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一章

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『困ったら呼ぶといいとマーニャ様に言っておいたのだが、まさかマユ殿の寝相に困っているからどうにかしてと呼び出されるとは思ってもみなかった。』

 

そう言って竜?は苦笑いをしていた。

が、その目は優しく瞬いていて、マーニャの願いを叶えることは苦には思っていないようだ。

 

というか、マーニャ私の寝相に困っていたのか。

 

「あの・・・直接頭に声が響いてくるんですが」

 

『ああ、念話だ。マユ殿も使ったことがあるだろう。我らはしゃべれないから念話で会話をしているのだ』

 

ああ。マリアともやりとりをしている念話か。

まさか、人間以外も使用できるだなんて思ってもみなかった。

 

・・・あれ?

人間以外とも念話できるって、もしかしてマーニャたちとも話しができるってこと?

 

じぃっとマーニャを見つめるがマーニャはコテッと首を傾げるばかり。

やっぱり通じていなそうだ。

それとも、通じているけど通じないふり?

 

「あなたは竜なの?」

 

マーニャが私を相手にしてくれず、のんびりと伸びをしたり毛づくろいをしているので目の前の竜?に確認してみた。

 

『ふむ。人間にはそう呼ばれておる』

 

「ダンジョンの10階層にいた?」

 

『そうじゃ』

 

「あなたの名前を教えて?」

 

『マーニャ様ならいざ知らず。人間の小娘になど教える名前はないわ』

 

おおう。怒られた。

ピリッとした怒気が目の前の竜から発せられる。

どうやら、マーニャに対しては友好的だが私に対してはそれほど友好的ではないらしい。

でも、名前がわからなかったら呼ぶのに困るしなぁ。

きっとマーニャのことだから、困ったことがあったら直に竜を呼びそうだし。

 

「『あなた』じゃ紛らわしいから名前教えてくれないんだったら勝手に呼び名つけちゃうわよ?」

 

『勝手にするがいい』

 

よし。なら勝手にさせてもらう。

いくら竜で強いからってマーニャの下僕な私に直接的に何かをするってことはまずないだろう。

たぶん。

 

「じゃあ、勝手にさせてもらうわ。ポチ」

 

『!!?』

 

「いいわね。ポチ?」

 

『いいわけあるかーーーーっ!!!』

 

どうやら竜を怒らせてしまったようである。

っていうか、マーニャさん。

あなたが呼んだんだからこの竜なんとかしてよ。

 

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