上 下
274 / 584
三章

3ー41

しおりを挟む
 

「んふふっ♪乳液乳液~♪」

早速採取してきたヌメリン草を使って乳液を作ることにした。

ちなみに、マーニャたちはヌメリン草のぬめぬめ感が気に入ったのか、肉球でふにふにヌメリン草をもみもみしておりました。

ヌメリン草のクッションでも作ってあげようかしら。

錬金釜の中に採取してきた薬草と森の湧き水を入れる。そして、最後にヌメリン草を適当に入れる。

だいたい薬草と同じ量のヌメリン草を入れてみた。

そして、錬金釜の蓋をする。

新しく購入してきた錬金釜は化粧水であれば3時間でできるが、乳液はどのくらい時間がかかるのだろうか。

「とりあえず美味しくできるといいなぁ~。」

ん?

あれ?

また私変なこと言った?

なんだか錬金釜見ていると美味しいものができるようなイメージが頭の中にあるんだよねぇ。

なんでだろう。

あれかな。

錬金釜が学校の給食用の鍋に似ているからかな。

錬金釜をジッと見つめていると【残り4時間58分32秒】と表示されていた。

どうやら乳液を作成するには5時間程かかるようです。

一度練成釜を起動してしまえば、できあがりまで特に手を加える必要がない。

後はひたすら時間まで待つだけだ。

待つだけだと時間がかかるので、ひまわりを植え替えるためのスコップを買いに行くことにした。

今回は、クーニャが一緒だ。

私の肩の上に起用に乗って私の頭に手を置いて微妙なバランスを取っている。

自分で歩いていく気はしないらしい。

歩いている最中は揺れるだように、尻尾をゆったりと揺らしながらご機嫌なクーニャでした。

まあ、時折バランスを崩しているのか、頭と肩に爪が食い込んできたけど。

 

 

「こんにちはー。」

ザックさんの雑貨屋さんについたので店の中に向かって声をかける。

さて、ザックさんは店番しているのだろうか。

「・・・はい。」

ブスっとした表情で、ザックさんが店の奥から姿を表した。

「ぶはっ!!」

『にゃはははははははははっ。』

出てきたザックさんの姿をみて、クーニャと一緒に大爆笑してしまった。

だって、猫耳を隠す為にほっかむりをしているんだもの。しかも、唐草模様!

泥棒にでも行くんですか?って思わず思ってしまった。

というか、端整な顔に唐草模様のほっかむりって全然あってないんだけれども。

アンマッチすぎて笑える。

クーニャなんて、私の肩から転がり落ちて床でゴロゴロと転がっているほどだ。

よっぽどツボだったようだ。

「そんなに笑うな・・・。」

「なんだって、唐草模様なの?」

もっと他の模様だってあっただろうに。

よりによって唐草模様。

なにそのセンス。

「以前、マリアが唐草模様が好きだって言ってたんだ。だから・・・。」

ザックさんから教えられたマリアの好きな柄にまたしても笑いが止まらなくなった。

それって、マリアってば絶対わざと唐草模様が好きだって言ったよね。

絶対、そうだと思う。

だって、マリアが唐草模様の服や小物を身につけているのを見たことないし。

ザックさん何故気付かないんだ。

「まあ、いいや。今日はお客として来ました。スコップがほしいんだけど取り扱いあるかな?」

「スコップか・・・。あるが、うちには普通のスコップしかない。リュリュのところに行けば軽いスコップだったり、自動で穴を掘ってくれるスコップだったりいろんなスコップがあるぞ。」

「へー。スコップにも魔道具があるんだ。」

「ああ。値が張るがな。」

まあ、確かに穴を掘るのも大変だしね。

じゃあ、なんで雑貨屋さんにもスコップが置いてあるんだろう。

魔道具の方が遥かに便利で楽なのに。

「魔道具は高いからな。うちのスコップだと1000ニャールドで買えるが、魔道具であれば10000ニャールドはするだろう。だから、スコップを使う機会が少ない人たちは普通のスコップを買っていくんだよ。」

「へーそうなんだ。」

それもそっか。

普段使わないスコップを高いお金を出して便利なスコップを買ったりしないよね。

例えば都会の庭で草むしりをするのに草刈り機は使わないだろう。せいぜい買っても鎌くらいだろう。

反対に田舎では草むしりするのに手でむしってたら途方もないので草刈り機を買って使用する。

そんな感じかな。

「今後も使うかわからないから、普通のスコップでいいや。種類は一種類?」

「わかった。形は一緒だが、色や模様が違うんだ。今、持ってくる。」

そう言うなり、ザックさんは店の奥に品物を取りに行った。

アンナちゃんだとヒュンッと魔法で取り寄せるのになぁ。

ザックさんが持ってきてくれたのは実に色とりどりなスコップでした。

赤や黄色、ピンク、黒、青、紫、花柄、水玉模様に唐草模様まで・・・。ほかにもいろいろな模様がある。

よく取り揃えたよなぁ。こんなにと思うほどだ。

どれも形状は同じなので手に持った感じもまったく同じである。

やっぱり見た目か。見た目なのか。

「これにするわ。」

どれも同じだったが一番シンプルな銀色のスコップを手にとった。

シンプル・イズ・ベストっていうしね。

飽きのこない色を選んだ。

 

しおりを挟む
感想 829

あなたにおすすめの小説

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

処理中です...