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五章

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「お、お主ら……。イザナミとも知り合いだったのか……。」

 ジトッとした目でイザナギ様を見つめていると、イザナギ様がガクッと項垂れていた。

「うむ。マユは妾の母親なのじゃ。」

「ぐっ。しかも、イザナミの母親じゃと……。い、今までのこと申し訳なかった。このとおりじゃ。」

 イザナギ様は先ほどまでの勢いはどうしたことか、土下座するような勢いで謝ってきた。

「あ、いや……その……。」

 先ほどまでと態度が違いすぎてどうしたらいいかわからない。とういか、タマちゃんの母親だからって態度が変わるのはいかがなものだろうか。

「よいのじゃ。イザナギはそのまま放っておくといいのじゃ。して、マユ。妾はそなたらが帰り方を知らぬのじゃ。だが、マユなら帰る方法がわかるはずじゃ。マユたちがここに来てしまったのは、マユが女神としての力を意図せず使用して来たのであろう。して、マユが女神の力を使いこなすことができれば帰れると思うのじゃ。」

「……女神の力を私が使用したの?」

「そうじゃ。きっとプーちゃんと会いたいという気持ちが暴走したのじゃな。」

 タマちゃんはそう言って、私の頭を撫でた。

 私が女神の力を使っただなんて。というか、女神の力を私が使うことができるの……?いつの間に?そんな説明誰もしてくれなかったんですけどっ!?やっぱ、あの勝手に力を使い果たして眠っている女神様の所為かな。

「でも、タマちゃんはここと元の世界を行ったり来たり自由にできるのでしょう?」

「入口まではな。入口から先は転生する者しか先に進めないようになっているのじゃ。」

 タマちゃんはそう教えてくれた。

「ここは、入り口なの?」

「違うのじゃ。最深部なのじゃ。」

「え?え?じゃ、じゃあ、タマちゃんは……?」

 タマちゃんが行き来できるのは入口までということだった。それなのに、最深部であるこの場所にタマちゃんがいるのは何故?

 私の頭の中に疑問符が浮かぶ。上手い言葉がでてこない。

 だって、だって、入り口までしか行けないのに、タマちゃんが最深部にいるってことは、それはすなわち……。

「うむ。妾は生まれ変わるのじゃ。プーちゃん一人だけじゃ心配だからのぉ。妾もついて行くことにしたのじゃ。プーちゃんは今、卵になったからのぉ。妾もすぐに追いかけるのじゃ。」

「ええっ!タマちゃんも!!タマちゃんまで生まれ変わっちゃうの!?そ、そんな……。」

「生まれ変わっても妾は妾じゃ。記憶が消えるわけでもない。ただ、身体に溜まった穢れがリフレッシュするだけじゃの。まあ、下位の精霊だと記憶も失ってしまうが、妾くらいになると記憶は失わぬ。マユのことも忘れぬから心配するでない。」

 タマちゃんは安心するように微笑むと私の頭をポンポンと叩いた。これじゃ、どっちが母親だかわからないんだけど。っていうか、生きている年数的にはタマちゃんの方が圧倒的に上なんだけどね。やっぱり、私が母親だというのは何かおかしいような気がする。

「イザナギよ。生まれ変わる順番をちぃーっと変更させておくれ。妾はマユたちが帰った後に、生まれ変わることにするのじゃ。」

「……わかったのじゃ。その代わり済んだらすぐに生まれ変わるのじゃ。約束じゃ。」

「うむ。わかっておるのじゃ。」

 イザナギは憮然とした表情をしていたが、タマちゃんの要求はすぐに飲んでくれた。

 っていうか、タマちゃんが私たちが帰れるまで一緒にいてくれるだなんて、なんて心強いのだろうか。

 

 

 

 ……心強い、よね?

 

 

 

 


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