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一章
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しおりを挟むパンを買って店を出ようとしたら、誰かに声をかけられた。
振り返ると、寝癖のついた金髪頭が見えた。
寝癖を直さない金髪といえば、
「リュリュさん!」
「おはよー。珍しいねこんな時間に」
「朝ごはん買い忘れてたので今買っていました。これから戻って食べるところです。リュリュさんは?」
「僕は毎朝、アンさんのパンを朝食にしているんだ。いくら保管庫があるからといってもやっぱり作りたてがよくて、毎朝買いにきているんだよ」
リュリュさんはそういって寝癖のついた髪を掻き揚げた。
リュリュさんってば結構顔が整っているのに、この寝癖が損してるよなぁ。
「そうなんですか。あ、魔道具ありがとうございました」
一応、以前もらった魔道具のお礼を言っておく。
畑仕事をするには変化する農具の魔道具がなければ何もできないし、とても助かっている。
「どういたしましてー。あの魔道具に自動化の魔法とか組み込めればいいんだけどねぇ。今、研究中だから待っててね」
「自動化の魔法を付与するのって難しいんですか?」
自動化の魔法が付与されればとても画期的な魔道具なのに。
「うん。変化するだけでかなりの魔法式を組み込んでいるからね。そこに自動化を付加するとなると、魔法式が入りこんでしまってうまく動かないんだ」
「そうなんですか」
魔法式ってなんだろう?
計算式みたいなものなのかしら?
「マユご飯まだなんだよね?よかったら一緒に食べない?アンさんのところで席用意してくれるよ?」
「ありがとうございます。でも今日はごめんなさい。家でご飯を待っている人?がいるの」
リュリュが折角誘ってくれたが、家でプーちゃんが待っていることを思い出してお断りする。
本当だったら、村の人たちと仲良くなりたから絶好の機会なんだけどなぁ。
プーちゃんのことが少し恨めしくなってしまった。
「えっ?マユもう彼氏連れ込んでるの!?」
なんか、勘違いされてるし。
婚約してた彼氏に直前になって11も年下の女とできちゃったからって婚約破棄されるような私がそんなにすぐ彼氏ができるわけないじゃない。
それとも、この世界の人たちはすぐに彼氏ができるのだろうか。
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