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本編
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しおりを挟む「・・・そうしたら、ランティス様が言ったの・・・。優しくない世界を一度壊して、二人だけの優しい世界を作ろうって・・・。初めて私に優しくしてくれたランティス様の誘いを断れなかった。」
「・・・そう。」
シルヴィアさんはそう言ってわんわんと泣き続けた。
ランティス様がなぜ、世界を壊そうと思っていたのかはわからない。
ランティス様がいなくなった今、その事実を知るものはいない。
そして、なぜシルヴィアさんの精霊の卵から邪竜が孵ったのかもわからない。
これに関してはシルヴィアさんも信じがたいことだったらしい。
シルヴィアさんを実家に帰すには忍びないということで、シルヴィアさんは誰もシルヴィアさんを知る人がいない田舎に行くことになった。
これはシルヴィアさんたっての希望だ。
迷惑をかけた学院にはもういられないと。だけれども、学院を卒業しないで実家に帰ったら家から追い出されるとシルヴィアさんは語った。
そこでプーちゃんがシルヴィアさんに提案をしたのだ。
「シルヴィアよ。おまえは我の血を飲んで不老不死となった。」
「・・・はい。」
「何をしてもシルヴィアは死なないだろう。ただ、心は死ぬ可能性がある。今のシルヴィアに必要なのは心の静養なのだ。」
至極まっとうなことを珍しくプーちゃんが言った。
確かに今は静養した方がいいだろう。
「そこで、だ。行くところがないのであれば我が昔一緒に住んでいた人間のところに行かぬか?あれは、シルヴィアを笑顔で受け入れてくれるだろう。」
「・・・いいんですか?」
「うむ。」
プーちゃんの提案にシルヴィアさんはすぐに頷いた。
「ただ、ちょっとばかし田舎なのだ。」
「あれは、ちょっとは言わぬぞ。かなりの田舎じゃ。」
精霊王も知っているところなのか、話に加わってきた。
「っていうか、プーちゃんが昔世話になっていた人ってまだ生きていたの!?もう死んでいるかと思ったわ。何年まえのことなの?」
田舎というところも気になるが、以前プーちゃんが一緒になって過ごしていた人というのも気になる。
その人のお陰でプーちゃんが母親を探していたんだから。
「ん?何年前だっただろうか?100年前か?」
「200年は経っているんじゃなかったかの?」
「そんなに、前だったか?」
「妾も一度帰るのじゃ。」
どうやらかなり前のことで、詳しくは覚えていないようだ。
と、いうか。そんなに生きていたら人ではないのではないだろうか。
思わず頬がひきつってしまった。
まあ、そんなこんなでシルヴィアさんはそのプーちゃんの知り合いがいる田舎に行くことになった。
それには精霊王も一緒についていくらしい。
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