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「シラネがくれた服かえ?あれは窮屈なのじゃ。特に胸やお尻が窮屈で仕方がないのじゃ。ゆえに、眠れなかったのじゃ。」


「・・・ああ。なるほど。」


トリスの言い分にオレは思わずポンッと両手を叩いた。確かに昨夜見たトリスの姿はどこか窮屈そうだった。

そうかそうか。

確かにトリスとシラネ様では体型が全然違う。トリスは成熟しきった体つきをしているが、シラネ様はまだまだ発展途上といった感じだ。


「ちょっと。人に服を借りておいてそれはないんじゃないのっ!!確かにちょっとサイズが違うかもしれないけど!ちょっとよ。ちょっと!少しの誤差よ!」


シラネ様はそう言ってトリスに詰め寄る。

ってか、シラネ様。トリスが色つきのコカトリスだってこと忘れていませんかね?

トリスが本気になったらシラネ様じゃ歯が立たないはずなんだけど、よくトリスに対して強気にでれるなぁ。

シラネ様ってば強いな。


「ふむ。人間というのは実に面倒じゃ。でも昨日の服はいやじゃ。キツいのじゃ。胸と尻がパツパツなのじゃ。動くと破れそうじゃ。」


「むきーーーーっ!!まだ言うかっ!もういい!新しい服すぐに調達してくるから!シーツにでも包まってなさいっ!!」


シラネ様はそう言うとバタンッと玄関のドアを思いっきり叩きつけるゆに閉めると走り去って行ってしまった。


「くっくっくっ。シラネは実に面白い人間なのじゃ。ついからかいたくなるのぉ。」


シラネ様が走り去っていった後で、トリスはにんまりと笑みを浮かべていた。

どうやらトリスは確信犯だったようだ。

それにしても、シラネ様はトリスに気に入られたようだ。


オレはシラネ様が戻ってくる前に、朝食の準備をする。シラネ様が来た時間はまだ朝の5時すぎだった。

きっとシラネ様はまだ朝食を取っていないだろう。オレはそう思ったのだ。

昨日の夕食も美味しそうに食べていたのだ。きっと、今日こんなに早い時間に来たのも、朝食をここで取ろうと思ってきたに違いない。


昨日の夕食はトリスの卵でオムライスを作った。これはトリスにもシラネ様にも好評だった。

今朝もオムライスというのは、ワンパターンすぎるだろう。

仮にもオレは料理人見習いなんだ。

いろんな料理を作れるということをアピールしなければ。


・・・って?あれ?なんで、シラネ様とトリスにアピールしなきゃなんないんだっけか?

・・・ま、いっか。


朝食って言ったら目玉焼きだよなぁ。

でも、目玉焼きにするにはコカトリスの卵は大きすぎてフライパンに入らない。卵を半分に分けてしまったらそれはもう目玉焼きにはならないだろう。

そうすると卵焼き・・・か?

ああ、そう言えばバッファモーから採れたミルクをチーズにしてみたんだっけ。

卵焼きの中にチーズを入れてみようか。

でも、それだけじゃ物足りないだろうから、魔トマトの実でも切ろうかな。あれなら、切るだけで美味しいし。

それにサラダも用意しよう。サラダにするための葉っぱは今はお店で売られている普通のものしかないが、付け合わせがなにもないよりはマシだろう。


朝食を準備し終わったところで、玄関のドアが開いた。きっと、シラネ様が帰ってきたのだろう。

オレはそう思ってシラネ様を迎えるために玄関に向かった。


「シラネ様。お帰りなさい。ちょうど朝食ができたところだから食べてから行きませんか?・・・って、あ、あれ?」

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