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三章

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『ま、マーニャ様ぁ~~~~~!!!』

マーニャが顔を出してプーちゃんの名前を呼ぶとプーちゃんがものすごい勢いでマーニャに絡みついた。

文字通り竜の巨体でマーニャをグルグルに絡めている。

『く、苦しいのー。』

『す、すまぬっ!ついっ。マーニャ様、ごめんなさいなのだ。』

『むぅ。プーちゃん気を付けてなのー。』

プーちゃんに締め上げられてマーニャは少しご機嫌斜めである。

「プーちゃん、落ち着いた?なにがあったの?」

マーニャを見たことで冷静さを取り戻したプーちゃんに尋ねる。

ちなみにマーニャはプーちゃんの頭の上に乗って毛づくろいをしている。

マーニャは高いところが好きらしい。

プーちゃんから離れないところを見ると、マーニャもプーちゃんのことが心配なんだろう。たぶん。きっと。

『うむ。ミルトレアが呪われた大地についたとたん急に消えたのだ。どろんっと。』

「うんうん。それで?」

どうやらミルトレアちゃんは消えたらしい。

人間業じゃないよね。確かに。

でも、もしかして転移の魔法が使えたとか?

でもでも、プーちゃんがこんなに怖がるくらいだから他にも何かあったのだろう。

そう思って続きを促す。

『それだけだが?』

「へ?」

「は?」

「ほ?」

プーちゃんの返答に思わず聞き返してしまう私とマリアとマコトさん。

いや、だって。ほら。

聞き返したくなるじゃん。

プーちゃんがあれほど怖がっているんだから。

「えっとぉ・・・ミルトレアちゃんがいきなり消えたから怖かったってこと・・・?」

にわかに信じられない思いでプーちゃんに確認をとる。

すると、プーちゃんは仰々しく頷いた。

『うむ。気配もなく消えたのだ・・・。怖かった。あれは人間ではないぞ・・・。』

その時のことを思い出したのか、ブルッとプーちゃんが震えた。

その振動でプーちゃんの頭の上に居たマーニャがバランスを崩した。

『にゃっ!!』

『痛っ!!』

バランスを崩したことに驚いたマーニャは、バランスを取るためにプーちゃんの頭に爪を立てる。

プーちゃんは、マーニャの爪が痛くて声を上げた。

ってか、猫の爪なのに硬い竜の鱗を貫くの・・・?

普通爪なんて刺さらないよね。

ツーっとプーちゃんの額に赤い筋ができる。

どうやらマーニャの爪で怪我をしてしまったようだ。

マコトさんはプーちゃんの血を見て、爛々と目を輝かせた。

そうして、鞄をごそごそとあさると何やらでっかい絆創膏を取り出した。

その絆創膏はマーニャくらいのサイズがあった。

それをプーちゃんの額にペタッと貼っている。

「おお。マコトさん流石手早いですね。プーちゃんの手当てをしてくれてありがとうございます。でも、猫の爪でついた傷くらいプーちゃんなら放っておいても治るのでは?」

手早い処置に関心していると、マコトさんがにっこりと笑って首を横に振った。

「あれ魔道具なんです。竜の血は貴重なので魔道具で吸い取っておかなければと思いまして。ふふふっ。これであんな魔道具やこんな魔道具が作成できるかもしれません。ふふふふふふっ。」

関心して損した。

どうやらマコトさんは自分の探求心を満たすためにプーちゃんに絆創膏もとい魔道具を貼り付けたらしい。

マコトさんらしいというかなんというか。

って、話がそれた。

ミルトレアちゃんのことだよ。ミルトレアちゃんの!

「それで、ミルトレアちゃんは今どこに?」

『知らぬ。すぅっと消えたのでな。あれは今思い出しても怖いかったのだ。まるで幽霊のようだった。・・・はっ!幽霊っ!!いやーーーーーーーーっ!!!』

「ちょっと待て。プーちゃん竜なのに幽霊怖いのっ!?」

ミルトレアちゃんが幽霊かもということに思いいたってプーちゃんは悲鳴を上げる。

青竜なのに幽霊が怖いって初めてきいたんだけど。

というか、永い年月を生きているプーちゃんにとって幽霊はそんなにレアな存在じゃないと思うんだけど。

ってか、プーちゃん強いんだから幽霊なんて屁でもないはずだよね?

『幽霊?幽霊ってなにー?ここでふわふわ浮いてるのがそうなのー?』

幽霊を怖がっているプーちゃんとは対照的にマーニャは面白そうにプーちゃんの後ろをジッと見つめている。

私には何も見えないんだけど、そこに幽霊がいるのだろうか。

『なっ!!そんなところにも幽霊がっ!!?』

プーちゃんはマーニャの言葉に反応して後ろを振り向いてカチンッと固まった。

どうやら本当に幽霊がいるようだ。

「え?マーニャ見えるの?幽霊?」

『うん。見えるよー。たくさんいるのー。ほら、ここにも、あそこにも、あっちにもー。いっぱいなのー。』

『・・・え?え?え?・・・うぎゃあああああああああああ!!!!!!』

マーニャが何もない空間をジッと見つめている。

それが何か所もある。

どうやらそこに幽霊がいるようだ。私には見えないけれど。

プーちゃんにはその幽霊が見えるらしい。

マーニャが示す方向を向いていちいち悲鳴を上げている。

うん。見えないって素晴らしい。

それにしても、こんなにも幽霊がいるのに今まで幽霊だと気づかなかったプーちゃんって・・・。

「ミルトレアちゃんに逃げられちゃったわね。勘がいいのね。」

「・・・そうだね。でも、なんでプーちゃんと一緒に呪われた大地に行ってから消えたんだろう。」

「そうね。不思議だわ。明日にでも呪われた大地に行ってみましょう。」

唯一まともなマリアと相談をする。

ミルトレアちゃんがいないことには原因の究明もできないしね。

しっかし、これだけ人数がいてまともな人間がマリアだけだなんて・・・なんだかちょっとどうなんだ?

類は友を呼ぶっていうけど、プーちゃんの周りにはほんと・・・って私も類になるのっ!!

え?いや、でもそれでいったらマリアもだよね。うん。

・・・うん?

思わず思考がそれた瞬間にマリアがギロリとこちらを睨んだ。

ああ、そうだ。

マリアさんってば人の心が読めるんでした・・・。

なんか今日も色々前途多難です。

明日はなにか良いことがあるといいな。

こうして私たちの夜は更けていったのでした。

 

 

――――――――――――――
長らくお休みしてしまってすみませんでしたm(_ _)m本日より更新再開いたします。またよろしくお願いいたします。
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