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アルフォネアは王様に向かって物申す……

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「……まあ、よい。今日はユルスグリーン侯爵家に対する処置について呼んだ。」

「はっ。」

 王様はアルフォネアのことは見なかったことにしたようだ。
 
 すぐに本題に入った。
 
 きっと内心はアルフォネアと長時間関わり合いになりたくないため、すぐにでも要件を終わらせたいのだろう。
 
 あくまで推測だが。

「ユルスグリーン侯爵家の次女アルフォネアは、ルーンファクト王子の子を身ごもったと嘘偽りを広めた。その罪は王家に対する侮辱罪に値する。だが、ユルスグリーン侯爵家の長女ステファニーはルーンファクト王子の婚約者である。」

 王様は、アルフォネアの罪状を告げた。
 
「私、侮辱なんてしてませんわ。だって、ルーンファクト様の子を身ごもったと本当に思っていたのですもの。嘘ではありませんわ。それに、私はルーンファクト様の婚約者だわ。お姉さまはルーンファクト様の婚約者じゃありません。」

 アルフォネアは王様に対して堂々と言い訳をした。まったく悪いことだとは思っていないようだ。

 王様の眉がピクリッと動く。

「……そなたは嘘は言っていないと、そう言うのか?」

「ええ。そうよ。だって、そう思い込んでいたのだもの。仕方がないじゃない。それに、世継ぎが出来たことは慶事でしょう。すぐに皆にお伝えして広める必要があるわ。」

 アルフォネアは堂々と発言する。
 
 お父様はアルフォネアのあんまりな発言に顔を真っ青にしてなにも言えずにいる。お母様は口から泡を吹いて今にも倒れそうだ。

「……アルフォネア。それはあなたがルーンファクト様と婚姻関係にあって、本当に世継ぎが出来ていた場合でないと認められないわ。」

「また!お姉さまは関係ないのだから黙っていてちょうだい!」

 アルフォネアは私の言葉には耳を傾けることもしない。

「私はルーンファクト王子の婚約者はステファニーだと認識している。」

「それ間違っているわ。だって、ルーンファクト様には女性の見本となれるような素晴らしい女性が好ましいでしょう?お姉さまは地味だし、正確だって暗いしとてもじゃないけど、ルーンファクト様には似合わないわ。私の方が綺麗だし、美人だし、正確だってとっても良いもの。ルーンファクト様には私こそ相応しいのよ。お父様もそのように言っていたわ。」

「……真か?」

 王様はお父様に視線を移す。お父様はビクリッと肩を震わせた。

「……私の……私の言葉が……足りなかったばかりに、アルフォネアは自分こそがルーンファクト殿下の婚約者であると盛大な勘違いをしたようです。誠に……誠に申し訳ございませんっ!」

 お父様は王様に平謝り状態だ。王様の目を見ることもできない。

「まあ!お父様が嘘をついたというの!!私はルーンファクト様の婚約者よ。王妃様だって認めてくれたでしょう!私をこの国のお姫様になるのに相応しいって!!」

 アルフォネアは今度は王妃様の発言を持ちだしてきた。

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