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一章
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しおりを挟むこの家には、シャワーはあるがお風呂がない。
増改築すればお風呂を作ることも可能らしい。
この家の改築等は好きにしていいと村長のハルジオンさんから言われている。
建て替えて一から作り直すのも可らしい。
でも、まだそこまで資金がないから立て替えられないんだけどね。
というか、最初にいただいた資金から増えていない。減っているだけだ。
そろそろ収入もなんとかしなきゃなぁ。
汚れた服を脱いでカゴに入れる。
そのとき、首から下がっていた水色の卵に気づく。
「そう言えば、ずっと首から下げてたんだっけ。割れてないよね?」
ほんのりと暖かい卵に傷がないか丁寧に確認する。
傷はないようだ。
「よかった」
ほっと胸を撫で下ろす。
マーニャ、クーニャ、ボーニャが持ってきてくれたピンク色の卵と交換した水色の卵は、どうやら精霊の卵らしい。
孵化するところが見れるかわからないけど、いつ孵化してもいいように大切に持ち歩いている。
大切に棚の上に置いて、私はシャワーを浴びることにした。
この村のシャワーは不思議だ。
熱源もないのにお湯がでてくる。
シャワーの強弱を調整する箇所もない。
あるのはボタンだけ。
ボタンを押すと適温のシャワーがちょうどいい強さで流れ落ちてくるのだ。
マリアに聞いたところどうやらこれも魔道具らしい。
使用者の思いが反映されて水が流れ落ちるようになっているとかなんとか。
魔道具便利すぎっ。
シャワーを浴び終わって、タオルドライしていると「おじゃましまーすっ!」という元気のいい声が聞こえてきた。
「あ、鍵かけ忘れた・・・」
マリアがどうやらもう来たらしい。
慌てて、お風呂上がりの格好でマリアの前に飛び出した。
「ごめんね。シャワー浴びてたからまだ支度ができていないの。今、髪乾かしちゃうからちょっと待っててね」
「私も早く来すぎちゃった。ごめんね?ここで待ってていい?」
「うん、適当に座って待っていて」
私はすぐに脱衣場に戻ると、ドライヤーを手に髪を乾かす。
実は、これも魔道具だったりする。
ボタンは一個だけ。
一個だけなんだけど、温風だったり冷風だったり思った通りの温度の風が出てくるのだ。
「ごめん、お待たせ」
軽く化粧をして、マリアの前に顔をだす。
だって、これから食事に行くんだものね。軽く化粧くらいはしなきゃね。
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