婚約破棄されて異世界トリップしたけど猫に囲まれてスローライフ満喫しています

番外編

お花見しよう！ １

　
　
「桜が綺麗に咲いたわねぇ。」

　異世界でも、桜は綺麗に咲き誇っている。
　東京にいたころは自然などほとんどなかった。川沿いに桜は咲いていたけれどお花見するには少々風情が足りなかった。有名な公園の桜はお花見しようとする人々でいっぱいで、桜を見ているんか人を見に来たのかわからないような状況だった。
　だから、ゆっくりと桜を眺めることができる今の生活はとても充実していると思う。
　
「ピンクがひらひらで綺麗なのー。」

「クーニャ、あれ捕まえてくるのっ！」

「マユにプレゼントなのっ！！」

「えっ！？マユ喜ぶっ！？喜ぶならマーニャもピンクのひらひら捕まえるのっ！！」

「あっ！マーニャ抜けがけずるいっ！クーニャもっ！！」

「ボーニャもっ！！」

　私の隣で桜が舞う様子を見ていたマーニャたちは、私のために桜の花びらを捕まえて取ってきてくれるようだ。
　うん。ひらひら舞うのを見ていることが好きなんだけどね。
　でも、舞い散る桜の花びらの中で、必死に舞い落ちる桜の花びらを捕まえようとしているマーニャたちの姿を見ているのも癒しの一つだ。本当にマーニャたちは可愛くて仕方がない。
　実は、桜の花びらを捕まえようとしているのは私にお土産を渡すのではなく、実は猫の性分なのかもしれないけど。
　マーニャたちは楽しそうに桜の花びらを捕まえようとしている。
　ちなみに、地面に落ちた桜の花びらは無視だ。
　やっぱり舞い散る桜の花びらを捕まえることが楽しいんだと思う。

「転ばないようにね。」

　私は元気に走り回るマーニャたちを声をかけて、家の中に入った。
　どうせなら桜を見ながらみんなでご飯でも食べようと思ったのだ。
　念話でマリアにお花見をしようと声をかける。
　
『お花見？そういえば、マユのところには大きな桜の木があったわね。用意をしてすぐに行くわ。』

　マリアは二つ返事で頷いた。
　次に私は村長夫妻に声をかける。
　村長の奥様であるユキさんは実は私と同じく異世界人だった。ユキさんの方が年上だけれども、同郷ということもあり、ユキさんには親しみを覚えている。
　こちらも念話で声をかける。
　
『まあ。お花見とってもいいわね。すぐに行くわね。』

　ユキさんも二つ返事で頷いた。
　マコトさんも呼べばいいのだろうけど、マコトさんは王都にいる。レコンティーニ村には声をかけてもなかなか来れないだろう。
　……いや、変な魔道具を作っているマコトさんのことだ。もしかすると魔道具で飛んでくるかもしれないけど。なんか、怖いからやめとこう。