妹が寝取った婚約者が実は影武者だった件について 〜本当の婚約者は私を溺愛してやみません〜

葉柚

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王宮から使者がやってきました……

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 翌日、王宮からの使者がアルフォネアの元にやってきた。ことの経緯を確認に来たとのことだった。

 アルフォネアは渋々と使者に対面をした。

「アルフォネア嬢。初めまして。王宮から来たメリッサと申します。状況確認のためいくつか質問させていただきます。よろしくお願い致します。」

 メリッサと名乗った王宮からの使者は女性だった。きっと、アルフォネアに配慮してルーンファクト様が女性の使者を遣わせてくれたのだろう。

「………………。」

 アルフォネアはメリッサさんの問いかけに何も言わずそっぽを向いていた。

「……大変失礼いたしました。ほら、アルフォネアご挨拶なさい。」

 同席しているお母様がアルフォネアに促す。

「………………アルフォネアよ。」

 お母様に促されたアルフォネアはしぶしぶと名乗った。

 メリッサさんはアルフォネアの態度を気にした様子もなくアルフォネアに質問を始める。

「ルーンファクト殿下のお子のことを誰かに話しましたか?」

「……もちろんよ。」

「誰だ。誰に言ったんだ!」

「あ、アルフォネアっ!!?」

「えっ!?」

 アルフォネアの返答に同席していたお父様とお母様と私は驚きの声を上げた。

 まさか、お医者様に診てもらう前から誰かに言っていたとは驚きを隠せない。そうでなくとも相手は王族だ。王族に関することを周知に広めるには確定した情報でないとリスクが高いことなど誰もが知っていることだろう。

 周知した後に実は間違っていましたでは信用問題に発展するし、なにより王家を侮辱していると捉えかねない。

 下手をしたら反逆罪にもなりかねないのだ。

「……そうですか。どなたに話しましたか?もしくは書面で知らせましたか?」

 メリッサさんも言葉に詰まったようだ。次の質問まで多少の時間を要した。

「……私付きの侍女には言ったわ。ルーンファクト様には直接お伝えしたし、王様と王妃様と宰相様には書面で伝えたわ。だって、大事なことでしょう?あとは……誰だかわからないわ。嬉しくて街に行ったときに会った人たち皆に教えてあげたもの。」

 アルフォネアは悪びれた様子もなく告げた。

 どこまで常識がない妹なのかと頭を抱えてしまいたくなる。

 お父様とお母様はアルフォネアの発言に頭を抱えて、大きなため息を吐いた。

「……アルフォネア。なんで、医者に診てもらう前の不確定な状態で話を広めたんだ。」

 お父様が固い口調でアルフォネアに尋ねる。

「なんで、話しちゃいけないの?国にとって喜ばしいことでしょう?」

「……それは、本当のことだったらな。だが、国の慶事は個人が勝手に発表していいことではない。王宮で決めてしかるタイミング発表されるのが普通だ。」

「だから、私は王様と王妃様と宰相様に手紙でお伝えしたわ。でも、なかなか発表しないんだもの。私が発表するしかないじゃない。先日王妃様にお会いした時にも直接王妃様に伝えようとしたのに、お姉さまに邪魔されて何も言えなかったし。」

「いつ、手紙を出したんだ。」

「ルーンファクト様と初めてお会いしてからすぐよ。」

 アルフォネアは思い出したかのように言った。

「「「「……。」」」」

 私たちはアルフォネアの言葉に絶句するしかなかった。

 まさか、ここまでアルフォネアが常識知らずだったとは思わなかった……。
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