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一章
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しおりを挟む「まあ、金額ぐらいしか教えてもらえないかもしれないけどね。金額聞いたうえで売りたくなかったらキャンセルできるし」
「キャンセルできるんだ」
「できるわ。ちょっとやってみたらどうかしら?」
マリアにそう言われて、金色の卵を転送ボックスの中にいれて、ボックスの蓋を閉じた。
転送ボックスは保管個と同じくらい大きな入れ物だ。
いっぱい物を詰めて転送することも多いから大きな入れ物となっているらしい。
開閉式のドアがあり、それを開けると棚がいくつかついている。
日本でいう冷蔵庫みたいな作りだ。
「結果はすぐ出るの?」
「ええ。鑑定士さんが鑑定してからだからすぐ結果がでることもあるけど、混んでる場合は1時間くらい待つことがあるわ」
「ふぅーん。結果はどうやって確認するの?」
「念話よ。鑑定が終わると念話で話しかけられるわ」
『はろ~。転送ボックスの中身を鑑定したわよ』
マリアがそう言った瞬間、頭の中に声が響いた。
び、びっくりした。
念話って突然だからびっくりするのよね。
『あなたこれ、どこで手にいれたの?』
「鶏小屋の中です」
鑑定できたのかな?
そわそわしながらも質問に答える。
『ふぅ~ん。売るの?』
「いいえ。これが何だか知りたくて転送ボックスの中にいれました」
『そう。じゃあ返すわね』
「えっ?」
金額もこれが何かも教えてくれないのだろうか?
不安が声にも出てしまう。
『ごめんなさいねぇ~。私じゃ鑑定できなかったのよ。』
鑑定できなかったですと!?
王都の鑑定士なのに!?
「えっと失礼ですけど、鑑定スキルのレベルを教えてもらってもいいですか?」
恐る恐る訪ねる。
もしかして、鑑定スキルが低いのかなんて疑ってしまう。
『鑑定スキルレベルは512よ』
「すごっ!?」
スキルレベルが高くて思わず声が出てしまった。相手はそれで気をよくしたのか、とたんに曉舌になった。
『そうなの~。私ってすごいのよ~。レベル500を越える鑑定士なんて王都に5人もいないのよ~。なのに、私にはその金色の卵が鑑定できなかった。本来なら上司に言わなきゃいけないんだけど、鑑定できなかっただなんてプライドが許さないから誰にも言わないわ。あ、あなたも言わない方がいいわよ。知れたらそれ、徹底的に解剖されるわよ~。私でよかったわね、鑑定したのが。うふふふふ~』
どうやら金色の卵は迂闊に鑑定をしてもらったらいけない物だったらしい。ということと、鑑定スキルが500レベルでも鑑定できないことがわかった。
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