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一章
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しおりを挟むドアから顔を覗かせたのは、先程別れたリュリュさんだった。
プーちゃんの姿を認識したのか、驚きで目と口をあんぐりと開いている。
そうだよねー。
竜だもんね。
そりゃびっくりするよね。
だから黙ってたんだけど、好奇心には勝てなかったってことかな?
口を開けたまま固まっているリュリュさんの前に立ち、手をヒラヒラと振るが全く動く気配がない。
動く気配がないので、ずっと気になっていたリュリュさんの寝癖を撫でてみた。
「うわぁ!なにするんですかっ!」
おお。気づいたようだ。
リュリュさんは、バッと私から離れて頭を押さえている。
どうやら寝癖を触られたことが嫌だったようだ。
「ごめんね。寝癖気になっちゃって」
「・・・いや、その、ビックリしただけで・・・。って、そうじゃなくって!!」
リュリュさんは、右手でビシッとプーちゃんを指差す。
ちっ。ごまかせなかったか。
「なんで、ダンジョンの10階層にいる竜がこんなところにいるんですかっ!?」
ダンジョンの竜ってことまで気づいているんだ。リュリュさんは、ダンジョンに潜ったことがあるのだろうか。
『人間、我を指差すとは無礼なっ!!』
「はわわわわわ。ご、ごめんなさいっ!?」
プーちゃんに恫喝されたリュリュさんは、ビックリしてジャンプしてから、その場にしゃがみこんで、すぐに謝った。
「プーちゃんに驚いたんだよ。こんなところにいるから」
『無礼な。マーニャ様がいなければこの場に我が来ることもない。来てやったのだから感謝しろ』
「いや、マーニャたち出掛けちゃったんでしょ?もう帰っていいですよ?」
『なにっ!?我に帰れというのか!?無礼なっ!!』
私とプーちゃんのやり取りをリュリュさんはビックリしたように見つめている。
プーちゃんが話すことにビックリしているのだろうか?
そうだよね、私も最初はプーちゃんが話すことにビックリしたもん。
しっかし、プーちゃん。
ここが気に入ったのかしら、帰ろうとしないんだなんて。
帰ってくれていいんだけどなぁ。
「リュリュさん。みんなには秘密ね。ここに竜がいるなんて知れたら大騒ぎになっちゃうと思うから」
「いや、そうじゃなくて。なんでマユってば竜と普通に話しているの?」
「え?人語しゃべってくれているからだけど・・・」
そう言うと、プーちゃんとリュリュさんがガクッとうなだれた。
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