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一章

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巻きついているプーちゃんを宥めながら考える。
どうしてトマトにヒビが入ってしまったのか、どうしてトマトが甘くなくなってしまったのか。

「プーちゃん。トマトにヒビが入っていたのと甘くなくなってしまった以外にいつもと違うところがあった?」

プーちゃんを刺激しないようにできるだけ優しく声をかける。
というか、トマト一つでここまで落ち込むなんて、この竜メンタル大丈夫なのだろうか・・・。

「いつもより大きかった。一回り大きかった。だから嬉しくてもいでみたらヒビが入っているし美味しくなくなってた」

いつもより大きくなっていたから大味になったのかしら?
そうするとヒビが入ってしまったのはもしかして、急激に大きくなった実に対して皮の成長が間に合わなかったから・・・?
そう考えるとトマトが大きくなってしまったことに原因がありそうだ。

なんでトマトは大きくなってしまったんだろう?

「プーちゃん、昨日トマトを食べてから今朝までトマトに何かした?」

「・・・?我、トマトには水しかやっていない」

「水かぁ。雨のことかな?」

「うむ」

「どのくらいやったの?」

「マユが作物には水をあげないと大きくならないと言うから、たっぷりやった。マーニャ様たちが見ていない隙にちょこちょこ様子を実に来てはトマトの周りだけ雨を降らせて見た」

ん?トマトってそんなに水いるんだっけ?
というか野菜ってそんなに水ばっかりあげていていいんだったっけ?

昔、なんかのテレビで見た気がする。
トマトは水を極限までやらないと実が小さくなるけど、その分甘くなるって。
ということはその逆に水をやりすぎると実が大きくなって甘くなくなるってこと?

「プーちゃん、もしかしたら水のやりすぎかも・・・」

「なっ!?でも、水をやらねば育たぬのだろう?」

驚愕に目を見開くプーちゃん。
おおう。更にショックを与えてしまったかも・・・。
でも、原因を解決しないことには、トマト美味しくないままだし。プーちゃんショック受けたままだし。

「昔ね、トマトは水をあまり与えない方が甘くなるって教えてもらったのを思い出したの。でも、その分、実が小さくなってしまうけど」

「な、なんとっ!?我は・・・我は・・・」

自分が水をやったことでトマトが美味しくなくなったことにショックを受けてクネクネしながら苦悩するプーちゃん。
うん。そろそろ放して欲しい。
私に巻きつきながらクネクネされると正直、私の身体が持たない。
というか、気持ち悪くて吐きそう・・・。

「プーちゃん、落ち着いて。水をあまり与えないようにすれば元に戻るよ。大丈夫だから」

身体が不規則に揺れることで気持ち悪くなりながらも、プーちゃんを説得する。

「大丈夫だから・・・私を放して・・・」

ちょっと意識が飛びそうなんだけど・・・。


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