしくはない。
むしろ、暗殺されてもおかしくはない。
「ど、毒など盛っておりませんっ!」
「では、君も食べるといい。」
「い、いただきます・・・。」
こうまで言われて食べないでいると、毒が入っているのではないかと疑われて結局は購入してきた食料が全て捨てられてしまうだろう。
私は意を決して、買ってきた食料を一口ずつ口に運んだ。
「このとおり大丈夫ですので、安心してお召し上がりください。」
「・・・ふむ。」
エドワード様は私が食べ終わったのを見届けると、ご自分も食べ始めた。
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