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しおりを挟む「レイチェル、着いたわよ。」
あまりにも眩しい光に目をぎゅっと瞑っていたら、どうやら目的の場所に着いたようで、ユキ様から声をかけられた。
恐る恐る目を開ける。
目に入って来たのは、真っ白い壁だった。
あたりを見回すと、質素ながらも綺麗に整えられている部屋であることがわかった。
「ここは………?」
「私の家よ。マコトと一緒に住んでたんだ。今は私とクロとシロが住んでる家。」
尋ねるとすぐにユキ様から回答が得られた。
ユキ様の家。
でも、女性の家と言われて周りを確認するが、女性らしい可愛いらしいものは置かれていなかった。ただシンプルな部屋で余計なものは置かれていなかった。
「ここは、マコトの部屋。レイチェルが使って。」
「マコト様の部屋だったんですか。」
通りで部屋が殺風景なはずだ。
マコト様は今、皇太子宮にいる。部屋には帰って来ていないはずだ。
きっと荷物一式を持っていったのだろう。
あれ?でも、マコト様とユキ様の家ってことは、ここは異世界なのだろうか?
迷い人が異世界に帰ったって話は聞いたことがないが。
「ここは、ユキ様たちがいらした異世界なのですか?」
「まさか。ここはレコンティーニ王国のキャティーナ村よ。ハズラットーン大帝国の属国よ。」
ハズラットーン大帝国。それは、エドワード様が皇太子を務めている帝国の名だ。
ハズラットーン大帝国の属国は全部で3つある。
ハズラットーン大帝国の西に位置するレコンティーニ王国。東に位置するアズンティーニ王国、南に位置するヤークモ王国の3つだ。
北にあるドークリッツ王国を属国にしようという動きが、皇帝陛下の指揮で現在ハズラットーン大帝国で起こっている。
皇帝陛下の指揮とは言っているが、実際に指揮を取っているのは皇太子であるエドワード様だろう。
皇帝陛下はエドワード様が立太子すると、すべての仕事をエドワード様に投げるようになったのだから。
きっと今も大まかな命令だけをして、エドワード様がそれに従って詳細を詰め自らが指揮を取っていると思われる。
「遠くまで来たのね。」
「クロとシロの力はすごいんだから。どんなところでも往き来自由よ。それにこの国では猫が優遇されているから、クロとシロの側にいれば安全だから安心して。」
「レコンティーニ王国の初代女王様のお力ですね。猫様に危害を加えるとどこかに飛ばされてしまうとか。」
レコンティーニ王国では、猫様が初代女王様の強い力によって守られているとか。
おかげで、レコンティーニ王国には猫様に危害を加える人はいられないそうだ。
そして、猫様に気に入られた人間は一生を安泰に過ごせるという。
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