162 / 584
二章
2ー43
しおりを挟む「さて、マユ。そろそろソフィアさんのところに行かなくっちゃね。ソフィアさんが首を長くして待ってるよ?」
「あ、そうだったね!化粧水作ってる途中だったね。」
オークションがあったり、プーちゃんのトマトがあったりして忘れてたけど、そう言えばソフィアさんの錬金釜を借りて化粧水を作ってる途中だったんだ。
うっかりしてた。
予定外に、家に戻ってきたから、だいぶ遅くなってしまった。
「マーニャ、クーニャ、ボーニャ。ソフィアさんのところに行くよー。バスケットの中に入ってくれるかな?」
鶏と戯れているクーニャ、草むらの中で跳び跳ねているマーニャ、ヒマワリの下で寝ているボーニャに声をかける。
ん?
あれ?
ヒマワリがもう咲きそうなんだけど、ヒマワリってそんなに早く花が咲くんだっけ?
まだ種を植えてから二週間も経っていない気がするんだけど。
まあ、いいや。
今はそれよりソフィアさんのところに行かなくては。
いちいち畑のヒマワリに気をとられていたら、時間がいくらあっても足りないし。
私の背丈ほどのヒマワリを見てそう思った。
「あれ?マーニャ?クーニャ?ボーニャ?」
いつもは呼べば飛んで来るのに今日は来ない。それぞれ思い思いの行動をとったままだ。
いったいどうしたのだろうか?
今日は普通の化粧水にマーニャたちの力を注いでもらう検証をしてみようと思っていたのに。
マーニャたちが手伝ってくれないと検証ができない。
「マユ、諦めてちょうだい。今日はマーニャ様たちは家にいたいそうよ。」
「えっ?」
「…どうやら、まだ化粧水のことで機嫌があまりよくないみたい。少しほおっておいた方がいいかも。あとで、美味しいご飯を買ってきましょう。」
「あ、なるほど。それならしようがないね。よっぽど、嫌だったんだね、あの化粧水。」
マリアと私はプーちゃんにお留守番をお願いして、ソフィアさんのところに向かうことにした。
ソフィアさんは案の定待っていた。
「おかえりなさい。なかなか来ないからどうしたのかと思っていたのよ?」
「すみません。いろいろありまして………。」
トマトに魔力が込められていたことは言えないから誤魔化す。
「そう。飲む化粧水は売れたのしら?」
ああ、そうだった。ソフィアさんには錬金釜を借りてるから、オークションの結果を教える約束だった。
「ええ。一本2220ニャールドで売れました。」
「まあ!普通の化粧水の倍以上ね!高値がついてよかったわね。」
「鑑定士さんは飲める化粧水の効果が口コミで広がれば、この10倍は値段がつくだろうって言ってました。」
「まあ!それは、すごいじゃないですかっ!」
そうだよね。
普通の化粧水は1000ニャールドだもんね。今回の化粧水だって普通の化粧水の二倍の価格で売れてるんだから、高値になるのか。
元手はほぼただだしね。
「化粧水が出来上がったかどうか見てもいいですか?」
「あ、引き止めちゃってごめんなさい。ゆっくり確認してみてね。」
私達は、ソフィアさんと別れ、工房に足を踏み入れた。
化粧水をセットした釜を見る。
錬金釜の蓋に手をあてると、光がもれた。
どうやら、無事にできあがっているようだ。
さて、マーニャたちの力が加わらない飲める化粧水はいったいどんなものが出来上がっているかな?
38
お気に入りに追加
2,574
あなたにおすすめの小説

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる