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『ああ、第二部なんだ。開発中のシナリオととても酷似しているんだ。』

「そう、そのシナリオってどうなっちゃうの?」

マコト様とユキ様の会話は続く。
マコト様とユキ様の会話から察すると、とある開発中の乙女ゲームの内容と現在の状況が酷似しているそうだ。
ただ、その乙女ゲームの開発中にマコト様が、こちらの世界に来てしまったから最終的にどうなるかまでは、わからないらしい。
マコト様が知っているのは、皇太子の妃となった第一部でのヒロインが出産するために田舎に戻ることになって、その際の出産により危篤状態になってしまうところまでだった。
そこから物語は始まり、最愛の妃が危篤状態で落ち込んでいる皇太子に、新たなヒロインが彼の心を癒していくという筋書きらしい。

「そんなシナリオ酷すぎるわ!!」

『私もそう思うよ。婚約者がいる男性を奪うのも酷いけれども、出産により危篤状態の妻がいる男性を奪おうとするなんて狂気の沙汰だ。とても誉められたことではないと思う。もちろん私たちはそのシナリオに反対したんだけどね。このシナリオを押す同僚の勢いに敵わなかったんだ。』

「そもそも、そんな乙女ゲーム誰も買わないでしょ!むしろそれ、悪女じゃない!悪女ゲームよ!」

確かに酷すぎるシナリオのように思える。
端から見ているとヒロインが弱っている皇太子につけこむだなんて、あまりにも酷すぎる。
弱っている皇太子殿下の心を癒してあわよくば後釜を狙うだなんて、そのヒロインと呼ばれる人は性格が悪いのではないだろうか。
そんなヒロインと結ばれても皇太子殿下は、幸せなのだろうか。
ふと、そう思ってしまった。

「それより、マコト。エドワードは大丈夫なの?」

『………わからない。陛下の命令で、ヤクモーン王国へ向かったっきり連絡がつかなくなってしまった。』

マコト様の言葉に衝撃を受ける。
ヤクモーン王国と言えば、隣国ではあるが、ハズラットーン大帝国とは仲があまりよくないのだ。
その隣国に向かったということは、和平の申し入れだろうか。それとも、侵略のための情報収集?
皇帝陛下は領土拡大を常に念頭においていた。もし、ヤクモーン王国を手に入れたいと考えていたら?
エドワード様は敵地に赴いたってこと?
しかも、連絡がとれないだなんて、どういうこと。

「そんなっ………。どうしてっ………。どうしてっ!」

『エドワード様からの最後の連絡は、レイチェル様をくれぐれもよろしく頼むということだった。』

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