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四章
4ー53
しおりを挟む「な、なんでしょうか・・・。」
男の子の鋭い視線に怯みながら声を出す。
マーニャたちも低い声は苦手なのか表情が暗いような気がする。
さっさと行っていいと言ったり、待ってくれと言ったりいったいどういう気なんだろうか。
「なあ、その小さい可愛い生き物はなんだ?」
「へ?」
思わずポカーンと口が開いてしまったのは致し方のないことだろう。たぶん。
まさか、あんなに鋭い視線をしてマーニャたちのことを可愛いとか普通言うか?言わないだろう。
可愛いマーニャたちを見たら、みんな目がハートになるはずなのだ。
いや、まあ。目がハートにならなくても、鋭い今にも射殺しそうな視線はマーニャたちには向けないだろう。
そう、可愛いと本心から思っているのならば。
「なんだと聞いているんだよ。僕が聞いているんだからさっさと答えてよね。」
うーん。
この男の子は沸点が低いのだろうか。
声を荒げて聞いてくる。
お陰で、マーニャたちはビクビクしているようだ。
「猫ですよ。見たことありませんか?」
猫様と言われてレコンティーニ王国では猫はもてはやされている。
でも、他国でも猫を見ることもある。
ただ、飼われている猫以外は警戒心が強いのかなかなかお目にかかることはできなかったけれども。
猫を知らない人がいるとは思わなかった。
「猫、という種族なのか。名前はあるのか?」
男の子は若干目元をやわらげて確認してくる。
もしかして、さっき目を釣り上げていたのは緊張していたからか・・・?
「この子がマーニャで、この子がクーニャで、この子がボーニャといいます。」
私は、マーニャたちを指し示しながら名前を紹介していった。
男の子は名前とマーニャたちを一生懸命暗記しているようだ。
時折首が縦に動いているので、頷いているようだ。
「マーニャにクーニャにボーニャだな。しっかり覚えた。」
「ええ。仲良くしてあげてください。」
「可愛いのぉ。実に可愛いのぉ。」
男の子にマーニャたちを紹介していたので、お婆ちゃんもマーニャたちの存在に再び気づいたようだ。
しきりに可愛い可愛いを連発している。
「マーニャ、クーニャ、ボーニャ、頼む。そのふわっふわな耳を触らしてくれないか。」
男の子は真顔でマーニャたちに懇願をする。
『えー。ヤなのー。』
『痛くしないでよー。』
『優しくするのー。』
おっと、クーニャだけ拒否った。
マーニャとボーニャは友好的なんだけどな。
やっぱりさっきの男の子の視線が怖かったのだろうか。だから、クーニャは男の子の要求を拒否するのだろうか。
「むっ。僕にわかるように言葉を発してよ!!」
「泣き声も可愛いのぉ。実に可愛いのぉ。」
そうか、この男の子にはマーニャたちが何を言っているのかわからないのか。
「マーニャとボーニャは優しく撫でて欲しいと言っています。」
なので、マーニャたちの言葉を通訳することにした。
「むっ。お前はマーニャたちと会話ができるのか!?羨ましい!!どうしてお前はマーニャたちと会話ができるのだ?」
おっと。
マーニャ達の回答よりも、マーニャたちと直接会話が出来ることが羨ましいと来たか・・・。
「私には猫様の下僕というスキルがあるんです。だから、マーニャたちが何を言っているのか理解することができます。」
「・・・猫様の下僕?初めて聞いたぞ。そんなスキル。」
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