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三章
3ー61
しおりを挟むはぁ~。なんか、ベアトリクスさんと話したら疲れたなぁ。
まさか、甘酒味の化粧水を女王様が軍事利用しようとしてたなんて思いもしなかったよ。
でもでも、まさかだけれども。これを機に女王様から定期的に甘酒味の化粧水の納品をお願いされたりしないよね・・・?
無理だよー。それは無理だよー。効果も味もいつもバラバラなんだから。
定期的に納品をお願いされるようなことがないように気をつけなければ。
って、どうやって気をつけるんだって話だけど・・・。
それは、取りあえず依頼が来てから考えるとしよう。実際に納品依頼が来るとは限らないしね。
特殊な環境下で使用するみたいだからそんなに沢山一度に要求されることもないだろう。
また、用途が限られているし、短期間で再注文なんてこともないだろう。
そうと決まれば、時間もあまりないことだし、化粧水をご近所さんに配ってこようかな。
今回はマリアがいないから畑の手入れも誰かにお願いしなきゃいけないしね。
私はグレープ味の化粧水だけ鞄に入れて手に持つ。
「マーニャ、クーニャ、ボーニャ。ちょっとご近所さんに明日からいないって連絡してくるね。」
『いってらっしゃーいなのー。』
『わかったのー。』
『今度こそミルク買ってきてなの!』
おっと、快く送り出してくれるかと思いきや、クーニャにミルクをお願いされた。
しかも、ちょっと怒っているのか尻尾をビタンビタンッと床に打ち付けている。尻尾、痛くないのだろうか。
こないだミルクを買い忘れて帰宅したことを根に持っているらしい。
クーニャはミルクが大好きだからなぁ。
毎食後の後にミルク請求してくるからすぐにミルクがなくなってしまうのだ。
なので、大量に買いこんではいるんだけれどもつい切らしちゃうんだよねぇ。
「わかったよ。クーニャ。今日は必ずミルク買って来るね。」
『絶対だよ!絶対だからね!』
「はいはい。」
クーニャが大きな丸い目を吊り上げて要求してくる。
そんな目で見つめられたって可愛いだけなんだけどね。
『クーニャずるぅ~い!!マーニャは煮干しが欲しいのっ!マユ、煮干し!』
「へ?」
『ボーニャはささみが欲しいなぁ。マユ、買ってきてなの。』
「はいっ?」
『我はトマトを所望する。』
「へ?プーちゃんもっ!?って、トマトは畑にあるから!」
マーニャ、ボーニャに続きプーちゃんまでお土産を要求してくる。
すぐそこまで行って来るだけなのに。
しかも、プーちゃんにいたってはトマトだなんて、すぐそこの畑にあるのに、まったく。
『妾は甘いものが食べたいぞ。マユとやら甘いものを妾に献上するがよい。』
「ええっ!?」
殻にヒビが入った金色の卵から声が聞こえてきた。
その声は甲高く、少女のような声である。
「って!どうやって食べるんですかっ!あなたまだ卵から孵る気がないんでしょ!!」
『・・・ちっ。』
卵から出てくる気配がないのにどうやって甘いものを食べようというのだろうか。
全くもって無茶を言う。しかも、つっこんだら舌打ちして黙っちゃったし。
でも、これ買ってこなかったらなんか言われるのかな。
うん。
食べれなかったら、私が食べちゃえばいいんだから買ってこよう。
マーニャたち猫は甘いものが食べられないから大精霊の皆さんの分だけ買ってこようかな。
「じゃあ。行って来るね。」
私はそう言って一人家を後にした。
・・・誰かついてきてくれるかなぁなんてちょっと期待してたんだけどな。誰も一緒に来てくれないだなんてちょっと寂しい。
「まずは村長さんのところに挨拶しに行かなきゃね。それからケララのところに言って、私がいない間、畑の面倒を見てもらえないか交渉してもらおうかな。そのあと、ソフィーさんのところに挨拶に行って、アンさんのところで甘いものを買って、ダンさんとサラさんのところでミルクと煮干しと携帯食でも購入しよう。あ、ローズさんのところでささみも購入しなきゃ。あちこち行かなきゃ行けないね。時間的に回りきれるかなぁ。あ、ザックさんのところは行かないことにしよう。マリアを迎えに行くなんて言ったら着いてきそうだし。」
なんかやることが多いぞ。忘れないようにしなきゃね。
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