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一章
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しおりを挟む「素晴らしい力ねぇ・・・」
自分ではまったく実感がないけど。
異世界からの迷い人って素晴らしい力を持った人しかいないとか冗談だよね?
だって、私にはまだ何もない。
スキルは一応あるけど、どれもすごいとは思わないし。
「マユ、あなたのスキルを鍛えてみましょ。きっと素晴らしい力が開化するわ」
「う、うん・・・」
マリアのキラキラとした眼差しと力強い声に思わず返事をしていた。
鍛えたところで平凡かもしれないけどね。なんて皮肉は心の中だけに留めておく。
「さて、そうと決まれば料理の特訓よ!!」
声高らかに宣言するマリア。
「え?森へ行くんじゃないの・・・?」
「・・・。そうね、そうだったわね。料理もなにも肝心の食材がなければ話にならないわ。マユ、森に行くわよ」
「う、うん」
どうやらマリアは調理に燃えているらしい。また、スパルタ教育が始まるのかなぁ。少し憂鬱。
「マーニャ様、クーニャ様、ボーニャ様。私たち森に採集に行くけど行きますか?」
マリアはベッドで寛いでいるマーニャ、食後の毛繕いをしているクーニャとボーニャに声をかけた。
って、マーニャたちを連れていくの?
迷子に・・・は、ならないか。ダンジョンに行って帰ってこれたんだし。大丈夫か。
マリアが声をかけると、クーニャとボーニャは私の部屋に駆け込んだ。
おや?行きたくないってことかな?
でも、すぐに私たちのもとに戻ってきた。
背に猫用の保管袋を背負って。
「「「にゃあ♪」」」
用意できたよー♪
って言っているような気がする。
三匹ならんで、私たちをキラキラと輝く目で見つめている。
可愛い。実に可愛い。
「よしっ。じゃあ行くよー。マユも用意できてる?」
「あ、うん」
可愛いマーニャたちに見とれているとマリアから声をかけられた。
私は買ったばかりの鞄を身に付けると猫たちようのバスケットを取り出した。
蓋をあけて猫たちをいれようとする・・・。が、3匹に逃げられた。
あれ?マーニャたち森に行くんじゃなかったの?
「どうやら歩いて行きたいようね。でも、まだ子猫だからバスケットは持っていった方がいいわ。帰りに寝ちゃうかもしれないもの。あ、あと猫様用のご飯も持っていってね」
マーニャたちは意気揚々と外に飛び出した。
どうやら森に行くのが楽しみらしい。
いつもよりも目が輝いている。
私とマリアはそんなマーニャたちの後を追って、家を出た。
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